ワシントン条約
ワシントン条約とは、アメリカのワシントンDCで採択された条約の略称ですが、
ここでは希少な野生動物の国際取引を規制する条約であるワシントン条約を取り上げます。
ワシントン条約の概要
ワシントン条約は、野生動植物の国際取引を規制する条約です。
正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」と言います。
英語では「Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora」と表記されることから、CITES(サイテス)という略称で呼ばれることもあります。
野生動植物の国際取引は、乱獲によって種の存続が脅かされることが考えられていました。
そのため、国際的な取引を規制することで、動植物の保護を図る必要があったのです。
ワシントン条約では、商業目的の取引によって絶滅する恐れがあり、保護が必要だと考えられる動植物をリストアップしています。
このリストに応じて、国際取引の規制を行っているのです。
また、規制は動植物の生体だけではなく、死体や剥製、毛皮・骨・牙・角・葉・根なども対象です。
ワシントン条約の経緯
ワシントン条約は、1972年の国連人間環境会議で、その必要性が提案されました。
これにより、アメリカ合衆国連邦政府と国際自然保護連合(IUCN)が中心になり、条約作成を進めることになります。
その翌年である1973年、アメリカのワシントンDCで採択。
締結国が10カ国になった1975年の7月1日に発効されました。
日本は1980年の11月4日に締約国となりました。
2017年の3月時点で、締約国は183ヵ国となります。
附属書
ワシントン条約では、合計で約30,000種の動物の取引を制限対象としています。
これは3ランクに分類され、附属書I、附属書II、附属書IIIに分けてリストアップしています。
附属書には、どのような違いがあるのでしょうか。
附属書I
絶滅の恐れがある生き物がピックアップされている。
商業目的の輸出入は禁止され、研究のための輸出入、材料や加工炭の製品の取引は、輸出国と輸入国の政府が発行する許可書が必要となります。
トラ、ゴリラ、ジャイアントパンダなど約1,050種の動植物がリストアップされています。
附属書II
国際的な取引を制限しなければ、将来的に絶滅の恐れが高くなると考えられる動植物。
商業目的の取引は輸出国と輸入国の政府が発行する許可書が必要。
加工品については申請不要でしたが、2016年の改正によって、一部でも使用されていた場合は、新品中古品に関わらず手続きが必要であると明記されました。
カバ、ケープペンギン、タテガミオオカミを含む約34,600種。
附属書III
世界的には絶滅の恐れは少ないが、特定の地域内では恐れがある動植物で、商業目的の国際取引の制限協力を求めるもの。
附属書IIIにリストアップされた動植物を取引する場合は、輸出国の輸出許可書、または原産地証明書が必要です。
カナダのセイウチ、ボリビアのオオバマホガニーなどを含む約200種類。
締約国会議
ワシントン条約の第11条によって、締約国会議が2年に1回開催されることになっていますが、実際は3年の間が空くことが何度かあります。
開催回 | 開催年 | 開催国 |
---|---|---|
第1回 | 1976年 | スイス |
第2回 | 1979年 | コスタリカ |
第3回 | 1981年 | インド |
第4回 | 1983年 | ボツワナ |
第5回 | 1985年 | アルゼンチン |
第6回 | 1987年 | カナダ |
第7回 | 1989年 | スイス |
第8回 | 1992年 | 日本 |
第9回 | 1994年 | アメリカ |
第10回 | 1997年 | ジンバブエ |
第11回 | 2000年 | ケニア |
第12回 | 2002年 | チリ |
第13回 | 2004年 | タイ |
第14回 | 2007年 | オランダ |
第15回 | 2010年 | カタール |
第16回 | 2013年 | タイ |
第17回 | 2016年 | 南アフリカ共和国 |
第18回 | 2019年 | スリランカ |