パリ協定
パリ協定とは、2015年の12月12日に採択された、気温変動を抑制するための国際的な協定。 2015年の11月30日から12月12日の日程で、フランスのパリで開催された、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて採択されました。
パリ協定の内容
パリ協定は、1997年に採択された京都議定書から、18年ぶりの気温変動に関する国際的な枠組みです。 気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change。略称:UNFCCC)に加盟する196ヵ国すべてが参加した枠組みは世界初でした。 京都議定書が、2020年までの地球温暖化対策の目標を掲げていたため、パリ協定はそれ以降の目標を設定するものでした。
パリ協定の目的は、世界の平均気温の上昇を産業革命前の2℃未満に抑え、努力目標として1.5℃を目指すものです。 また、地球温暖化を始めとする気温変動に対して「緩和」と「適応」を進めることが求められています。 「緩和」とは、温室効果ガスの排出抑制で、「適応」とは温暖化による海面の上昇で被害が予測される地域の被害を最小限に抑えるための建設を進めることや、気温変動に合った強い作物を開発するなどの対策が挙げられます。
さらに、パリ協定の大きな特徴は、各国が削減目標を作成・提出し、それを達成するための対策をとる義務を負っていることです。 ただ、この目標を達成することは義務とはされていません。
各国の目標
パリ協定に参加した国々は以下のような削減目標を提出しました。
EU
- 2030年までに、1990年比で、温室効果ガス排出量を国内で少なくとも40%削減する。
スイス
- 2030年までに、1990年比で、温室効果ガス排出量を50%削減する。
- 2025年までには、1990年比で、35%の削減が予期される。
ノルウェー
- 2030年までに、1990年比で、温室効果ガス排出量を国内で少なくとも40%削減する。
アメリカ
- 2025年までに、2005年比で、温室効果ガス排出量を26~28%削減する。28%削減へ向けて最大限の努力をする。
カナダ
- 2030年までに、2005年比で、温室効果ガス排出量を30%削減する。
ロシア
- 2030年までに、1990年の、70~75%に抑制する(※90年比20~25%削減)ということが、長期的な指標になりうる。
- ただし、森林による吸収量を最大限に算入できることが条件。
中国
- 2030年ごろにCO2排出量がピークを迎えることを達成し、より早期にピークを迎えるように最大限の努力を行う。
- 2030年までに、2005年比で、GDP当たりのCO2排出量を、60~65%削減する。
- 2030年までに、一次エネルギー消費に占める非化石燃料(エネルギー)の割合を20%に増やす。
- 2030年までに、2005年比で、森林ストック容量を約45億㎡増加させる。
日本
- 2030年までに、2013年比で、温室効果ガス排出量を26%削減する(2005年比では、25.4%削減)。
出典元:WWFジャパン COP21の「パリ合意」に向けた、各国の温暖化対策目標案の提出状況
アメリカの離脱宣言
2017年6月1日、アメリカ大統領のドナルド・トランプがパリ協定の離脱を表明したことで、世界中で議論が巻き起こりました。 トランプ大統領は、中国やロシアが何も貢献していないにも関わらずアメリカが何億ドルも支払うことは不公平である、と主張。 これに対し、多くの国が反発する姿勢を見せました。
アメリカは中国に続いて、温室効果ガスの排出量が世界2位です。 また、アメリカが負担するはずだった資金がなくなったことは、パリ協定に大きな影響を与えることになります。 しかし、アメリカを抜きにパリ協定を履行は合意されただけでなく、アメリカ国内でもニューヨーク州やワシントン州、カリフォルニア州がトランプ政権から独立して、パリ協定に取り組む米国気候同盟を結成し、マサチューセッツ州やハワイ州などもそれに加わりました。
ただ、パリ協定の離脱には数年かかるため、アメリカが正式に離脱するのは、2020年のアメリカ大統領選挙より後のこととなります。