「すずめの戸締り」の聖地巡礼!モデルの場所・ロケ地を巡る

「すずめの戸締り」の聖地巡礼!モデルの場所・ロケ地を巡る

日本のアニメは重厚なストーリーや美しい描写が評価され、世界的に人気があるコンテンツです。 そんなアニメ作品の中には、実際に存在する場所をモデルとして、細かい自然の描写がリアル以上に美しく描かれている場合があります。 その1つが新海誠監督による「すずめの戸締り」ではないでしょうか。

今回はアニメ映画「すずめの戸締り」の舞台となった風景、いわゆる聖地と言われる場所をご紹介します。

アニメ「すずめの戸締り」の聖地!モデルの場所はどこ?

すずめの戸締りは、2022年11月に公開されたアニメ映画で「君の名は。」で知られる新海誠監督による作品です。 公開3日間の興行収入は18憶円を超え、新海誠監督作品の中でも史上最高の記録を達成しています。 最終的な興行収入こそ「君の名は。」に届きませんでしたが、前作である「天気の子」を超えるほどのヒット作であることは確かです。

今や日本を代表するアニメ監督と言える新海誠監督の作品は、自然の描写が美しく、印象的な景色のシーンが多いことも有名ですが、すずめの戸締りに関してはロードムービー的な要素も含まれているため、日本各地にモデルとなった場所が存在しています。 特に有名な「聖地」と言える場所は以下の通りです。

  • 宮崎県日南市
  • 愛媛県八幡浜市
  • 兵庫県神戸市
  • 東京都新宿区
  • 岩手県下閉伊郡

物語の主人公、岩戸鈴芽(いわと すずめ)は宮崎県に住む少女で、九州から旅立ち、その終着点は岩手県となっているため、これらの場所がモデルとして描かれています。 作中ではどのような美しい風景が描かれているのでしょうか。

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それでは「すずめの戸締り」の聖地と言われる、美しい風景が特徴的なスポットを見てみましょう。

宮崎県日南市の油津港

まずは物語の始まりである宮崎県。 主人公のすずめの出身地は岩手県ですが、物語開始時点では宮崎県で叔母と2人で暮らす女子高生です。 彼女が暮らす町は宮崎県の日南市と考えられていますが、こちらが冒頭の舞台になった理由としては、新海監督が宮崎日日新聞の取材に「宮崎が日本神話の始まりの場所だから」と答えています。

明確に日南市が舞台であると言及されているシーンはありませんが、小説には「宮崎県南部」と書かれ、スマホの地図アプリに表示される位置から、ここで間違いないだろうと考えられています。 また、すずめが物語の重要人物である宗像草太(むなかた そうた)と出会う通学路のシーンで映る港は、同じく日南市の油津港がモデル。

こちらは歴史のある港で、遣唐使の時代から日本と中国大陸をつなぐ貿易の中継地、戦国時代は港の支配権をめぐって伊東氏と島津氏が争い、江戸時代は需要が高まっていた木材の積出港でもありました。 また、1954年には台風13号による被害、1960年にはチリ地震津波による影響で被害も受けていることから、物語のテーマである災害の歴史も連想させる場所だと言えるかもしれません。

[住所] 宮崎県日南市油津2-7
[アクセス] 日南線 油津駅から徒歩約20分
[営業時間] 散策自由

大分県の湯平温泉

すずめが草田を追いかけて迷い込んだ「門波リゾート」という温泉街の廃墟は、大分県由布市にある湯平温泉ではないかと言われています。 確かに、特徴的な石畳と赤提灯は映画の1シーンを思い起こさせますね。

こちらは江戸時代から温泉街として栄えはじめ、昭和初期は別府温泉に次いで九州第2位の入湯客を誇っていました。 現在も昔ながらの情緒を残す温泉街として、癒しを求める観光客が訪れています。

ちなみに、門波リゾートは複数の温泉街がモデルになったと言われ、湯平温泉の他には大分県の杖立温泉、天ヶ瀬温泉、熊本県の湯の鶴温泉などの雰囲気がとても似ていると言われています。

[住所] 大分県由布市湯布院町湯平
[アクセス] 久大本線 湯平駅からタクシーで約10分
[営業時間] 10:00~17:00(観光案内所)

旧豊後森機関庫

豊後森機関庫は、すずめが最初の戸締りを行ったシーンに登場した場所で、キービジュアルやポスターの背景として描かれています。

こちらは、1934年に完成し、最盛期は21台の蒸気機関車が所属する大規模な扇形機関庫でした。 蒸気機関車は前後の区別があり、方向転換のために扇形機関庫や転車台が必要でしたが、ディーゼル機関車やディーゼルカーへ移行が進んだために、1971年に廃止。

しかし、2001年から地元の有志によって保存委員会が結成され、2009年には近代化産業遺産に認定、2012年には国の登録有形文化財に登録されています。

[住所] 大分県玖珠郡玖珠町岩室242-7
[アクセス] 久大本線 豊後森駅から徒歩約5分
[営業時間] 10:00~16:00

大分県の佐賀関港

草太の姿を椅子に変えた謎の猫を追って、すずめがフェリーに乗り込んだ港は、大分県の佐賀関港がモデルと言われています。

すずめたちが乗った四国みかんフェリーのモデルは、九四オレンジフェリー。 作中だとフェリーの出航は佐賀関港からとなっていますが、実際は臼杵港から出航しています。 なので、作中のように佐賀関港からフェリーに乗って愛媛へ向かうことはできないのでご注意ください。

また、オレンジフェリーは2022年11月14日から2023年3月31日の間、すずめの戸締まりの映画チケットの半券を提示すると、フェリー料金を1割引するキャンペーンを実施していました。

[住所] 大分県大分市佐賀関750-69
[アクセス] 日豊本線 幸崎駅からタクシーで約15分
[営業時間] 10:00~16:00

愛媛県の八幡浜港旧ターミナル

すずめがフェリーから降り立った愛媛県の地は、八幡浜市にある八幡浜港です。

八幡浜港は明治以降に栄え、拡張事業が繰り返され、四国と九州を結ぶ需要な航路の1つと言えます。 作中に出てくる港は旧ターミナルで、現在は老朽化のため取り壊されてしまいました。

ちなみに、八幡浜市は公式のインスタグラムでは旧ターミナルが映し出されたシーンを再現した写真が投稿されています。

映画が公開される前から耐震性に問題があり、取り壊しが決まっていたため、市水産港湾課は「事前に情報があれば保存方法を検討できたかもしれない」と残念がったとか。

[住所] 愛媛県八幡浜市沖新田1585
[アクセス] 予讃線 八幡浜駅からタクシーで約5分
[営業時間] 散策自由

愛媛県の下灘駅

愛媛に到着したすずめですが、謎の猫がSNS上で「ダイジン」と名付けられ、話題になっていることを知ります。

そんな目撃情報を追うシーンで、愛媛県伊予市の絶景駅として知られる下灘駅が一瞬だけ登場。 下灘駅はホームから広い海を眺めることができるため、撮影の名所として知られ、海面を埋め立てる形で国道378号が開通するまでは「日本一海に近い駅」としても有名でした。

この下灘駅は他のアニメにも登場し、京都アニメーション制作による「境界の彼方」や、シャフト制作による「物語シリーズ」の「猫物語(黒)」のオープニングなどで描かれています。

[住所] 愛媛県伊予市双海町大久保
[アクセス] 予讃線 松山駅から八幡浜行で約40分
[営業時間] 散策自由(終電まで)


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明石海峡大橋

ダイジンの目撃情報は、ニュースにまで取り上げられますが、そのシーンでは明石海峡大橋が描かれています。 明石海峡大橋と言えば、兵庫県神戸市と淡路市を結ぶ、全長3,911メートルと世界最大級の吊橋として有名です。

また、明石海峡大橋の神戸側には、舞子海上プロムナードという遊歩道があり、展望台が設けられています。 海面からの高さ47メートルに位置する回遊式遊歩道では、ガラス張りの床から海を見下ろす空中散歩が可能です。 高いところが苦手でなければ、一度は歩いてみたいですね。

[住所] 兵庫県神戸市垂水区東舞子町4
[アクセス] 神戸線 舞子駅から徒歩約5分
[営業時間] 9:00~18:00(舞子海上プロムナード)

東山商店街と二宮商店街

新海誠監督の作品には、美しい自然風景だけでなく、リアリティある街並みの描写も少なくありません。

なかなかダイジンを見つけられず、さらには大雨に降られて身動きできなくなったすずめを助けてくれた人物が、二ノ宮ルミ(にのみや るみ)という女性。 彼女は九宮筋商店街で「はぁばぁ」という名前のスナックを経営していますが、周辺の風景は東山商店街と二宮商店街がモデルとなっています。

東山商店街は古くから「神戸の台所」と親しまれ、平日週末を問わず、多くの人手賑わう商店街。 二宮商店街も歴史あるお店が並んでいます。

スナック「はぁばぁ」のモデルとなった場所は、2024年現在は空き家。以前は喫茶店があったようです。 それから、ルミが車で立ち寄ったマクドナルドは「2号線須磨店」がモデルと言われています。

[住所] 兵庫県神戸市兵庫区東山町2-3-20(東山商店街)
[アクセス] 有馬線 湊川駅から徒歩約5分
[営業時間] 店舗によって異なる

[住所] 兵庫県神戸市中央区琴緒町4-6-12(二宮商店街)
[アクセス] 神戸線 三ノ宮駅から徒歩約5分
[営業時間] 店舗によって異なる

神戸おとぎの国

スナックでダイジンを見つけるすずめ。しかし、ダイジンに逃げられてしまい、追いかけることになりますが、その途中で訪れる廃墟の遊園地「神戸おとぎの国」のモデルが神戸市北区にある神戸おとぎの国です。

こちらは「道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」の中にある遊園地で、そのアトラクション数はとても道の駅にある施設とは思えないほど充実しています。 道の駅神戸フルーツ・フラワーパーク大沢は遊園地の他にも、天然温泉や牧場、四季折々の花々が楽しめるため、自然を満喫しながら存分にレジャーを楽しめるスポットと言えるでしょう。

また、新海誠監督は作中に神戸の町が登場する理由を「かつて大きな災害に遭ったが、それを乗り越え、日常を送る人たちにすずめが出会ってほしかったから」と語っています。

[住所] 兵庫県神戸市北区大沢町上大沢2150
[アクセス] 福知山線 三ノ宮駅からタクシーで約15分
[営業時間] 施設によって異なる


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御茶ノ水の聖橋

ルミと別れたすずめは新神戸駅から新幹線に乗って東京へ向かいます。 ダイジンを見つけて、橋から飛び降りるシーンは千代田区神田駿河台にある御茶ノ水の聖橋。

東京のシーンは他にも、西新宿の新宿エルタワー、バスタ新宿が登場します。 バスタ新宿と言えば「君の名は」にも出ていたような。というよりも、新海誠監督の作品には新宿の風景がたびたび出てきます。 どうやら、監督は新宿付近の景色がとても好きみたいですね。

それから、すずめが東京駅で草太に誘導されながらも、危なげに電車を乗り換えるシーンは、初めて東京に出てきた田舎の女の子、といった雰囲気をよく描かれているように思えました。

[住所] 東京都千代田区神田駿河台4
[アクセス] 中央線 御茶ノ水駅から徒歩約1分
[営業時間] 散策自由

道の駅 大谷海岸

東京で叔母の岩戸環(いわと たまき)と合流したすずめは、事件を解決するために草太の友人である芹澤を巻き込んで東北へ向かう(猫がいて「ルージュの伝言」が流れるなんて「魔女宅」みたい)ことになります。 その途中、休憩で立ち寄った道の駅が宮城県気仙沼市にある「道の駅 大谷海岸」です。

こちらは東日本大震災の際に起きた津波で、施設内部が流されてしまったことで知られています。 しかし、2021年にリニューアルオープン。ある意味、震災からの復興を象徴する建造物の1つと言えるかもしれません。

[住所] 宮城県気仙沼市本吉町三島9
[アクセス] 大船渡線 気仙沼駅から気仙沼線BRT(バス高速輸送システム)に乗り換え
[営業時間] 施設によって異なる

岩手県の織笠駅

そして、ラストシーンで描かれた小さな駅は、岩手県の下閉伊郡山田町にある織笠駅。

こちらも、東日本大震災のときに流されてしまった駅で、2019年に旧駅から1キロ北側に移転する形で再建されています。 前2作である「君の名は。」「天気の子」では、震災を彗星や天候といった形で描いていましたが、今回は主人公が震災で親を亡くし、故郷を離れて暮らす女子高生と、直接的な表現だったと言えるかもしれません。

これには完成報告記者会見で監督が「観客の多くは10歳代で、共通体験としての震災が薄くなっている。でも今なら同じ気持ちを共有できるかもしれない」と語っています。 そういったところからも「すずめの戸締り」は、監督の震災に対する強い想いと共に作られた作品だということがわかりますね。

また、設定のモデルは村上春樹の「かえるくん、東京を救う」から影響を受けているようなので、興味がある方はこちらもチェックしてみましょう。

[住所] 岩手県下閉伊郡山田町織笠第12地割
[アクセス] リアス線 釜石駅から久慈行で約40分
[営業時間] 施設によって異なる

「すずめの戸締り」の聖地は自然あふれる場所ばかり

すずめの戸締りは美しい自然の風景が描かれていますが、同時に地震のような災害の恐ろしさ、そこらから立ち上がろうとする人間の強さも描かれていると言えるかもしれません。 また、地方の過疎化による問題も描かれ、現代社会が抱える問題をしっかりストーリーに落とし込んだ作品だと言えるでしょう。

すずめの戸締りのように、自然の尊さやそれに影響を及ぼす人間の行動が描かれたアニメ作品は数々あります。 昨今では配信サービスが増え、アニメを何となく流し見してしまう人も増えたかもしれませんが、作中のメッセージを考えながら、物語の世界に深く入り込んでみるのも素晴らしい体験です。 ぜひ、アニメを見ながら自然との向き合い方も考えてください。

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