ウミガメがプラスチックごみ問題の犠牲に!原因と解決策は
私たちが生活する上で使用する様々なものが、プラスチックで作られていますが、プラスチックによるゴミ問題が世界的に広がっています。 例えば、大手の飲食店などがプラスチックのストローを廃止して紙ストローを導入したことも、プラスチックによるゴミ問題の一つと言えるでしょう。
プラスチックのゴミ問題の中でも、海洋汚染についても深刻な問題として取り沙汰されています。 そんなプラスチックによる海洋汚染により、大変な被害を被っている動物たちがいます。 海を汚染するプラスチックは、動物たちにどんな被害を与えているのでしょうか。
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ウミガメの被害が問題に!海洋プラスチックごみが深刻
プラスチックによる海洋汚染は深刻な問題です。 一説によると、2050年には海に存在するプラスチック量が、魚の数を超えるとまで言われています。
そんなプラスチックが動物に与える被害は様々です。 漁具や風船、プラスチック袋などに動物が絡まることや、誤食(誤飲)によって命を落とすなど、その被害の様子は見るも無残な状態です。 中でも誤食については、動物の胃から大量のプラスチックが出てくる衝撃的なもので、特にウミガメの被害が取り上げられています。
他にもマイクロプラスチックの問題も深刻です。 マイクロプラスチックは小さなプラスチックの破片のことで、プラスチックの性質から有機汚染物質を吸着しやすい特徴があります。
これを海に生きる動物が食べてしまうことで、摂餌能力や生殖機能に悪影響を及ぼすことが考えられるのです。
深刻な問題!プラごみ原因でウミガメの命が犠牲に
プラスチックごみによるウミガメの被害は深刻です。海のプラスチックごみ問題の象徴とも言える、ウミガメの被害例を以下にご紹介します。
アカウミガメの子供から104個のプラスチック片
2019年、米フロリダ州ボカラトンの海岸で、具合の悪そうなアカウミガメの子供が発見されました。 そのアカウミガメは、地元の自然保護センターに保護されたものの、弱々しくやせ細り、間もなく死んでしまいます。 死後に解剖したところ、体内から104個のプラスチック片が見つかりました。
プラスチックと一緒に160匹のウミガメが漂着
2020年、バングラデシュの海岸に、約160匹のウミガメが打ち上げられているのが発見されました。 それだけでも驚くべきことですが、ウミガメだけでなく、大量のプラスチックごみも漂着していたのです。 そのため、ウミガメたちはプラスチックごみに絡まり怪我を負い、30匹は死んでしまいました。
絶滅危惧種のウミガメの体内にレジ袋
2020年、高知県の室戸市沖で絶滅危惧種で、世界最大級のウミガメである「オサガメ」の死体が発見されました。 解剖したところ、大腸などからプラスチック製の袋2枚が出てきました。 この袋は死因に直接関わってはいないようですが、このような海洋生物が多くいることを知らしめるものだ、と言えるでしょう。
ウミガメがプラごみを食べてしまう原因は匂いか
なぜ、ウミガメはプラスチックごみを食べてしまうのでしょうか。 最初はその理由が分からず、ビニール袋がクラゲに見えるから、と言われていました。
しかし、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームは、ウミガメの嗅覚に着目し、どのような匂いに反応するかという実験を行います。 すると、ウミガメは食べ物や海水に浸したプラスチックに興味を示すという結果が。
海に漂うプラスチックの表面は、藻やフジツボ、軟体動物といった無数の微生物が付着します。 これらは成長すると、海苔の香りの成分であるジメチルスルフィド(DMS)を発生させ、この匂いがウミガメにとって食べ物に感じられてしまうのです。
これはウミガメだけでなく、海鳥などの動物も同じような行動を取ることが分かっています。 つまり、プラスチックごみが多ければ多いほど、動物たちが命を落とすと考えられるかもしれません。
ウミガメの他にも!プラごみを食べて命を落とす動物
プラスチックのごみにより被害を被っている動物を紹介します。
海鳥
アホウドリのような海鳥が、海面に浮いているプラスチックを誤食するケースも、大変多く見られるようです。 死亡した海鳥の体内から見つかるプラスチックは、ビニール袋やボトルのフタなど様々な破片があります。 海鳥は絶滅が危惧される鳥も多く存在しますが、その原因の一つがプラスチックと言えるでしょう。
クジラやイルカ
クジラやイルカは非常に大きな生き物であるため、無意識のうちにプラスチックを飲み込んでしまいます。 飲み込んだプラスチックは、クジラやイルカの内臓を破壊し、飢餓によって死亡する原因になります。
インドネシアの海岸に打ち上げられたクジラの死体から6キロのプラスチックが発見される、というニュースも話題になりました。 そのクジラの体内には、プラスチックのコップや、ペットボトル、レジ袋やサンダルなどが含まれていたようです。
参考:BBCニュース クジラの死体からプラスチックコップが115個も インドネシア
アザラシやオットセイ
アザラシやオットセイは好奇心が強く、捨てられた漁具のロープで遊んでしまい、それらが首に絡まって死亡するケースが少なくありません。 子どものアザラシやオットセイは、首に漁具が絡まっても自分で取り除くことはできず、成長するにつれて動脈が圧迫され、ゆっくりと絞殺されてしまうことも。
プラスチックを食べてしまうこともあり、死んだ子アザラシの胃袋からビニール袋が出てきた例も報告されています。
ウミガメのプラごみ問題を解決するには
このようにウミガメを始めとする多くの動物が、プラスチックごみによって命を落としています。 しかし、プラスチックごみの問題は動物の誤飲だけではありません。
もちろん、プラスチックだけが悪いのではなく、ごみを適切に処理できない人間の行動も問題があると言えるでしょう。 私たちはできる限りごみを出さないように3Rを意識しつつ、環境のために何かできないか、考えることが大切です。 ぜひ身近なことから環境にいい行動を心がけてみてください。
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