海難事故による海洋汚染とは?流出原油の影響や過去の事例

海難事故による海洋汚染とは?流出原油の影響や過去の事例

2020年8月、インド洋に位置するモーリシャス沖で座礁した貨物船から海洋に石油が流出する事故がありました。 石油が流出することで海洋が汚染されてしまうことは、想像に容易いことですが、実際にどのような影響があるのでしょうか。

また、海難事故による海洋汚染は、過去にもいくつかのケースがあります。 海難事故による海洋汚染の影響と過去の石油流出の事例をご紹介します。

2020年モーリシャス沖で座礁事故により石油流出

2020年の7月25日(現地時間)、日本の大手海運会社である商船三井がチャーターした貨物船「わかしお」がモーリシャス南東部沖で、サンゴ礁に乗り上げて座礁しました。 さらに2週間後の8月6日の朝、座礁した際、船体が傷付いたことから燃料タンクに亀裂が入り、重油1000トン余りが流出することに。

モーリシャスの生態系は、流出した重油によって破壊され、食料安全保障や経済、健康に影響を及ぼすと考えられています。 また、わかしおが座礁した場所は、ラムサール条約に国際保護湿地として指定されているポワントデスニー。 重油によって魚や鳥、珊瑚に悪影響を及ぼし、マングローブ林への悪影響が考えられています。

8月24日、わかしおは海中処分が完了し、船体は海上会場から見えなくなりましたが、残った船体後部は11月までに解体を予定しています。 そして、環境の回復は10年、20年、30年というスパンで様子を見ながら対処する必要があると考えられています。

石油流出による海洋汚染の影響は?

モーリシャス沖で起こったような、海洋を汚染してしまう海難事故は、今までもありました。 こういった事件はどれほどの影響を与えると考えられるのでしょうか。 石油流出によって考えられる影響は、環境への影響だけでなく、人間の社会生活にも影響があります。

環境への影響

まず、環境への影響としては生物への被害が挙げられます。 石油によって魚はエラ上皮細胞が破壊されて窒息死するケースや、有毒成分によって死に至るケースがあります。 鳥の羽に石油が付着した場合は、保温能力が低下し、気温の変化に適応できない、水中で浮力を得ることが困難になってしまいます。

さらに、その状態で毛繕いしてしまうと、油を摂取してしまい、腎臓や肝臓の機能を損なうことから消化器に炎症を引き起こします。 石油に汚染されてしまった鳥は、人間が汚染を除去したり治療を施したりしない限り、死んでしまうことがほとんどです。

海洋植物や植物プランクトンについても、水面が石油で覆われてしまうことから、日光の量が減少し、光合成量が減少してしまいます。 このように石油流出による海洋汚染は、動植物の活動量が減少してしまい、食物連鎖に悪影響を及ぼすのです。

人間社会への影響

沿岸部に観光地や野外施設があった場合、行楽活動に悪影響を及ぼします。 工場などの施設も取水口から石油を取り込んでしまい、操業に支障をきたすことがあるでしょう。 水産物も味や臭いに影響が出ることから、食べられなくなることがあり、実際に問題がなかったとしても、風評被害が発生してしまうこともあるのです。

石油流出の過去の事例

それでは、過去にはどのような石油流出の事例があったのでしょうか。 いくつかの海難事故による石油流出をご紹介します。

2018年 上海沖タンカー追突事故

2018年の1月6日、東シナ海の上海沖で、パナマ船籍の石油タンカー「サンチ号」と、香港船籍の貨物船「CFクリスタル号」が衝突事故を起こします。 石油タンカーは、約一週間にわたって油を流出させ、炎上漂流を続けた後、沖縄の北東300km地点で沈没。 この事故によって、幅13キロメートル、長さ11キロメートルの油膜が海洋表面に形成され、広範囲の環境汚染が懸念されました。

2010年 メキシコ湾原油流出事故

2010年4月20日、メキシコ湾沖合80キロメートルの海上で、海底油田掘削作業が行われていました。 しかし、BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、逆流してきた天然ガスが引火爆発。 量の原油がメキシコ湾へ流出し、自然環境、社会生活、漁業、観光業への影響が懸念されました。

2001年 アマルガス号事件

2001年1月14日、ギリシャ船籍の貨物船アマルガス号が台湾南部の海域を航行中、エンジントラブルで航行不能に。 その後、台湾で最初に指定された国家公園である、墾丁国家公園がある海域で、アマルガス号は座礁してしまいます。

さらに、18日には船体に亀裂が発生し燃料漏れが発生し、珊瑚礁の群生地に油が入り込みます。 豊かな生態系を形成していたこの海域ですが、海底生物は死滅し、その付近の海鳥も重油にまみれるなど、大きな環境破壊となりました。 また、この事件は絶滅危惧種であるヤシガニにも大きな影響を与えました。

1991年 ペルシア湾の石油流出

1991年、ペルシア湾で湾岸戦争によって歴史上最大級の石油流出が起こりました。 これは事故でなく、イラク軍による人為的なもので、アメリカ海兵隊の上陸や石油備蓄の奪取を妨げる意図がありました。 その結果、長さ160キロメートル、幅68キロメートルもの範囲に原油が流出。

1993年の調査では「長期的な影響は少ない」という結論が出ましたが、後年行われた科学的な調査では、その結果が否定され、完全な回復には数十年を要するとみられています。

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