温暖化対策で期待される技術「CCS」とは?地震との関係性は

温暖化対策で期待される技術「CCS」とは?地震との関係性は

夏になると、温暖化の悪化を実感してしまう人も多いのではないでしょうか。 このままでは地球は温暖化によって、ますます過ごしにくい環境になってしまうのでは…と思ってしまいますが、人類の技術は新たな対策を生み出し続けています。

その1つが、二酸化炭素を回収して地下深くに封じ込めて、地球温暖化を対策する技術…CCSです。 CCSとはどのように二酸化炭素を回収して地下へと封じ込めるのでしょうか。

CCS・二酸化炭素貯留とは?地球温暖化の切り札か

私たち人類は化石燃料を使うことで、多くの二酸化炭素を大気に放出し、地球温暖化を悪化させてきました。 それを解決するかもしれない、と期待されている技術がCCSです。CCSとは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で、二酸化炭素回収・貯留という意味です。

CCSは工場や発電所から排出される二酸化炭素を回収し輸送、地下のように大気へ入らない場所へ封じ込めます。 これにより、重工業から排出される二酸化炭素を防ぎ、地球温暖化や海洋酸性化などの環境問題を緩和させるのです。 この技術の研究が進めば、二酸化炭素の早期大規模削減を可能とし、地球温暖化対策の切り札として期待されています。

実は二酸化炭素を地中に注入することは、石油の回収強化などが目的で数十年前から行われていました。 ただ、長期貯留については比較的に新しい概念であり、日本で大規模な実証実験が行われたのは、2012年からのことです。

CCSによる二酸化炭素の回収と貯留手法

それでは、CCSはどのような方法で二酸化炭素を回収し、地下に貯留しているのでしょうか。

まず、大気中や煙道ガスの二酸化炭素を分離して回収する必要があります。 その方法は、吸収や吸着、ケミカルループなどさまざまですが、代表的なものは、二酸化炭素を反応吸収するアミン溶液を使うものです。

貯留は圧縮機を利用して二酸化炭素を1,000m以上深い地層に圧入し、長期間に渡り貯留します。 二酸化炭素を貯留する場所は、既に生産を終えた油田やガス田です。 主に砂岩となるその場所は、砂粒の間に塩水で満たされた隙間があり、そこに二酸化炭素を貯留できるのです。

今までの調査によると、日本の二酸化炭素貯留可能量は約1,400億トンであると言われ、これは年間排出量の100年分に相当します。

「CCSは地震と関係する」は本当か

このように、CCSは地球温暖化を緩和させる夢の技術であるように思えますが、懸念点がないわけではありません。 アメリカのテキサス州西部では、1975~1982年の間に地震が多発しました。 この地震は石油回収の増加を狙い、地下に水を注入したことが原因とみられ、中断したところ収まりました。 しかし、2006~2011年の間にマグニチュード3の小規模地震が再び多発することに。

そこは二酸化炭素を地下に貯留する、温室効果ガス隔離政策が施行されていた場所であり、地震が活発化する前の変化はそれだけだったことから、大きな関係があると考えられたのです。 ただ、この地よりも二酸化炭素の注入量が多い油田があり、そこでは地震との関連性が指摘されていないことから、必ずしもCCSだけが地震の原因とは言えないようです。

また、日本にも北海道にCCSを研究する苫小牧実証実験センターが存在し、2018年に発生した北海道胆振東部地震との関係が指摘されましたが、モニタリングされている情報から関係性は薄いと判断されています。

CCSのような新しい技術に期待

地球温暖化は大きな問題で、個人のレベルで解決もできなければ、緩和することも難しいことです。 だとしたら、小さな節約を徹底するよりは、新たな技術の登場が必要かもしれません。 新しい技術が登場するには、多くの人の関心が必要です。 ぜひ、環境問題に興味を持ち、新しい技術を研究する企業を応援しましょう。

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