エコ生活を実践してみた!手作り石けんや昆虫食に挑戦
地球環境はさまざまな影響を受けて変化を続けています。 中でも人間による影響は、地球環境を悪化させる大きな要因の1つです。 そのため、企業は事業活動の際、環境に配慮することが求められていますが、それは個人についても同じことで、日々の生活でエコを意識する必要があると言えます。
今回は、株式会社浜屋(以下、浜屋)に勤める、木村莉緒さんからエコ生活を実践した経緯や感想を伺いました。
エコ生活はじめてみた!きっかけは自然を想う気持ち
――木村さんは、リユース・リサイクル事業に取り組む浜屋に勤めながら、個人的にエコ生活を実践していると聞きました。エコ生活を始めようと思ったきっかけは何かあるのでしょうか。
エコに興味を持った、そもそものきっかけは自然が好きだった、という点にあります。 キャンプを趣味に持つ父の影響で、私は自然に触れ合う機会が多い子どもでした。 中でも虫が大好きで、周りにも「虫の気持ちを理解したい」とか「虫と話せるようになりたい」とか、そんな話をするほど、とにかく自然と関わることが好きだったのです。
そんな背景に加え、SDGsというワードを頻繁に耳にするようになって、さらに意識するようになりました。 しかし、時代の流れでSDGsやエコという言葉を耳にするようになっても、どこか違和感がある。 SDGsやエシカルといった言葉が掲げられ、世界はいい方向へ進んでいるようでも、私自身は何かが変わったような実感がありませんでした。 だったら、自分で何かやってみよう。そんな風に思ったことが行動のきっかけです。
そのとき最も興味があった問題は、プラスチックによる海洋生物への影響だったので、まずはプラスチックフリー生活を始めてみようと考えました。 図書館で情報収集してみると、プラスチックフリー生活の具体例がいくつも見付かりましたが、最初に衝撃を受けたものは手作り石鹸です。 石けんや化粧品といったコスメは、パッケージとか包装にさまざまなプラスチックが使われています。 そして、消耗品であるため継続的に購入し、その度にプラスチックが廃棄されてしまう。これは、日常の中で当たり前にしてきたことですが、意識をしてみたら大変な問題だと気付かされました。
手作りの石けんや化粧水しかし、手作り石けんならプラスチックの使用を控えて環境にいいだけでなく、さらに合成成分が少なく天然由来の成分を使っているため、肌にもいいから挑戦してみよう、と。 手作り石けんに挑戦してから、他にも何かできることはないか、といろいろ試してみるようになりました。
実践エコ生活!率直な感想から効果まで
――手作り石けんはどのような工程を踏んで完成するのでしょうか。また、手作り石けんの他にも、多くのエコを生活に取り入れているとのことですが、他にはどのようなものがあるのか教えてください。
手作り石けんの他には、化粧品、備長炭を使ったミネラルウォーター作り、ヘチマたわし、蜜蝋ラップ、昆虫食にチャレンジしています。
手作りコスメ
石けんや化粧品などコスメは、オーガニック品に興味があっても、値段が高くて手を出しにくいところがありますが、自分で作ってしまえば、その辺りも抑えられます。あとは、どんな成分が入っているのか目に見えるため、安心して使えることもメリットではないでしょうか。
石けんを作る木村さん。研究者に憧れていたこともあり、こういう作業も楽しく感じるとのこと正直、本当にいい効果があるかわかりませんが、錯覚というか気持ち的に効果があるような気はしていて、使い始めてから肌の調子もいいと感じています。
木村さんが実践する手作り石鹸のレシピ
<材料>
- マカダミアナッツオイル 257g
- オリーブオイル 184g
- パームオイル 65g
- ココナッツオイル 120g
- 苛性ソーダ 86g
- 精製水 200ml
<作り方>
- 水酸化ナトリウムと精製水を混ぜる
- 植物油を混ぜ合わせ湯せんにかける
- 1と2を同じ温度(45度)にした後混ぜ合わせる
- 型に流し込む
- 24時間保温する
- 石鹸を切り分け4~6週間熟成させる
木村さんが実践する手作り化粧水のレシピ
<材料>
- グリセリン 5ml
- ラベンダー精油 2滴
- ゼラニウム精油 2滴
- フローラルウォーター 45ml
<作り方>
- ビーカーにグリセリンを入れる
- 全ての精油を加え、ガラス棒でよく混ぜる
- フローラルウォーターを加えボトルに移す
木村さんが実践する手作りボディバターのレシピ
<材料>
- シアバター 10g
- ホホボオイル 15ml
- 乳化ワックス 3g
- みつろう 2g
- ローズウォーター 30ml
- 精油 6滴~12滴
<作り方>
- シアバター、ホホバオイル、乳化ワックス、ミツロウをビーカーに入れる
- ローズウォーターを別のビーカーに入れる
- 1,2を湯せんにかける
- 溶けたら2つのビーカーを湯せんから外し、ローズウォーターを1のビーカーに入れて混ぜる
- 精油を入れる
- 容器に移して完成
備長炭を使ったミネラルウォーター作り
備長炭には浄水効果があると言われ、水道水をより美味しい水に変えてくれます。 やり方も簡単です。まず備長炭を15分ほど煮沸消毒して、天日干しをしたあと、1リットルの水が入った瓶の中に入れるだけ。6時間から12時間くらい浸せば完成です。
注意すべき点は、しっかりと天日干しをすること。これが不十分だと、炭の味が残ってしまいます。 私が初めてチャレンジしたときは、何も知らず家にあった炭を使ってしまい、美味しいものにはなりませんでした。 炭も粉々になって水と混じって、ネットに入れるなど試してみたのですが、あまり意味がなく。 後で気付いたのですが、バーベキュー用の炭を使っていたことが原因でした(笑)。
ちゃんと浄水用の炭を買って試してみたら、本当に美味しい水ができました。飲み比べてみると、普通の水道水は塩素の味がして、違いも実感できるほどです。
※バーベキュー用の炭は使わないよう注意しましょう。
ヘチマたわし
ヘチマたわしは、その名の通り植物のヘチマを使ったたわしです。 普通のスポンジと違って、繊維が環境中に流れてしまっても100%生分解され、使い切って捨てることになっても堆肥として利用できます。 ただヘチマは天然の植物なので水気を含むとカビが生えてしまうので、しっかり乾燥させてながら使う必要がある、という注意点があります。
あと、ヘチマを育てて1からたわしを作ることも可能ですが、私はヘチマたわしとして販売しているものを使ってみました。 ヘチマの種も付属していたので、いつか育てるところから挑戦したいと考えています。
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蜜蝋ラップ
蜜蝋は、ミツバチの巣を構成する蝋を精製したものです。コスメ作りの材料として蜜蝋が余っていたので、それを使ってラップ作りもチャレンジしてみました。
これも作り方は簡単で、まずガーゼのような薄い布を好きな形に切って、さらにその上に粒状の蜜蝋を広げます。 それをクッキングシートで上下から挟んでから、アイロンで圧をかける。 温かさで蜜蝋が解けていくので、全体に伸ばして乾かしたら完成です。
最初は、普通のラップみたいにお皿の上に敷いて、食べ物を保存するつもりでしたが、折り目を付けても時間が経つと戻ってしまい、そういう使い方はできませんでした。 なので、今は果物や野菜の切り口に貼って使ったり、マイ箸の入れ物に使ったりしています。 作り方によっては、お皿に敷いてもタッパーのようにしっかり密閉できるようなので、現在も試行錯誤中です。
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昆虫食
昆虫食を知ったきっかけは、アメリカに留学していたときのことです。 酪農による二酸化炭素の排出が深刻であること、その代替品として昆虫食が注目されていることを授業中に聞きました。 それから昆虫食にチャレンジする機会はなかったのですが、ある日、友達から電話で「昆虫食に興味があるって言っていたよね? 昆虫食の自動販売機を見つけたよ」と連絡があって。
木村さんが挑戦した昆虫食。確かに苦手な人は多いかもしれない一緒に挑戦した友達は怖がっていましたけど、私はもともと虫が好きだったので、抵抗感なく食べられました。 ただ、意外に値段が高いことと、決して美味しいとは言えない、というのが率直な感想でした。だから、これを私生活に落とし込むことは難しいだろう、と感じたのを覚えています。
粉末タイプの昆虫食。見た目もマイルドになったため挑戦しやすいしかし、調べてみると粉末タイプの昆虫食があることを後々知りました。 さっそく購入して、まずはスムージーにして試してみたのですが、入れ過ぎてしまったのか昆虫独特の匂いが強く、100%美味しいというわけではありませんでした。 それでも、栄養や環境への配慮を考えて、今後も取り入れていこうと考えています。
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エコ生活で心まで豊かに!今後はボランティアに挑戦
――エコ生活を実践したことで何か変わったこと、感じたことはありましたか? また、今後チャレンジしたい取り組みも教えてください。
エコ生活を心がけるようになってから、自己肯定感が上がったように感じています。 日々、環境問題に思うことはあっても、自分で変えられないものばかりです。それでも何となく過ごすよりは、個人の範囲であってもアクションを起こしたい。 何かアクションを起こしている、という事実だけでも、自分が理想とする生き方に近付けているようで、充実感が上がりました。
週に1回の燃えないごみの日に、プラスチックの量が多いように感じたら、改善できないか考える。調べて知識を入れ、試して新しい発見を得る。こういったサイクルが好奇心と共に意欲を刺激して、それだけでも楽しいと感じています。
今後については、個人的な取り組みだけでなく、ボランティアに参加したいと考えています。 私生活や浜屋に勤める中でやれることは取り組んでいるつもりですが、個人でやれること、企業でやれること、団体でやれることは違うと思っているので、ボランティアに参加することで、今までとは違った角度で何かできるのでは、と思ったからです。
あとボランティアに参加すれば、自分の知らない素晴らしい行動をしている人たちに出会えて、モチベーションも上がります。 そういった行動を起こしている人たちは、さまざまな理由があって、そこに個性や思想が感じられる。 私自身、環境に強い関心を持つ理由は、自然・生物・ヒトの「共存共生」を守りたいという想いが軸になっています。地球はヒトだけのものではありませんから。 そういった他の人たちの想いを知るだけでも、自分の刺激になる。 だから、どんどん活動の輪を広げて新しいことに挑戦していきたいです。
――これからエコ生活を始めようと思っている人たちにメッセージをお願いします。
ここ数年で企業や自治体が、エコ・環境問題に力を入れる傾向が強くなり、世界はいい方向へ進んでいるように見えます。 しかし、社会の動きを待っているのではなく、何か自分で行動すれば、さらにそういう動きが加速するのではないか、と考えています。
一人ひとりが変えていこうという気持ちを持てば、さらに理想的な社会が作られるはずです。 もちろん、私の考えを強制することはありませんが、中にはどういう問題が起こっているのか、意識していない人も存在しています。 そんな方も私の行動がきっかけとなって、何かを始めてもらえたらと思います。
――最後に、浜屋でどのようなプロジェクトに参加しているのか教えてください。
私はアンティークを専門とする骨董事業課に所属し、海外をメインにさまざまな商材をリユース販売しています。 具体的には、こけしや黒電話など日本を感じさせるものです。これらは日本で不用とされてしまったものですが、海外のお客様に大変喜んでもらえるので、リユースの魅力を感じています。
木村さんが所属する骨董事業課は、国内で出た不用品をリユースして海外に日本の魅力を伝えている驚いたのは、ランドセルがヨーロッパで人気だということでした。ランドセルは小学校を卒業したら使わないもの、という認識でしたが、ヨーロッパでは高品質なバックとして評価され、大人が使っています。 あと、仏壇も海外ではタンスとして使われることがあるそうです。日本では宗教的な意味が強いため、仏壇をそのように使うことはありませんが、海外では普通の家具として使われる。
ものは見方を変われば使える幅が広がる、と教えてくれる点もリユースの面白いところです。 だから、もし片付けや引っ越しで不用品が出てしまったら、ただ捨ててしまうのではなく、どんな方法でもいいのでリユースという選択肢を視野に入れていただければと思います。
参考:Instagram 木村さんのインスタグラム
参考:浜屋 古道具・骨董品買取について