竹しか食べないパンダは栄養足りてるの?驚きの生態に迫る
パンダと言えば、動物園で赤ちゃんが生まれればニュースになるほど人気がある動物です。 しかし、そんなパンダに対してこんな疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
「パンダって竹ばかり食べているのに、どうしてあんなに大きいの?」
パンダの体はとても大きく丸々していますが、竹だけで栄養を補えているのか、確かに疑問ですよね。 今回はパンダの栄養は竹で足りているのか、という謎に迫りたいと思います。
パンダの食性は竹だけ?栄養はどうなっているの?
パンダ(ジャイアントパンダ)は、立ち上がると170センチほどあり、体重も100キログラムと割と大きい動物です。 そんなパンダは竹や笹を食べて生活しているわけですが、あの大きい体を満足させる十分な栄養を摂取できているのでしょうか。
本来、パンダが分類されるクマ科の動物は、前肢の構造上、物を掴むという動作ができませんが、パンダは竹を掴めるように特殊な進化を遂げ、頭部も堅い竹を噛み潰すための進化が見られます。 つまり、パンダは竹を食べるために進化してしまうほど、竹を食べることに価値を見出していることがうかがえます。
しかし、パンダが食べる竹や笹は決して栄養価が高いスーパーフードではありません。 だとしたら、パンダは他の食べ物から栄養を得ていると考えた方が自然だと言えるでしょう。
ちなみに、パンダは小型の哺乳類や魚、昆虫、果物を食べることもありますが、食性の99%を竹類や笹類の葉と幹が占め、それらを食べることは稀なことです。 では、パンダはどこから栄養を摂取しているのでしょうか。
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パンダが竹を食べるだけで栄養を摂取できる理由
結論を言うと、パンダは竹から栄養を摂取しています。 ただ、パンダはクマ科の動物であり、消化器官は肉食動物と大変似ているため、セルロース(食物繊維)の分解が苦手です。 そのため、パンダは竹を食べても2割ほどしか消化できず、栄養摂取の効率は大変低くなっています。
それでも、パンダが栄養を摂取できる理由は、何と「ひたすら食べているから」です。 パンダは何と1日の半分は竹を食べることに専念しています。その量は1日に10~18キロ。 つまり、竹に栄養がない分、パンダは量で補って、あの体系を維持しているのです。
栄養がないから、とにかく食べ続ける生活。 人間からしてみると「それでいいのか?」と問いかけたくなる気持ちになりますが、パンダがそのような食生活に至った理由があるのです。
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パンダが竹しか食べなくなった理由とは?
消化器官から判断するに、その昔はパンダも肉食だったと考えられています。 おそらくは、パンダも野山を駆け回り、獲物を捕らえようと必死だった時期があったのです。
しかし、パンダはある時期から気付いてしまいました。 必死に走り回ってエネルギーを消費するより、冬場に獲物を捕らえられず飢えに苦しむよりも、いつでも苦労せずに食べられる竹を選んだ方がいいのでは、と。
竹は冬場も枯れることはありません。また、他の肉食動物と競うこともなく、食べられるものです。 そのため、パンダは必死になって頑張るくらいなら、栄養のない竹をとにかく食べる、という選択肢を取り、徐々に体もそのように進化していったのでした。
また、氷河期によって捕食していた動物が絶滅してしまい、竹を食べるようになった、という説もあります。 どちらにしても、パンダからしてみると望んで竹を食べるように進化したわけではないようですね。
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パンダだけじゃない!動物たちの驚異的な生態
パンダの驚くべき生態は、これだけではありません。 中国科学院動物研究所などの研究チームがアメリカの科学誌「Cell Reports」で、パンダの腸内には特殊な細菌があると発表しました。
春から夏になると、パンダはタケノコ(竹の若芽)を好んで食べますが、これは炭水化物やたんぱく質を多く含みます。 そして、パンダはタケノコを食べられる時期になると、腸内細菌の一種である酪酸菌が増える体質で、これが皮下脂肪を効率よく蓄積している可能性があると判明したのです。
さらに、この研究チームはパンダが持つ菌をネズミに移植。すると、そのネズミが他のネズミよりも体重が増加した、という研究成果も得ています。
このような驚異的な生態を持つ動物は、パンダだけではありません。 そして、そんな生態が人間に対して、何かしらのメリットをもたらすケースがあります。 それは、人間が生物多様性を守る理由の1つでもあるのです。
もしかしたら、パンダの菌が人間に何かしらのメリットをもたらす未来が、そのうちやってくるかもしれません。 パンダのような生き物が絶滅してしまうことがないよう、私たちも人間が環境にもたらす影響を考えてみましょう。
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