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事業の成長によって社会課題の縮小を目指す 人と地球を健康にする 株式会社ユーグレナ

事業の成長によって社会課題の縮小を目指す 人と地球を健康にする 株式会社ユーグレナ
©株式会社ユーグレナ

株式会社ユーグレナは、東京都港区に本社を置くバイオベンチャーで、微細藻類に関する研究開発や商品の製造販売を行っていますが、サステナビリティを追求する企業でもあります。 そして、その分野は幅広く、世界が抱える社会課題に取り組んでいます。 今回は株式会社ユーグレナから、サステナビリティに関する取り組みについてお伺いしました。

サステナブルを追求する企業ユーグレナとは?

――ユーグレナ社とは、どのような事業に取り組む企業なのでしょうか。また、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」というフィロソフィーを掲げていますが、どういった想いが込められているのでしょうか。

弊社は、健康寿命の延伸を支えるヘルスケア事業、気候変動の解決を目指すバイオ燃料事業、循環型農業を目指すサステナブルアグリテック事業などを中心に、社会課題の縮小を目指す事業を行っています。 最大の特徴としては、微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)に着目し創業している点です。

ユーグレナが研究開発を続けているミドリムシ
©株式会社ユーグレナ

なぜミドリムシなのかというと、弊社社長の出雲が、学生時代に目の当たりにしたバングラデシュの栄養問題を解決したいという気持ちがきっかけとなっています。 栄養豊富な食材を探し求めた結果、ミドリムシに行き着きましたが、当時は大量培養できないと言われていました。 商業利用できる量のミドリムシを培養できるまでの大変な苦労があり、培養に成功後も世間的には「初めて」の素材だったことから、なかなか買い手が付かず苦労したと聞いています。

ユーグレナ・フィロソフィー「Sustainability First」の制定は、創業から15年経った2020年で、その当時はリーマンショックの後でコロナ禍でもありました。 また、会社の創業当初より事業範囲が広がり、仲間やパートナーも増え、大きく環境は変わっていました。そのような中で、会社の在り方を改めて問うことにしたのですが、激しく変化する時代の中では実現したいことを個別具体的に定義するのではなく、どんなに時代が変化したとしても変わらない、弊社自身のありたい姿の実現を企業経営の中心に据えるべきではないか、という考えが挙がりました。 それで経営理念、ビジョン、スローガンを廃止し、世の中が大きく変わったとしても、強い組織であり続けるために、変わることのないシンプルな哲学を「Sustainability First」として掲げるに至りました。

ユーグレナの哲学と存在意義
©株式会社ユーグレナ

弊社の代表的なサステナビリティに関する取り組みとして、CFO(Chief Future Officer: 最高未来責任者)を、2019年から2024年1月まで設置していました。 これは「未来の当事者」として18歳以下をCFOとして一般募集し、未来世代の声を経営の意思決定に反映するというものです。

CFOの設置によって、これまで商品のプラスチック削減や社内カルチャー醸成のためのペアレンツ制度などが実施・導入されました。 社内でもサステナビリティに対する意識の向上、特に次世代以降の年齢に対する多様性の範囲拡大、変化を受け入れることに抵抗がなくなるなどの変化が見られましたが、この数年で他の企業や自治体がCFOやそれに似たポジションを設置し、社会が未来世代の声を聴く取り組みを見るようになったと感じています。

サステナブルな燃料と栄養問題解決を目指して

――ユーグレナ社は健康食品や化粧品の製造を行っているイメージですが、その傍らでバイオ燃料事業やソーシャルビジネスにも取り組んでいます。バイオ燃料事業やソーシャルビジネスはどのような内容なのでしょうか。

私たちが手掛けるバイオ燃料は化石燃料に代わって、サステナブルな社会を実現する燃料です。つまり「サステナブルなオイル」でして、それを略し「サステオ」と命名しました。燃焼時に二酸化炭素を排出する点は化石燃料と変わりませんが、「サステオ」の原料となるバイオマス(生物資源)は、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさない持続可能性に優れ、化石燃料由来の燃料と相対的に比較した場合にCO2削減効果が期待されます。

サステナブルな社会を実現する燃料「サステオ」
©株式会社ユーグレナ

「サステオ」は、既存の内燃機関に現行の燃料同様にそのまま使用できるため、路線バスや配送トラック、船舶などに活用されています。さらには自衛隊機や政府専用の飛行機に導入された実績もあります。現在はマレーシアの国営企業ペトロナス、イタリアのエネルギー企業Eniと、マレーシアにバイオ燃料の商業プラントを建設・運営するプロジェクトも検討中です。

ソーシャルビジネスに関しては、より多くの人に栄養素を届け、「人と地球を健康にする」ことを目指して、創業のきっかけとなったバングラデシュで活動を行っています。 その1つが「ユーグレナGENKIプログラム」です。これは栄養問題解決に向け、お客様からの売上および寄付金の一部で、バングラデシュの子どもたちにユーグレナ入りのクッキーを届けるというプログラムです。 バングラデシュでは5歳以下の子どもの2~3人に1人が貧血状態にあり、さらにビタミンAや鉄分といった栄養素も不足しがちのため、5歳以下の子どもの約30%ほどが発育不全状態です。

「ユーグレナGENKIプログラム」ではユーグレナが入ったクッキーを配布している
©株式会社ユーグレナ

「ユーグレナGENKIプログラム」では栄養豊富なユーグレナ入りのクッキーを無償で配布しています。1食分のクッキーは6枚で、これだけでバングラデシュの子どもたちに特に不足している栄養素1日分を提供することが可能です。 2014年にはじまったこの活動の10周年を期に、法人を対象にした新たな寄付金制度「GENKI-Yell(エール)」を新設しました。 これからも、多くの子どもたちにクッキーを届けるため、プログラムの拡大を目指したいと考えています。

参考:株式会社ユーグレナ GENKI-Yel|ユーグレナGENKIプログラム

他にもソーシャルビジネスの一環として、バングラデシュ人初のノーベル平和賞に輝いたムハマド・ユヌス博士が率いるグラミングループとの合併企業、「グラミンユーグレナ」を設立し「緑豆プロジェクト」を推進しています。 こちらのプロジェクトでは、バングラデシュでよく食べられる食材でもあり、日本ではもやしの原料となる「緑豆」の栽培がメインとなるプロジェクトです。

緑豆の栽培は食糧を供給するだけでなく、貧困層の雇用創出につながる
©株式会社ユーグレナ

日本の高度な栽培技術指導によって、高品質な緑豆をバングラデシュで栽培し、両国に安定的な供給を目指しています。 バングラデシュにとっては、農業技術とノウハウの導入、貧困層の雇用創出に。 日本にとっては、新たな緑豆の供給源を確保するとともに、価格の安定化や安全・安心な品質の食料確保につながるなど、両国にとってメリットがあるプロジェクトとなっています。

持続可能性に配慮した食材や宇宙食素材

――ミドリムシの他にも、どのような藻類の研究を行っているのでしょうか。またお勧めの商品を教えてください。

弊社では、クロレラやオーランチオキトリウムといった藻類の研究を進めています。 植物性のプランクトンであるクロレラは、ビタミン、ミネラル、カロテノイド、不飽和脂肪酸、葉緑素など豊富な種類の栄養素を持ち、1960年代から健康食品として活用され、私たちの健康を支えてくれる存在です。

弊社のクロレラは、石垣島の温暖な気の中で豊富な水源を用いて培養され、栄養素をバランスよく含んでいます。

沖縄県石垣島の自然に育まれたクロレラは、豊富な栄養をバランスよく含んでいる
©株式会社ユーグレナ

食品中に含まれるたんぱく質の栄養価を必須アミノ酸の含有率から評価する値のことをアミノ酸スコアと言いますが、弊社のクロレラはこの値が100と最高値で、質のよいたんぱく質を効率よく摂取することができます。 また、環境と社会に配慮した責任ある養殖方法で生産された水産物を対象とする国際認証制度のASC認証、持続可能で環境に配慮した漁業で獲られた水産物を対象とする国際認証制度のMSC認証を、「ASC-MSC 海藻(藻類)認証」としてミドリムシとともに世界で初めて取得した持続可能性に配慮された食材でもあります。

オーランチオキトリウムの魚介風味は、ウニの味を再現したり、ラーメンのスープとして活用したり、シーフード代替素材として期待される
©株式会社ユーグレナ

オーランチオキトリウムは、人間の必須栄養素であるDHAを多く含み、魚のDHA源と言われています。旨味が特徴の微細藻類で、プラントベースのシーフード代替素材としての活用が期待され、海洋環境の持続可能性も考慮されているだけでなく、宇宙空間で不足しがちな必須脂肪酸を効率的に供給できることから、宇宙食素材としての利用も考えられています。

お勧めの商品は、弊社の主力食品ブランド「からだにユーグレナ」です。こちらは59種類もの栄養素をバランスよく含む石垣島ユーグレナを毎日手軽に摂取できます。水や料理に溶かして使えるパウダータイプ、いつでもどこでも手軽に飲めるサプリメントタイプ、食事や仕事の合間に飲めるスムージータイプなど、シチュエーションにあわせて商品タイプを選べます。

参考:ユーグレナ・オンラインショップ からだにユーグレナ

ユーグレナの事業成長が社会課題の解決に

――ユーグレナ社は循環型農業の実現に関する取り組みもあると聞いています。ユーグレナ社が目指す形はどのようなものなのでしょうか。

弊社では、サステナビリティを軸とし、ヘルスケア・バイオ燃料・新規領域の3領域で成長戦略を掲げています。 その新規領域事業の1つが、肥料や飼料などを手掛けるサステナブルアグリテック事業です。 具体的な取り組みとしては、食品グレードに達しなかった素材やバイオ燃料の原料となる油脂をユーグレナから抽出した後の脱脂藻体、ユーグレナ・グループ内外の未利用資源を、飼料や肥料として活用し、循環型農業の実現に貢献するというものです。

弊社は「人と地球を健康にする」というパーパスのもと、私たちの事業が成長すればするほど、社会課題の縮小につながることを目標に事業を行っています。

今回紹介させていただいた取り組みの他にも、サステナビリティを追求した取り組みを行っていますので、ぜひ興味を持っていただけたら幸いです。

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