アメリカザリガニはなぜ日本に?生態や影響を簡単解説

アメリカザリガニはなぜ日本に?生態や影響を簡単解説

子どものころ、池や小川で見かけたザリガニを飼育したことはなかったでしょうか 自然豊かな環境ならば、今も見かけるかもしれないザリガニですが、それは条件付特定外来種に指定された「アメリカザリガニ」かもしれません。 本来生息していないはずのアメリカザリガニが、なぜ日本へやってきたのか、とても気になるところですよね。

今回はアメリカザリガニが日本にやってきた理由や、その生態と周辺環境に対する影響をご紹介します。

外来種問題で有名!アメリカザリガニとは

アメリカザリガニは、エビ目ザリガニ下目アメリカザリガニ科に分類される種で、原産地はその名の通りアメリカとなっています。 アメリカの他では、日本やフランス、メキシコ、ドミニカ、スペイン、ドイツといった地域で、外来種として移入分布しています。

体長は12~20センチで、赤色か褐色のボディが特徴。 5対の足がありますが、第1胸脚は大きなハサミとなり、獲物を挟むために使われます。 水田や用水路、池といった水深が浅く流れの緩い環境を好み、湿地に穴を掘って生息。流れの速い川には生息しませんが、水質汚染に比較的強いといった特徴もあります。

食性は雑食性で、藻類や小魚、水性昆虫など何でも食べ、飼育化では共食いすることも。 日本ではドブ川や農業用水といった不衛生な場所に生息するイメージがあるため、食用に利用されることはありませんが、アメリカや中国だとザリガニ料理は人気があります。

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アメリカザリガニはなぜ日本にやってきた?

アメリカザリガニはなぜ日本にやってきたのでしょうか。 それは、1927年にウシガエル(文中リンク 投稿前のウシガエルの記事)の餌として神奈川県の鎌倉食用蛙養殖場(現・岩瀬下関防災公園)に20匹 (27匹という説もあり)のアメリカザリガニが持ち込まれたことが始まりでした。

当時、ウシガエルは貧しい農村の副業として養殖が進められていましたが、食用とする習慣が根付くことなく、アメリアに輸出を行っていたものの、太平洋戦争によって貿易は停止。 多くの養殖場が閉鎖され、ウシガエルとその餌として利用されていたアメリカザリガニが逃げ出し、各地で繁殖しました。

アメリカザリガニの分布拡大は、水生生物を捕食するほか、水草を切断して魚の産卵場所を奪うといった影響があり、ゲンゴロウやシャープゲンゴロウモドキといった生物が激減した例もあります。 これにより、日本生態学会によって「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定され、2015年までは要注意外来生物に指定されていました。

2020年に開催された、環境省の「第12回特定外来生物等専門家会合」では、特定外来生物指定も議論されましたが、アメリカザリガニの飼育は市民権を得ているため「現行法下で指定した場合は飼育個体が大量遺棄されるなど、社会的な混乱を引き起こすことが懸念される」と指定は見送られることに。

しかし、2021年に環境省の専門家会合でアメリカザリガニとアカミミガメを規制する必要性などを盛り込んだ提言案が出されると、2022年に通常国会で「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律」が成立します。 これにより、アメリカザリガニは2023年から「条件付特定外来生物」に指定されるのでした。

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アメリカザリガニは家で飼っても大丈夫?

日本ではザリガニ釣りが子どもの遊びとして定着し、飼育する家庭も珍しくありませんでした。 条件付特定外来生物に指定されたザリガニを飼育することは問題ないのでしょうか。

通常、特定外来生物に指定された生物は、飼育や運搬、譲渡といった行為は規制されています。 しかし、アメリカザリガニに関しては、飼育の習慣が広まっていることもあり、条件付特定外来生物として飼育が可能です。 申請や許可、届け出といった手続きも不要となります。 ただ、アメリカザリガニを池や川といった野外に放す、逃がすことも法律で禁止され、違反すると罰則・罰金の対象となることから、適切な飼育環境が必要です。

飼い続ける ことが難しくなった場合は、友人や知人、新しい飼い主を探してくれる団体などに譲渡する必要があります。 こちらも無償であれば申請や許可、届け出といった手続きは不要ですが、多くの人に配っていき渡せるような行為は規制されているので注意しましょう。

参考:環境省 2023年6月1日よりアカミミガメ・アメリカザリガニの規制が始まりました

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アメリカザリガニのような外来種は他にも

このように、アメリカザリガニは人間が持ち込んだことで、日本で広く分布し、在来種に悪影響をもたす結果となりました。 人による動植物の移動は生態系の破壊につながりますが、そのケースはアメリカザリガニに限りません。 多くの動植物が人間の都合によって、持ち出され、外来種問題に発展しているのです。

私たちは自然のバランスを守るためにも、環境問題のためにできることを考え、身近なリサイクルを心掛けるなど、日ごろから意識する必要があります。 簡単なものからでも構いませんので、何か行動できることがないか、考えてみてください。

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