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出張買取サービス「買いクル」成長率645%の魅力とは?誕生から新サービス構想まで 株式会社RC 由井淳一さん インタビュー

出張買取サービス「買いクル」成長率645%の魅力とは?誕生から新サービス構想まで 株式会社RC 由井淳一さん インタビュー
成長率645%の「買いクル」を支えるスタッフの皆さん
提供:株式会社RC

現在、持続可能な社会の実現に向けた「循環型社会」の形成が強く求められています。この重要な課題に対し、株式会社RCが運営するリユースサービス「買いクル」は、不用品の再利用(リユース)を促進することで、廃棄物の大幅な削減に大きく貢献しています。

買いクルは自宅まで訪問して不用品を買取する「出張買取サービス」を提供していますが、どのようにして誕生し、どのような特徴を持っているのでしょうか。買いクル誕生の経緯からサービスの特徴、そして今後挑戦したいと考えている新たな取り組みまで、株式会社RC FC本部GM 由井淳一さんに詳しくお伺いしました。

出張買取サービス「買いクル」の誕生

――2025年8月にリユース業界専門誌「リユース経済新聞」が発表した「リユース売上ランキング2025 BEST部門別」で株式会社RCさんが運営する出張買取サービス「買いクル」が成長率部門で第1位を獲得。前年からの成長率は645%と発表されましたが、買いクルの誕生にはどのような経緯があったのでしょうか。

株式会社RCは、2008年に自動車買取事業としてスタートしました。 出張買取事業を立ち上げたきっかけは、自動車の買取でお客様のご自宅に訪問する際、「ついでに家具や家電などの不用品も買取できないか」というニーズに気づいたためです。

そこで、2009年より東京都23区を中心に小規模ながら出張買取を開始しますが、ブックオフやハードオフといった従来の大型リユースチェーンとは異なり、大型店舗を持たず、約50坪程度の倉庫に在庫を保管するという、形を取りました。これが効率的なビジネスモデルであり、現在の「買いクル」の原型となっています。 しかし、大きな課題がありました。当初は買取した商品はEC販売や古物市場で販売していましたが、国内販売のみではどうしても廃棄品が発生し、廃棄コストが負担となっていたのです。

そこで、事業が安定し始めた2014年頃、代表である堀井が「日本の良品を海外へ」という新たなビジョンを掲げ、販路の開拓に乗り出します。 独自に調査と交渉を続けた結果、カンボジアで販路開拓に成功。国内でニーズが減少してしまった古い家具や家電も海外では高い需要があるため、輸出ルートが確立すると廃棄コスト削減に成功し、事業は大きく成長を遂げました。

海外では日本の品が大変喜ばれる
提供:株式会社RC

その後、この事業モデルは、安定した収益性と環境に優しい特性から、将来性、再現性が極めて高いと判断し、2016年から「買いクル」モデルを共有するフランチャイズの募集を開始。2018年6月頃には商標登録も完了し、本格的な全国への横展開を進め、現在も株式会社RCは順調に成長を続けています。

買いクルなら意外なものまで価値が付く

――買いクルの特徴や強みを教えてください。

私たちのサービス形態の最大の特長は、大型店舗を構えない点にあります。現在「店舗」と表現しているのは、お客様に場所を分かりやすくお伝えするための表現であり、実態はあくまで効率的な活動拠点です。 買取方法としましては、基本的にお客様のご自宅へお伺いさせていただく「出張買取サービス」となり、その場で査定・値段付けを行うという流れです。ご成約いただければ、原則としてその日のうちに引き上げます(※一部商品や状況によっては後日引き上げとなる場合もあり)。 そのため、お客様は重たい品物を運ぶ手間がなく、手軽にご依頼いただける、という点が最大のメリットです。

もう1つの大きな特徴は「どんなものでも査定」させていただく、という点になります。私たちは、特定のブランド品や貴金属、車などに特化した専門の買取業者ではありません。お客様がより依頼しやすい環境を整えるため「何でもいったん見ますよ」というスタンスを徹底しています。そのため、主要な買取対象はお客様のご自宅にあるものすべてです。

具体的には、家具、家電から洋服や雑貨など。さらには小型家電、趣味のコレクションなど、とにかく幅広く取り扱っていますが、お客様にとって「まさか値段が付くとは!」という品物にこそ、私たちのサービスの真価があると考えています。 お客様が「売れるだろう」と思うものは当然なので、意外な品物も価値が付くところも買いクルの強みと言えるでしょう。

買いクルなら意外な品物も価値が付く可能性が
提供:株式会社RC

過去の事例で言うと、新聞紙を買取らせていただいたケースがありました。 以前、お客様の古い木箱を買取らせていただいた際、その下敷きとして使われていた明治時代の新聞紙に目が留まり、もしかしたらと買取らせていただいたのです。 実際にECサイトに出品したところ、すぐに売れて驚きましたが、もし当時の事件などが掲載されている資料的な価値があるものだったら、かなり高値が付いたかもしれません。 明治・大正時代の消防団のバッジや戦前の日章旗などもコレクターの間で人気があり、お客様が「ガラクタだろう」と思っても値段が付くケースはあります。

他にも、ステンドグラスやガラス製の傘を持つ昭和レトロな照明器具も、インテリアとして再評価されて人気です。こういった古いものもお客様は価値がないと考えていることが多いため、そこに目を向けて「これも買取できますよ」と積極的にお声がけするよう心掛けています。

買いクルのリユースは社会課題の解決に貢献

――その他にも、障害者就労支援の企業と協力した取り組みや「段ボールで世界を救うプロジェクト」を行っていると聞きました。これらはどのような取り組みなのでしょうか。

障害者就労支援の企業「ほまれの家」さんと連携した背景は、互いの課題と需要を補完し合う関係性にあったからです。 まず就労支援側の課題として、障害者の方に対し能力に適した業務を提供する必要がありますが、業務内容が複雑だと施設側のオペレーションが困難である、という点があります。

障害者就労支援の企業に複雑でない作業を提供する
提供:株式会社RC

そこで、買いクルが買取した商品のEC販売業務を細分化・分業することで複雑でない作業として提供できるようにしました。 逆にほまれの家さん側がEC販売業務を取り入れたいというケースもありますし、買いクルのオーナー側から障害者支援事業を並行して行いたいというケースもあり、両者の需要と供給が一致し、相互に補完し合う関係を築いています。

ほまれの家と連携の仕組み
提供:株式会社RC

段ボールの買取については、もともと検討していた企画でしたが、この形として始まったきっかけは弊社のメンバーが拓殖大学のゼミにアドバイザーのような立ち位置で参加していたことにあります。 そこで学生が考案した企画を弊社のキャンペーンとして実行することを提案したところ、学生たちも自分たちが考えた企画が企業で採用されるという貴重な機会に熱意を持って取り組んでくれました。

買いクルのメンバーと一緒に企画を立ち上げる学生たち
提供:株式会社RC

ゼミ自体が環境対策をテーマとしていたことから「段ボール」がキーワードとして浮上し、回収量が増えているにも関わらず、再利用があまり進んでいないため、そこは成長の余地があるのではないか、と判断できたのです。 そして、弊社は以前からショップバッグなどを購入していた実績があったため、再利用可能な状態の段ボールに限定して買取すると基準を設けることで、この企画が実現しました。

また、この企画が進行していた時期にリユース・リサイクル事業を主力とする企業「株式会社浜屋」から「キフコレ」のご案内いただいたことも、大きなポイントです。

※キフコレは不用品を寄付できるサービス。不用になった家電や生活雑貨を段ボールに詰めて送るだけで手軽に寄付が可能であり、利用するたびに環境保全や水の浄化剤の寄付など4つの社会貢献につながる特徴がある。

4社協力プロジェクト「ダンボールで地球を救う」の仕組み
提供:株式会社RC

弊社は日頃からお客様のご自宅に出入りしているため、買いクルのサービスをご利用いただく際に「キフコレ」をご案内できると考えました。 そのタイミングで買取した段ボールを「キフコレの利用時に使ってください」と提供できる。 これにより、段ボールをより有効に循環させ、キフコレは利用されるたびに社会貢献活動につながることから、無駄を抑えて人の役に立つ取り組みと言えます。

参考:買いクル ダンボールで地球を救う

リユースや社会課題解決の新たな形を追求する

――今後、買いクルの他にも力を入れていきたいサービスや取り組みがあれば教えてください。

これは直接的な環境対策サービスではありませんが「アキクル」という空き家の管理サービスを開始しました。 現在、空き家問題は日本社会において非常に大きな課題となっています。 空き家を放置すると、固定資産税の優遇措置が解除されて税金が高くなるだけでなく、火災や不法侵入などによる治安の悪化を引き起こすため、対策の必要性が強く叫ばれ始めている問題です。

なぜ、弊社が空き家の対策に取り組めるかと言えば「買いクル」の事業が大きく関係しています。 「買いクル」のオーナー様方は、それぞれのテリトリー内で商売しており、日常的にトラックで地域を巡回しているため、お客様から「空き家を見守ってほしい」という要望があれば、対応ができるという形です。

アキクルの具体的なサービス内容は、空き家の変化を報告することにあります。 訪問時に郵便物の確認する、お預かりした鍵を使った換気を行う、建物の破損がないかチェックするなど。 そして、変化や異常があればお客様に報告する、というサービスです。 空き家問題への取り組みは、地域社会の治安維持や資源の有効活用といった観点から、環境問題とも間接的にシナジーがあると考えています。

アキクルの仕組み
提供:株式会社RC

――最後に、リユース・リサイクル業界の発展のため、株式会社RCさんはどういった立ち位置を目指すとお考えなのでしょうか。

まずは買いクルの成長を目指すことになりますが、買取サービスにおいて、査定を受けたお客様の約8割が「思ったより安かった」「思ったくらいの金額だった」という印象を持つのが実情です。 市場価格を大きく超える金額の提示は難しく、お客様との間にこの金額的なギャップが生じることは避けられません。 そのため、市場が拡大し競合店が増える中で「他の会社より高く買う」という戦略は、いずれレッドオーシャンになると考えています。

だとしたら、今後は価格競争とは異なる軸でサービスを追求しなければなりません。 それは「体験型の買取」を強化し、お客様に価格以外の部分で感動や高い満足度を感じていただくことだと考えています。 例えば「買取価格は他社の方が高いかもしれないが、買いクルさんなら親切で安心できる」と感じていただき、お客様が金額以上に満足度を優先してくださるようなサービスを目指すといったスタンスです。

あと、これはイメージ段階ですが、リユースを通じたサブスクリプションサービスを実現したいと考えています。 ここ数年で多くのユーザーが月額課金サービスを利用していますが、私たちは逆のパターンで「毎月お金がもらえるサブスクリプション」があれば、と。

おそらくはお客様に定期的に商品を買取らせていただく、定期買取便のような形を想定しています。 毎月、お客様の元に顔を出して「今月はこれとこれをお持ちしますね」という形で、定期的かつスムーズな買取を実現したいです。

参考:買いクル 公式サイト
参考:アキクル 公式サイト

由井淳一(よしい・じゅんいち)
株式会社RC FC本部GM 買いクル、プロ査定士。直営店メンバーとして年間900件の買取査定を行う。現在はフランチャイズ本部として、加盟店のサポート部隊として活動

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