イシュケル国立公園とは?環境問題によって失われる世界遺産の自然

イシュケル国立公園とは?環境問題によって失われる世界遺産の自然

世界遺産は、人類にとって後世に残すべき宝だと言えます。
しかし、そんな世界遺産も人間の手によって失われてしまうかもしれません。
チュニジアの世界遺産、イシュケル国立公園もそんな世界遺産の一つです。
イシュケル国立公園はどのような環境問題に悩まされているのでしょうか。

イシュケル国立公園とは

イシュケル国立公園は、北アフリカの国、チュニジアの北部、地中海の付近にある国立公園です。
1980年に自然遺産として、世界遺産へ登録されています。

イシュケル国立公園が世界遺産として評価された一番のポイントは、毎年多くの渡り鳥が訪れる、湖と湿地です。
北アフリカは、開発や干拓によって数多くの湿地帯が失われてしまいました。
しかし、イシュケル国立公園がある地域は、1705年から250年もの間、フサイン朝の王家の狩猟地でした。
そのため、北アフリカにとって貴重な湿地帯として、現在まで残されているのです。
また、ただ湿地帯が存在しているだけではなく、昔からの自然環境や生態系が残っていることも、世界遺産として評価される場所です。

イシュケル国立公園の見所

イシュケル国立公園は世界遺産として、どのような魅力があるのでしょうか。
いくつかの見所をご紹介します。

バードウォッチング

イシュケル国立公園は、やはり多くの渡り鳥などを観察できることが一番の魅力です。
フラミンゴやガチョウ、コウノトリなど様々な鳥が、イシュケル国立公園に訪れるのです。
冬にはハイイロガン、メジロガモ、ナベコウに加え、珍しいカオジロオタテガモも見られます。

湖と山

渡り鳥たちが訪れるのは、イシュケル湖の存在によるものです。
この地域は冬も温暖な気候で、イシュケル湖の周辺には、ラムサール条約にも登録される広大な湿地帯があることから、多くの渡り鳥が越冬地として訪れます。
また、この湖は隣にあるビゼルト湖が地中海とつながっていることから、淡水と海水が混じり合って、独特の生態系が存在し、珍しい動植物も存在しているのです。
イシュケル山についても、かつては野生動物が多く存在していました。
しかし、環境破壊の影響で減少傾向にあります。
他にも、イシュケル湖では1800万年前の動物の化石、石器時代の石器が見つかったことでも有名です。

博物館

イシュケル国立公園内に、小さな博物館があります。
そこでは、イシュケル国立公園に生息する動物や植物が紹介されています。
また、イシュケル湖が見渡せるということも、この博物館が見所である要素の一つです。

危機遺産となった原因は?

イシュケル国立公園は美しく、北アフリカでは貴重な湿地帯で、さらに渡り鳥の越冬地として、価値のある場所でした。
しかし、そのイシュケル国立公園は、1996年から2006年の間、世界遺産としての価値が失われつつある、危機遺産として登録されてしまいました。

その原因の一つは、湖の水源となる川にダムが建設されたことでした。
ダムによって淡水が減ってしまったことで、湖と湿地帯の生態系に大きな影響が出てしまったのです。
それは、周辺の植物に変化を起こし、その植物に依存していた鳥たちの個体数を減少させることになります。

また、密猟者の存在や周辺の干拓地から汚水が流れ込むなど、イシュケル国立公園の自然は失われつつありました。
政府の様々な努力によって、危機遺産の登録は解除となりますが、塩分濃度が濃くなってしまった水を回復させるのは難しいとも考えられています。

環境への影響を考える

イシュケル国立公園の湖や湿地帯は、自然への配慮が足りない建設などによって、その自然を失ってしまいました。
世界中の国々では、大規模な開発は事前に環境への影響を予測、評価する「環境アセスメント」が行われています。
私たち人間が、自然の傍で何かをするときは、このような配慮が必要でしょう。
もし、自然が近い場所でレジャーなどを楽しむ場合は、ぜひ環境に悪い影響を与えないか、一度考えてみてください。
そのような小さな取り組みだけでも、自然が守られる可能性は十分にあるでしょう。

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