AIが環境問題を解決するかもしれない?事前予測で悪化を防ぐ対策に

AIが環境問題を解決するかもしれない?事前予測で悪化を防ぐ対策に

現在、人間の能力を補うために、さまざまな分野でAI(人工知能)が活用されています。AIは、私たちの身近なところだけでなく、環境問題という地球規模での課題にも活用されているのです。

それでは、AIは地球の環境問題にどのように活用されているのでしょうか。AIのさまざまな活用事例について、ご紹介します!

AIを環境問題に活用する案が世界で注目されている理由

世界では、気候変動による自然災害への対応、水資源や食料の確保、多様な生物の保全など、さまざまな環境問題への対策が急がれています。これ以上問題が大きくならないよう対処するために研究が行われていますが、人間の力だけでは限界があるのかもしれません。

世界では地表から宇宙に至るまで、幅広いデータを収集しています。その中から、問題の原因となる地球の変化を読み解れるのですが、データの量はとてつもなく膨大です。膨大なデータを人間が分析したり、活用したりすることには限界があります。

しかし膨大な地球のデータをAIの学習機能によって分析すると、地球環境に与えるさまざまな影響を予測できるのです。予測ができれば、対策を打てるようになるため、環境問題におけるAIの活用は、世界で注目されています。

すでにMicrosoftやGoogleは、環境問題の対策にAIを活用する取り組みを進めています。自社のAIを活用して環境問題の対策に取り組む企業には、助成金を授与するなど、環境問題におけるAI技術の発展に貢献しているのです。

AIが環境問題に活用されている事例を紹介

ここからは、世界中で環境問題に活用されているAIを紹介していきます!動物や森林の保護、持続可能な農業、地球温暖化の予測に至るまで、幅広く活用されているAIについて見ていきましょう。

絶滅危惧種の保護にAIを活用

絶滅危惧種であるザトウクジラの保護のために、NOAA(米国海洋大気庁)の研究者は海中に設置したマイクでザトウクジラの声を捉えようとしていました。しかし、海中にはさまざまな雑音があり、その中からザトウクジラの声だけを抽出することは困難なのだそうです。

GoogleはNOAAと共同で、膨大な海の音声データの中から、ザトウクジラの声だけを抽出するAIを開発することに成功。ザトウクジラの保護に大きく貢献しています。

AIが農地単位で天候を予測し収量を増大させる

オーストラリアのタスマニア州は、世界一気候変動が激しく、乾燥している地域だとされています。

タスマニア州にある農業技術企業「Yield(イールド)」は、MicrosoftのAIを活用して、農地単位でリアルタイムに天候を予測。狭い範囲での予測が可能なので、天候によって作物に与える水を適切に調節でき、水の削減と効率的な栽培に貢献し、作物の収量の増大にも成功しています。

AIでゴミを分別

スペインの企業「SADAKO TECHNOLOGIES(サダコテクノロジー)」は、リサイクルできるゴミを分別するAIを開発。AIによって画像で物体を分析したり、アームを制御したりして、ベルトコンベアーから流れてきたゴミを瞬時に分別します。

日本の産業廃棄物業者「シタラ興産」では、フィンランド製のゴミ分別AIが搭載されたロボットが実用化されており、人間より5倍も速いスピードで分別できるそうです。

森林伐採を監視するAI

大規模な森林伐採は、世界中で深刻な問題となっています。しかし、森林伐採を人の目だけで検知するのは、きわめて困難です。世界資源研究所(WRI)とアメリカの衛星画像解析会社「Orbital Insight(オービタル・インサイト)」は、衛生写真から森林伐採を監視するAIを開発。監視することで、森林の大幅な減少が起こりそうな地域を予測し、過度な伐採の防止に役立っています。

このほかにも、GoogleのAIを利用して、違法な森林伐採を防ぐ仕組みをアメリカのベンチャー企業「Rainforest Connection(レインフォレスト・コネクション)」が開発。AIを搭載したスマートフォンを使って、伐採に使われるチェーソーの音を感知し、場所を特定できるそうです。

気候変動を予測するAI

地球温暖化の原因は、人間の産業によって排出された二酸化炭素などの温室効果ガスが大きな原因とされています。

しかしオーストラリアのシンクタンクである「Institute of Public Affairs(インスティテュート・オブ・パブリック・アフェアーズ)」は、木やサンゴの年輪などから、過去2000年分の気温変化をAIによる機械学習で分析。するとAIは、多くの温室効果ガスを発生させた産業革命が起こらなかったとしても、気温は上昇し、その後は低下していたと予測しました。

つまり、地球温暖化は温室効果ガスが原因ではなく、自然に起こる気候変動の周期の一部としたのです。この分析結果が事実であるかは不明ですが、膨大なデータの中から地球環境の変動を予測する方法としても、期待されているのです。

環境問題の対策にAIを活用することの問題点

環境問題にAIを活用することは有効である反面、問題点もあるようです。

一般社団法人資源循環ネットワークによって設立された環境イノベーションラボが2018年に、500人のビジネスパーソンを対象として行った調査によると、AIなどの先進技術を環境問題解決に活用することに期待している人は、50%を超えています。しかし、実際に先進技術を導入・検討している企業は約28%にとどまっているのです。

その理由として、「コストとメリットのバランスが悪い」と「技術面の制約がある」を挙げる人が多いことがわかりました。AIのような先進技術の導入は、コストに対して得られるメリットが小さければ、ビジネスとして成り立ちません。また、期待される活用方法が今持っている技術で実現可能でなければ、導入は難しいのです。

環境問題の対策にAIを活用するためには、コストと技術が大きな障壁となっています。

参考:環境イノベーションラボ 環境分野における先進技術活用に関する調査

AIのもつ「環境問題への影響を予測する能力」が地球の未来に役立つかもしれない

環境問題の解決には、一人ひとりが地球の限られた資源を大切に使う意識を持つことが大切です。しかしそれだけでなく、事前に得られるデータによって、環境問題へ発展することを防止するのも一つの対策と言えます。

AIによる機械学習をうまく活用することで、人間には予測できないことを発見し、地球の未来を守る対策につなげられるのです。一人ひとりが地球環境のためにできることを続けるとともに、今後のAIの進展に期待しましょう!

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