日本庭園と西洋庭園の比較から見る自然に対する価値感の違い

日本庭園と西洋庭園の比較から見る自然に対する価値感の違い

私たちが住む日本は、世界的に見ればとても小さく、さらに言えば少し変わった国なのかもしれません。 それは日本の文化と他の国の文化を比較することで、世界との違いが明らかになるでしょう。

その一つの例として、日本庭園と西洋庭園の違いが挙げられます。 庭園を比較することで、日本と西洋の自然に対する価値観が垣間見えますが…それはどのような違いがあるのでしょうか。

日本の庭園

まずは、日本庭園の特徴を考えてみましょう。 日本庭園は池を中心として構成されます。土地の起伏を活かした、人工的な山である築山(つきやま)。自然な庭石や草木。

そして、これらから四季折々の景色が鑑賞できるよう、造型されています。 手法として、深山から流れ出した水が大きな流れに変わる様子を表現、石の組み合わせで山や島を表現する、というものがあります。

また、大きな特徴しては、日本の庭園は左右非対称に作られることです。これは西洋庭園と大きく異なる点と言えるでしょう。

日本の日本三名園

日本庭園の中でも有名なものは、どういったものがあるのでしょうか。 日本三名園と言われる有名な庭園をご紹介します。

兼六園

兼六園(けんろくえん)は、石川県金沢市にある日本庭園です。ミシュラン観光ガイドで最高評価の3つ星に選ばれるほど、その美しさは有名です。 もともとは、1676年に加賀藩の四代藩主である前田綱紀(まえだ つなのり)の別荘の周りを庭園化したことが、兼六園の始まりでした。

春は桜、初夏にカキツバタ、秋は紅葉を楽しめますが、冬も雪吊りが見所として挙げられます。 雪吊りとは、雪が積もることで木の枝が折れないよう、縄で枝を保持することです。 雪吊りによって木々は和傘をかぶったような装いに変わり、夜のライトアップは普段の兼六園とは違った雰囲気を楽しめます。

後楽園

岡山県岡山市北区にある、後楽園(こうらくえん)も日本三名園の一つです。 後楽園は岡山藩主である池田綱政(いけだ つなまさ)の命によって作られ、1687年に着工してから1700年に完成しました。

後楽園の見所は、延養亭や廉池軒、茶祖堂などの歴史的な建造物を楽しめることに加え、春は桜、夏には蓮、秋にも紅葉など美しい景色を味わえます。 また、一年中イベントが行われていて、茶つみ祭、名月観賞会などが開催されています。

偕楽園

茨城県水戸市にある偕楽園(かいらくえん)も素晴らしい日本庭園です。 偕楽園は、水戸藩第九代藩主、徳川斉昭(と くがわ なりあき)の構想から、長尾景徳が造園しました。

ちなみに、徳川斉昭は最後の将軍である徳川慶喜の実父であり、長尾景徳は長尾景虎(後の上杉謙信)を排出した長尾家の本草学者です。

梅の名所として知られる偕楽園ですが、他にも桜や萩、松、竹など四季折々の景色が楽しめます。

西洋の庭園

次に西洋庭園の特徴を考えてみましょう。

西洋庭園と言っても、平面幾何学式庭園や露壇式庭園など、いつくかの種類に分けられますが、広く好まれたのは、平面幾何学式庭園だと言えるでしょう。 平面幾何学式庭園の大きな特徴は、まず館を中心、もしくは起点として、庭園の中央に力強い軸線があることです。

そして、その軸から左右対称性を持たせて、庭園全体を構成されます。 さらに、花壇や木々は規則正しく植えられ、噴水は水の流れを制御することで美しさを形作ります。

有名な西洋庭園

西洋庭園にも世界遺産に登録されるほどの有名なものがあります。 有名な西洋庭園をご紹介します。

ヴェルサイユ宮殿の庭園

ヴェルサイユ宮殿と言えば、1682年にルイ14世の命によって建てられたフランスの宮殿です。 バロック建築の代表作と言われる、豪華な建物はもちろん、広大で美しい庭園は有名です。

ヴェルサイユ宮殿の庭園は宮殿建設よりも労力が費やされたと言われています。 中でも、ルイ14世は庭園の噴水にこだわりました。そこには強いメッセージがあったのです。

それは、ヴェルサイユ宮殿が水を引くには難しい場所に位置しているにも関わらず、豪勢な噴水を設置することで、自然を変えるほどの力がある、と示すものでした。 また、ヴェルサイユ宮殿は、1979年に世界遺産登録されています。

シェーンブルン宮殿の庭園

シェーンブルン宮殿は、オーストリアのウィーンにある宮殿です。 この宮殿は、神聖ローマ帝国がマリア・テレジアの治世下だった1750年頃に完成しました。 長さ100メートルの回廊建築、海神ネプチューンの彫刻がある噴水、巨大なオベリスクブルネン。どれも人の力強さを感じる建築が見られます。

また、意外にもここには日本庭園が存在します。それは1913年に皇位継承者フランツ・フェルディナント大公が、ジャポニスムの影響で造営させたと言われています。

カゼルタ宮殿の庭園

カゼルタ宮殿はイタリアにある宮殿で、18世紀後半に、ナポリ王国の王によって建設されました。 その庭園は、ヴェルサイユ庭園に触発されたものと言われていますが、美しさについては勝っている、と評価されています。 長く伸びる並木道と豊かな水を蓄えた噴水が特徴的で、水は40㎞も離れたタブルノ山から引いているのは驚きです。

庭園から見る日本と西洋の自然への価値観

このように、庭園は日本式のものと西洋式のものでは、特徴に大きな違いがあります。 見た目の違いはもちろんですが、何よりも自然に対する価値観の違いが見られます。

まず、西洋庭園では、木は規則正しく切りそろえられ、水の流れも制御されています。 それに対し、日本庭園では、あくまで土地の特徴や自然の形を活かすようにして、構成されるのです。

他にも、西洋は遠くから水を引く、石は彫刻に変化させるなど、自然の形を大きく変えることで庭を飾りますが、日本庭園は池を中心として、岩や植物もほとんど手を加えることはありません。 西洋庭園は、人為的な美しさを再現することで、人の力を示し、自然すらも文明で支配できることを主張するかのようです。 日本庭園は、自然との調和を重んじることで、自然への敬意、移り変わる時間といった、侘び・さびに美意識を感じていると言えるのです。

その象徴とも言えるのが、西洋庭園は自然ではあまり見ることのない左右対称性を重視し、日本庭園では自然らしい左右非対称性を重視しているのかもしれません。

自然と共存する道を

この世界には、様々な文化があり、言語や習慣が異なります。 その中に何が良い、というわけではありませんが、西洋庭園から見られるような思想は、これからの時代にはそぐわないかもしれません。 私たちは日本に住みながら、かなり西洋化が進んでいると言えるでしょう。

しかし、環境破壊や資源枯渇が懸念されているこれからの時代は、古い日本の考えをもう一度参考にしてみるのも良いかもしれませんね。 ぜひ日本庭園の心を感じ、自然と共存するような生き方を考えてみてくださいね。

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