エミュー戦争勃発!人間が本気で戦った鳥とは【絶滅動物シリーズ】

エミュー戦争勃発!人間が本気で戦った鳥とは【絶滅動物シリーズ】

オーストラリア大陸の全域に生息するエミューは、ダチョウによく似た姿で、飛べない鳥としても知られています。
そんなエミューですが、人間が本気で戦争することになった鳥だということをご存知でしょうか。
「鳥と戦争ってどういうこと?」と思うかもしれませんが、これが本当の話なのです。
今回、絶滅エピソードは控えめで、エミューと人間の戦争をご紹介いたします。

エミューとは

エミューとは、ヒクイドリ目ヒクイドリ科エミュー属に分類される鳥類です。
飛ぶことはできませんが、凄まじく速いスピードで走ることができます。
身長が2メートルほどあり、鳥類の中ではダチョウの次に大きいと言われています。
平地の砂漠地帯や林に住むことが多く、数羽の群れをなして行動します。

エミューは現在でもオーストラリアの全域に生息していますが、一部の種が絶滅しています。
絶滅したのは、タスマニアやキング島にいた、タスマニアエミューやクロエミューと言われる種です。
エミューの肉は食用となり、油も採れることから、そういった面で人間に利用される鳥でした。
そのため、乱獲されて滅亡した…と、いうわけではありません。
では、何があってエミューの種は絶滅したのでしょうか。
それは、酷く人間に嫌われてしまったからです。
嫌われた、というよりも、恐れられた、というのが正しいかもしれません。
それでは、エミューが人間に何をしたのでしょうか。

人間が恐れたエミュー

エミューは木の葉や草、昆虫を主食としています。
冬は昆虫を食べることが多く、あるエミューの胃を調べたところ、3000匹もの昆虫が入っていたそうです。
エミューが食べる昆虫は、農業で有害とされる虫ばかりであったため、彼らは人間にとって有益ではないか、と考えられますが、そうではありません。
彼らは乾季になると、食べ物を求めて畑に入り、作物を食べて家畜用の水も飲んでしまうのです。
そのため、エミューは人間たちに嫌われ、タスマニアやキング島では徹底的に駆除され、絶滅してしまいます。
しかし、エミューたちは嫌われるだけに終わりませんでした。
人々はエミューを恐れ、戦争へと発展する事態となってしまうのです。

1929年、世界恐慌の影響でオーストラリアの農家たちは生活が困難な状況でした。
そんなところに、繁殖期を終えたエミューたちが、耕作地にやってきたのです。
彼らは収穫物を食い荒らし、柵を破壊することで他の動物の侵入を促しました。
それにより、作物が育たなくなってしまったのです。
農家たちは生活が苦しい上に、一生懸命育てた作物を奪われ、ついに政府に相談することになります。
当時の国防大臣であるジョージ・ピアースは、エミューがオーストラリアの兵隊にとって、良い射撃訓練の相手になるだろうと考えて、機関銃で武装した兵隊を動員することになりました。
これが後に「エミュー戦争」と言われる戦いの始まりでした。

エミュー戦争勃発

1932年の10月、オーストラリアの農地に、メレディス少佐が率いるオーストラリア陸軍砲兵隊がやってきます。
突然の長雨によって作戦は延期されましたが、1932年の11月に雨が止み、兵士たちは機関銃を装備して、ついにエミュー殲滅に動き出しました。
そして、兵隊たちは、50頭ほどのエミューを発見します。
兵隊たちはエミューに向かって発砲を開始しましたが、エミューは数羽ずつの群れに分かれると、狙われにくいように散り散りに逃げ出したのでした。
これでは狙いが定まらず、エミューを撃つことが難しかったのでしょう。
兵隊たちによる、最初の戦いの成果は、今一つに終わってしまいます。

次に、メレディス少佐は待ち伏せ作戦を行います。
メレディス少佐は伏兵を配置し、他の部隊を使って、そこにエミューを誘導しました。
1000頭ほどのエミューが十分に近づいたところを伏兵が一斉に射撃を開始します。
たちまち10頭ほどのエミューが倒れましたが、機関銃に不具合があり、発砲できなくなってしまいます。
さらに、暴走したエミューたちが走り回り、兵隊たちはそれ以上何もできず、作戦は終了。
またも、大きな成果は得られなかったのです。

それから、兵隊たちはあの手この手を使ってエミューを駆除しようとしますが、どれも効果は得られず、ただ弾薬だけが消費されました。
メレディス少佐はエミューのとんでもない機動力と危機回避能力に驚くことしかできなかったそうです。
その後、戦いは泥沼化し、開始から一カ月で戦争は終了となりました。
戦争終了の理由としては、国費を無駄にしているだけだ、と判断したからでした。

人間と動物の共存

オーストラリアでは、人間はエミューに対して戦争を仕掛けることになりましたが、エミューは大変温厚な性格であるそうです。
エミューは決して人間に害を及ぼすつもりはなかったはずです。
無暗に動物を虐殺してしまうことは、決して許されることではありませんが、当時の農家の人たちの気持ちを考えると、何とも言えないのではないでしょうか。
このような争いが起こらないためにも、人間は知恵を絞って、争うことなく、人と動物が共存できるようにしなくてならないでしょう。
しかし、兵隊たちが飛べない鳥であるエミューに白旗を上げてしまうとは、何とも驚きの話ではないでしょうか。

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