減少する生物多様性とは?絶滅危惧種が増える原因は環境問題か

減少する生物多様性とは?絶滅危惧種が増える原因は環境問題か

生物多様性、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。文字の通り、幅広く様々な種類の生物が存在することを指します。 この場合の生物とは、動物だけではなく植物や微生物なども含まれます。

また、その生物たちによって成り立つ生態系や遺伝子についても、生物多様性という言葉に含まれ、それらは人間や自然にとって重要性の高いものです。そして、その生物多様性が減少している問題があります。

なぜ、生物多様性は重要であり、減少しているのでしょうか。

生物多様性は重要!減少している理由は?

この世界には様々な動物や植物などが存在しますが、その多様性が失われつつあります。
なぜ、生物の多様性が減少することが問題なのでしょうか。

それは、人間にとって野生の生物は資源とも言えるからなのです。 食料や衣料品はもちろん、日用品や燃料など、人間にとって必要な資源は地球に住まう様々な生物から得ています。 野生生物から得られる資源は様々な利用価値がありますが、中には価値が明らかになっていないものもあります。

また、生物によって構成される生態系は、水質の浄化や土壌形成、気温調節などの自然環境保全機能も有しています。 つまり、生物多様性が失われることは、人間によって重要な資源が確保できなくなり、多くの災害が発生する恐れにつながる、ということになります。

減少する生物多様性!絶滅危惧種が増加

このように、人間にとって大切な生物多様性ですが、それが年々減少していると言われています。絶滅の恐れがある野生生物を国際自然保護連合(IUCN)がリスト化したものを「レッドリスト」と言います。

参照:[IUCN]レッドリスト(英語) IUCN Red List of Threatened Species

IUCNが公開した2016年のレッドリストでは、2万3,928種の絶滅危惧種があると考えられていましたが、2017年のリストでは2万5,821種と増加していました。

日本の野生生物の中で、絶滅の恐れがある種については、環境省によって作成されたレッドリストが存在します。 日本におけるレッドリストについても、2018年は3,675種の絶滅危惧種が確認され、前年より41種増加しているという結果でした。

参照:環境省 環境省レッドリスト2018の公表について

生物多様性が減少する原因は環境問題化

なぜ、これほどまでに生物多様性が失われているのか。 大きな理由の一つは、やはり人間活動による環境問題が考えられます。

その中でも様々な要因が考えられますが、日本が生物多様性の保全のために計画した「生物多様性国家戦略 2012-2020」では、生物多様性の原因を「4つの危機」として以下のように整理しています。

第1の危機(開発など人間活動による危機)

人間による開発や乱獲による、種の減少や絶滅。 過剰な採取や埋め立てによって育成環境が破壊されたことや、鑑賞や商業として乱獲が生物多様性に与えた影響は大きいでしょう。

第2の危機(自然に対する働きかけの縮小による危機)

人が管理していた農地や森林などが、人間によって手入れされることがなくなったため、生態系のバランスが崩れ、動植物が全滅の危機にさらされていると考えられています。 また、その影響でシカやイノシシの増加したことから、食害による植生の衰退などが引き起こされています。

第3の危機(人間により持ち込まれたものによる危機)

人間が外来種を持ち込んだことで、在来種を捕食し、生息場所を奪ってしまうことから、種の全滅や減少が起こります。 殺虫剤や除草剤のような化学物質が人間によって持ち込まれることも、種の存続にとって危機であり、これらによって影響を受ける生物がいると考えられています。

第4の危機(地球環境の変化による危機)

地球温暖化を代表とする大規模な環境問題により、絶滅する生物は少なくありません。 地球の温暖化によって、気温が2度上昇するだけでも、環境が大きく変わり、15%の生物が絶滅すると言われています。

出典元:生物多様性センター(環境省 自然環境局) 生物多様性国家戦略 2012-2020

日本でも生物多様性は減少している

日本の絶滅危惧種の中でも代表的な生物をご紹介します。

ツキノワグマ

森林減少のため、絶滅危惧種と認定されました。シカやイノシシ用の罠による混獲によっても生息数が減少しています。

ジュゴン

人魚のモデルとも言われるジュゴンですが、乱獲や海洋汚染、海藻の減少が原因で絶滅危惧種となりました。

アホウドリ

名前が特徴的なアホウドリですが、羽毛を目的とした乱獲やリン資源搾取によって繁殖地が破壊されたことから生息数が激減してしまいました。

ライチョウ

富山県、長野県、岐阜県の県鳥に指定されているライチョウも絶滅危惧種に指定されています。1980年代には約3,000羽と推定されていましたが、2000年代には2,000羽弱に減少。原因はライチョウが食べる高山植物が温暖化によって減少したことが関係している、と考えられています。

スズメ・ツバメ

日本人にとっては馴染み深いスズメとツバメですが、 2021年10月25日、環境省が20年ぶりに行った鳥類の分布調査結果では減少が確認され、将来的には絶滅危惧種として指定される恐れも出ています。原因は外来種の分布が拡大していることが関係している、と考えられています。

生物多様性の重要性!絶滅危惧種が増加しないように

このように、多くの生物が人間によって絶滅し、または絶滅の危機に迫られています。 その原因のほとんどが人間による活動だと言えます。

私たちは便利な生活を得るために、生態系から恩恵を受け、自然を歪めています。 それによって生物多様性が失われることは、人間にとっても大きな損失です。 これ以上、自然を歪めないためにも、私たちは自然と共存する方法を考えて行かなければならないでしょう。

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