キョンが増えた原因は?話題の外来種による被害と対策

キョンが増えた原因は?話題の外来種による被害と対策

外来種に関する問題は日本だけでも各地にあり、その対策が望まれています。 そんな外来種問題の中でも近年話題になっている動物がキョンです。

千葉県ではキョンにまつわる問題が年々増加し、対策も進んでいないことから、多くの注目を集めています。 今回は外来種のキョンが増えた原因やその対策についてご紹介します。

千葉県で大量発生?外来生物キョンとは

キョンはシカ科ホエジカ属に分類されるシカの一種で、体色は茶褐色、四肢は黒褐色、眼の上から頭頂部にかけて黒い線があることが特徴です。

体長47~70センチ程度で体重は12~17キロ。 森林や藪を好んで生息し、群れは形成せず単独で生活します。 草食性で木の葉や果実などを食べ、もともとは中国南東部及び台湾に自然分布していました。

しかし、イギリスや日本に移入。それからは外来種として注目されています。 日本では特に千葉県を中心に分布を広げ、農作物被害が拡大。水稲、豆類、いも類、野菜類、果樹、特用林産物といった被害品目が挙げられています。

また、キョンの鳴き声は特徴的であることから、苦情も多く、周辺住民の悩みの種となっているのです。

キョンが増加した原因は?広がる被害

キョンが増加してしまった、そもそもの原因は千葉県の勝浦市にあった観光施設「行川アイランド」から逃げ出したことだと言われています。 その後、1980年代から房総半島で野生化した個体が目撃されるようになり、温暖な気候による下草に恵まれ、個体数が増えていきました。

さらには、人口減少や高齢化によって管理されなくなった竹林、太陽光発電のパネルの下など、キョンにとって絶好の生息場所が増えていることも原因となっています。

こうして、2004年度には勝浦市など南部の5市町に生息するのみだったキョンは、2020年度に17市町まで拡大。 東京近郊の柏市でも目撃されるほど分布は広がり、農業被害額は年間100~200万円を推移し、ガーデニング被害も深刻なものになっています。

また、キョンはニホンジカと分布が重なっていることから、餌をめぐって間接的に競争が起きている可能性も指摘されています。 他にも、ニホンジカが食べない植物も食べるため、自然植生への影響も危惧されているのです。

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増え続けるキョン!ジビエとしての利用は?

キョンは大人しく警戒心が強いため、少しの変化も敏感に感じ取ることから、凄腕のハンターであっても簡単には捕らえられません。 さらに、キョンは捕まったとしても命乞いをして鳴き叫び、それが少し人間のものに似ているのだとか。 そのため、キョンの捕獲にはハンターも消極的になっています。

キョンの増加を防ぐため、食材としての利用はどうか、という考えもあるでしょう。 実際、キョンの肉は中国や台湾では高級食材とされ、1頭食べると日本円で6万円ほどかかる、と言われています。 味は柔らかくて脂肪も少なく、クセも臭みも控えめで、食べやすいものです。

それでは、なぜキョンを「房総ジビエ」として売り出さないのか。 それは、キョンの肉に市場価値を与えてしまうと、外に離したり飼育したり、生息域の拡大につながる恐れがある、という指摘もあるためです。

実際、特定外来生物であるブラックバスも話題になったことで商業的価値が生まれ、全国各地で密放流が横行した、というケースがあります。 これを繰り返さないためにも、キョンの肉を商品として売り出すという対策は、慎重にならざるを得ない、ということなのでしょう。

キョンだけじゃない!複雑な外来種問題

このように、キョンによる問題は複雑な事情が絡まり、簡単に解決できるものではありません。 しかし、キョンのような外来種による問題は数多く、それらの解決も求められています。

これらは、人間による管理不足が原因となるケースが多く、私たちと動物の距離感を考え直させられるものばかりです。 問題を悪化させないためにも、私たちは自然環境に対する配慮を忘れてはなりません。 動物だけでなく、自然と接するときは悪影響を及ぼす行為がないか、ぜひ考えてみてください。

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