御神渡りとは?信州諏訪湖に神様の足跡が出現するメカニズム
長野県諏訪市にある諏訪湖では、寒い時期に神様の足跡が見られます。 もちろん、本当に神様が歩いているわけではありません。
諏訪湖では、まるで神様が歩いた跡のような現象が起こる「御神渡り(おみわたり)」が見られるのです。 「御神渡り」とは、どのような現象なのでしょうか。
御神渡りとは?信州の諏訪湖に出現する神様の足跡
御神渡りとは、長野県の諏訪市にある諏訪湖で見る自然現象です。 凍った水面の上を何かが通ったように亀裂が入り、それが神様の足跡のように見えるのです。
諏訪湖は諏訪大社の上社と下社に挟まれています。 そのため、この御神渡りは上社から男の神が諏訪湖を渡って、下社にいる女の神のもとへと通った跡だとも言われているのです。
また、御神渡りが出現した年は、御渡り神事(みわたりしんじ)と言われる儀式が行われます。 これは、湖に入った亀裂の入り方を御渡帳(みわたりちょう)と言われる、過去の御神渡りの記録と照らし合わせることで、その年の天候や農作物の豊凶を占うものです。
御神渡りの記録は1443年から1681年の当社神幸記(とうしゃしんこうき)と、1682年から1871年の御渡帳があって、現在まで毎年記録されています。 560年以上も連続した気象記録であることから、世界的にも貴重な資料だと言われているそうです。
御神渡りが出現するメカニズムとは
では、御神渡りはどのようなメカニズムで作られるのでしょうか。
当然ではありますが、まず湖が全面凍結するほど寒い時期であることが条件です。 日中、温度が上がることで氷が膨張しますが、湖は全面凍結しているために氷は圧迫された状態になります。 夜になると、今度は氷が寒さで縮小して割れてしまいますが、その隙間に氷の下にある水が入り込んで、再び凍り付きます。
また日中に氷が膨張して、夜になって縮小して水が入り込む、ということが繰り返されると、氷はやがて限界を迎え、表面が盛り上がってしまうのです。 氷の裂け目は深夜に入りますが、その際の音は大きく、かなりインパクトがある現象なんだとか。 この現象は同じ条件が揃えば、他の地域でも発生するものですが、諏訪湖で発生するこの現象については「御神渡り」と命名されているのです。
見れたらラッキー?御神渡りが出現する時期とは
男の神様が女の神様に会うために湖の上を歩いたことでできると、と言われる御神渡り。 そんな神秘的でちょっとロマンチックな現象であれば、一度は見てみたいですよね。 しかし、諏訪湖が全面凍り付く必要があるため、かなり寒い時期である必要があります。 具体的には、1月下旬~2月上旬に発生すると言われています。
しかし、暖冬と言われる年もあり、毎年見れるわけではありません。 2000年以降に出現した年も、2003、2004、2006、2008、2012、2013、2018年のみです。 去年の2018年は発生したようですが、関係者が今年の氷の状況を確認したところ、ちょっと厳しいかも、という見解のようです。 もし「ぜひ見たい!」という人は来年の気温を確認しつつ、最新情報をチェックすると良いかもしれませんね。
御神渡りはいつか出現しなくなるかも
御神渡りは、特に寒い冬でなければ見ることができません。 地球温暖化が進めば、御神渡りは二度と見られなくなる、ということもあるでしょう。
地球には自然による様々な奇跡が存在します。 このままでは、私たち人間の活動によって、その奇跡を破壊してしまうことが予測できます。 地球にある美しい光景や神秘的な現象が、いつまでも残るように、私たちは考えていく必要があるでしょう。 御神渡りがこれからも見られるよう、ぜひ環境に配慮した生活を心がけてみてください。