絶倫!ガラパゴスゾウガメのディエゴ引退【絶滅動物シリーズ】
あのディエゴが、ついに引退してしまいました。数々の女性と関係を持ち、多くの子を残した、あのディエゴが。 これはナンパ男の話でも、浮気男の話でもありません。たった一匹の雄ガメの話なのです。
しかも、そのカメ…ディエゴは、ガラパゴスゾウガメを絶滅から守った…と言われる英雄なのです。 絶滅が危惧される、ガラパゴスゾウガメと、その絶滅を防いだ雄ガメ、ディエゴの引退をご紹介します。
ガラパゴスゾウガメとは?
爬虫綱リクガメ科ナンベイリクガメ属の中でも、ガラパゴス諸島産の複数種ガラパゴスゾウガメ種群のことをガラパゴスゾウガメと言います。
ガラパゴス諸島と言えば、1535年に発見された島で、人々が住む大陸からは隔離されていたことから、独自の進化を遂げて、固有種が多く存在する場所として知られています。 そんなガラパゴス諸島に存在する動物たちの中でも、ガラパゴスゾウガメは象徴的とも言える存在ではないでしょうか。 ガラパゴスゾウガメは、陸カメの中でも最大級で、最大甲長は135センチに及びます。
他にも、脊椎動物の中で最も長命という特徴があり、平均寿命は100歳を超え、最長で152歳まで生きた記録もあります。 草や葉、サボテンを食し、1日の睡眠時間は16時間近くで、新陳代謝も遅いことから体内に水分を大量の蓄えることができます。 そのため、飲まず食わずでも、最長で1年間も生き延びる、という驚異の能力を持っているのです。
絶滅に迫られていたガラパゴスゾウガメ
このように、長寿で生命力の高いガラパゴスゾウガメですが、絶滅危惧種としても知られています。 ガラパゴスゾウガメは17世紀から19世紀にかけて、食料や燃料油を目的として、捕鯨船の船乗りなどによって乱獲されていました。
乱獲の他にも、人間が連れ込んだ家畜によって、生態系が崩れ、生息地が失われてしまいます。 さらに、航空路や横断道路の建設、観光客が訪れることがあり、ガラパゴス諸島は環境問題が深刻となります。 しかし、ガラパゴス諸島の環境保全が見直されます。野生動物の保護や調査にあたる「チャールズ・ダーウィン研究所」が1964年に作られ、1978年には世界遺産に登録されるなど、環境保全が進められました。
それにより、ガラパゴスゾウガメも保護活動の対象となり、その代表例としても知られるようになります。そして、そんなガラパゴスゾウガメは、個体数を増やすための、繁殖計画がありました。
繁殖計画の中枢!絶倫カメのディエゴが引退
ガラパゴスゾウガメの中にも、様々な種類がありますが、ガラパゴス諸島のエスパニョーラ島に住む、エスパニョーラゾウガメは残すところ、雄2匹、雌12匹まで減少していました。 しかし、絶滅に瀕したエスパニョーラゾウガメを増やすための、飼育計画が1977年に開始されます。
それは、1900年以降に捕獲されてから、カリフォルニア州のサンディエゴ動物園で飼育されていた、1匹のカメをガラパゴス諸島に戻し、繁殖を行わせるという計画でした。 その1匹のカメこそが、絶倫カメであるディエゴでした。
それから、ディエゴは繁殖活動を何十年も続けることになります。その結果、ディエゴの子孫となるエスパニョーラゾウガメは800匹に及び、エスパニョーラゾウガメの生息数は2,000匹となりました。 そのため、ディエゴはたった1匹で自らの種を絶滅の危機から救ったカメとされたのです。
しかし、2020年3月、彼はその役目を引退。繁殖施設から自然へ帰されることになったのです。 ディエゴさん、本当にお疲れ様でした。
ガラパゴスゾウガメが絶滅しないためにも
大変珍しいケースですが、ディエゴの驚異的な繁殖能力によって、エスパニョーラゾウガメの絶滅は免れたようです。 しかし、世界中で絶滅の危機に瀕している種の多くは、このような方法で生息数を回復させることは難しいことでしょう。 私たちは、これ以上、動物の種を失わせないためにも、責任ある行動を心がけなければなりません。
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