代替肉は温暖化解決の糸口か?本格レストランも取り入れ話題

代替肉は温暖化解決の糸口か?本格レストランも取り入れ話題
マルサラ by 三笠バルの代替肉を使ったメニュー。

食事は私たちの生活に満足と喜びを与えてくれるものですが、中でもお肉が好物、という人は少なくないはずです。 しかし、私たちが食べるお肉を作る畜産によって、環境問題が悪化しているのではないか、と懸念されています。

そんな畜産による環境問題を解決するかもしれない、と期待されているのが代替肉です。 畜産による環境問題と、代替肉の魅力、そして実際に代替肉を扱ったレストランをご紹介します。

肉を食べると温暖化が悪化する?

地球全体に影響を及ぼす温暖化現象は、人間活動から排出される温室効果ガスが、大きく関わっていると考えられています。 温室効果ガスと聞くと、車や工場から排出されるイメージを抱く人が多いかもしれません。

しかし、畜産や農業といった私たちの食生活に関わる分野からも、温室効果ガスは多く排出されています。 畜産による温室効果ガスは、飼料の生産・輸送、飼育管理、糞尿の処理、処理場で加工、といった過程で排出されます。 その量は、人為的に排出される温室効果ガスの14.5%が、畜産業に由来していると言われるほどです。

特に牛から発生する温室効果ガスは、畜産業のうち65%を占め、ゲップから発生するメタンは脅威とされています。 このような状況から、環境に優しい食品を選べるよう、さまざまな試みが行われています。

畜産による環境問題を解決?代替肉が話題

畜産による環境負荷、さらに世界的な食料難を解決する試みとして、代替肉が注目されています。 代替肉は動物を食肉処理したものではなく、大豆など植物性原料を使い、肉の味や食感を再現した食品です。

代替肉が特に注目され始めたのは、2019年に世界経済フォーラムがダボス会議の前に、肉に替わるタンパク質は温室効果ガス排出量の大幅な削減につながる可能性がある、と報告書を出したことでした。 栄養面についても「肉や乳製品、砂糖を控えるべきだ」という指摘があり、食の改革を行う必要性があるという傾向が強まっていました。

日本でも、2020年3月、農林水産省が「食料・農業・農村基本計画」の中で「多様な食の需要に対応するため、大豆等植物タンパクを用いる代替肉の研究開発等、食と先端技術を掛け合わせたフードテックの展開を産学官連携で推進し、新たな市場を創出する」と報告し、7月の中間発表では代替肉や培養肉は重要な分野である、という認識を示しています。

このように、環境負荷や持続可能性への意識、動物倫理の高まりが、代替肉市場の拡大につながっています。

参考:農林水産省 フードテック研究会中間とりまとめ

本格レストランも代替肉をメニューに

大豆ミートのボロネーゼ
マルサラ by 三笠バルの代替肉を使ったメニュー「大豆ミートのボロネーゼ」。

代替肉は注目を集め、本格的なレストランもメニューに取り入れるケースが増えています。 東京都港区で本格的なイタリア料理やワインを楽しめる「マルサラ by 三笠バル」も、代替肉を使ったメニューを取り入れたレストランの1つです。 マルサラが取り入れた新メニューは「大豆ミートのボロネーゼ」で、普通のお肉料理と変わらない「見た目・食感・コク」を再現しています。 これは、丹念な下処理で大豆の臭みを取り、しっかりと下味をつけることで、お肉の味に限りなく近づけています。

大豆ミートの画像
大豆ミート。この状態から丹念な下処理と下味をつけ、お肉の味を再現する。

この大豆ミートのボロネーゼは、店舗で食べられることはもちろん、オンラインショップにて冷凍した商品の購入も可能です。冷凍した商品なら手を加えられるので、カレー粉を使ってキーマカレーとして味わう、といったアレンジも楽しめます。 他にも、さまざまな楽しみ方があり、ラザニア、グラタン、ドリアといったアレンジのレシピもお届けの際に同梱されます。

「マルサラ by 三笠バル」が代替肉を使用するメニューを取り入れたきっかけは、コロナ禍と環境問題が関係していました。 感染対策による行動制限は、コロナ太りを始めとした、私たちの健康を脅かしています。 マルサラでは健康面を配慮したメニューが課題になっていた上、仕入れの際に漁師から「魚が全然獲れなくなっている」という話を耳にしていました。そのため、スタッフの間で「料理人も環境について配慮しなくてはらない」という意識が強まりつつあったのです。

そこでマルサラは、このような不安を解消するためにもヘルシーで美味しい料理を多くの人に届けたいと考え、安全で栄養の高い大豆ミートに注目しました。 大豆ミートは普通のお肉に比べて、カロリーは4分の1に抑えられ、食物繊維も豊富で低脂質と大変ヘルシーです。 そんな想いから作られた「大豆ミートのボロネーゼ」は、コロナ太りに悩む人だけでなく、健康面からお子さんにお肉を食べさせることに抵抗があるママにもお勧めで、さらに環境負荷も抑えられます。

マルサラの料理長、仲田輝男さんは「大豆ミートのボロネーゼ」について、こう語りました。

「安全で体にいいものを作りたい、という気持ちはありましたが、せっかくなら美味しいものを皆さんにお届けしたいと考えていました。国産大豆にこだわり、さらに本物のお肉を食べたときにしか味わえない、コクや噛みごたえをここまで再現しているのは、当店だけだと思います。きっと多くの人に喜んでもらえる仕上がりになっています」

マルサラ by 三笠バルの料理長、仲田輝男さん
マルサラ by 三笠バルの料理長、仲田輝男さん。

さらに、仲田さんは環境配慮や多様化する食文化に対応した店舗の展開も考えているとのことでした。

「大豆ミートを作ってから、環境問題や健康、食文化について、今まで以上に考えることが増えました。これをきっかけに、大豆以外の野菜を使ったメニューを増やしたい。具体的には決まっていませんが、野菜をメインにした、地球に優しい店舗を展開したい、という想いもあります」

仲田さんのチャレンジを始めとする食の改革は、私たちの食卓からお肉が消えることになっても、安心して卒業できる環境を準備してくれると言えるかもしれません。

マルサラ by 三笠バルの店舗情報
住所・アクセス〒105-0004
東京都港区新橋4-1-1 新虎通りCORE 2F
JR新橋駅 歩5分/ 銀座線虎ノ門駅 歩7分
予約・お問い合わせ03-6452-9203

マルサラ by 三笠バルの食べログ → https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13227254/
マルサラ by 三笠バル オンラインショップ → https://buyshop.mikasa-bar.com/
※大豆ミートを使用した商品はこちらから購入できます。

仲田 輝男(なかだ てるお)
高校卒業後、ホテルをはじめ数々の店で経験を積む。多くの経験を買われプロ向け料理雑誌「料理王国」が経営していた料理王国アカデミーサロンの専属シェフを務める。その後、三笠バル社長のスカウトにより現職に参画、現在に至る。

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