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アパレルによる地方創生の促進、SDGs普及を目指す 株式会社Style Agent 奥谷隆幸

アパレルによる地方創生の促進、SDGs普及を目指す 株式会社Style Agent 奥谷隆幸

株式会社Style Agent(以下、スタイルエージェント)は、販売代行、飲食、福祉介護など幅広く事業を展開していますが、アパレルを中心としたSDGsの普及や地方創生の促進にも取り組んでいます。

今回は、スタイルエージェントの代表取締役、奥谷隆幸さんからアパレル業界を中心とした、サスティナブルや地方創生に関する取り組みについてお伺いしました。

ファッションから持続可能な社会を目指す 株式会社スタイルエージェント

――スタイルエージェントの事業は、販売代行から飲食店の運営など多岐にわたり、サスティナブルな取り組みにも力を入れていると聞いています。主な事業とサスティナブルな取り組みについて教えていただけますか。

弊社の事業内容は、店舗運営事業と人材派遣事業がメインとなります。店舗運営事業は、アパレルやコスメといったメーカーさんの店舗をあずかり、全国の商業施設で運営を行う、というものです。現在、関東関西を中心に北海道から沖縄まで、全国80店舗ほど展開しています。

これに合わせて、接客販売を中心とした人材派遣の事業を行っています。これは接客販売に特化し、メーカーさんやブランドさんからのオーダーにお応えできるよう、職種に合わせた人材を派遣するものです。

飲食事業については、自社運営の店舗を4~5店舗、運営しています。他にも、フレッシュジュース主力のカフェを13店舗展開するマルゴデリ社と業務提携し、カフェ「マルゴデリ」を展開しています。マルゴデリは、厳選された食材で作ったスムージーやジュースを提供するカフェです。現在は西日本を中心に展開していますが、我々がフランチャイズ元となって広げていきたいと考えています。直近では6/17(金)に、横浜みなとみらいにあるMARK IS(マークイズ)で新店舗をオープンする予定です。

サスティナブルに付随するものとしては「Project(Re:ll)(プロジェクト リ)」の発足が挙げられます。「Project(Re:ll)」はサスティナブル社会における衣食住、芸術文化などを新たな形で世に出すことを目的としたプロジェクトです。SDGsの普及、地方創生の促進にも取り組み、既に約30社に賛同いただき、さまざまな企業さんと組ませてもらっています。

サスティナブルプロジェクトのきっかけはコロナ禍

株式会社スタイルエージェント 代表取締役 奥谷隆幸さん

――持続可能な社会実現を目指す「Project(Re:ll)」は、どういった経緯で発足されたのでしょうか。

以前からSDGsやサスティナブルについて注目していましたが、大きなきっかけはコロナ禍の始まりです。スタイルエージェントは多くの商業施設やアパレルメーカーと取引がありますが、コロナ禍による業界の閉塞感は我々にも伝わっていました。商業施設には空きスペースが増え、店舗も潰れていく。そんな中、我々に何かできることはないのか、と振り返ってみると、さまざまなアパレルブランドや商業施設と取引を13年行ってきたスタイルエージェントなら、そのコネクションを活かして、まとめ役のような動きができるのではないか、と思い当たりました。

このときSDGsやサスティナブルというキャッチコピーが、広がりつつあったため、それを旗印に何かできないか、と考えたところ、まず服の廃棄問題が思い浮かびました。だとしたら、最初はリユースに手を付けてみようと、そういった企業さんに声をかけて、次はアップリサイクル、染め替えはどうか、とチャレンジを続けているうちに、協力してくれる人たちが増えて「Project(Re:ll)」のイベントを開催できるようになっていました。

また、緊急事態宣言が出され弊社の営業活動も停止を余儀なくされたコロナ禍の閉塞感の中で、会社の経営として従業員の雇用・売上の減少、このプロジェクトも一時停止しようか、と頭を悩ませていた時に人気バンドBUCK-TICKの「FUTURE SONG -未来が通る-」という曲が頭の中でぐるぐる回り出しました。

歌詞の中の「そうだ、未来だ」「進め 未来だ」というパワーワードに背中を押されて、とりあえず進めようと決められました。この曲に救われたプロジェクトなのでプロジェクトの旗印も「そうだ 未来だ」に決定しました。当時、未来なんて、こんな時に何を言っているんだ、という声が聞こえてきそうでしたが、この言葉は大きな効果があったと思っています。

さらに、BUCK-TICK様には歌詞の一部使用を認めていただき「(Re:ll) feat. BUCK-TICK」というアイテムも発売させていただけました。持続可能性を感じられたり、未来に進むようなイメージがあったり、そういった歌詞を引用させていただいたトレーナーやマスクなどのアイテムは話題にもなり、これが最初に勢いがついた一因だった、と考えています。

サスティナブル時代に貢献する「Project(Re:ll)」とは

――Project(Re:ll)では具体的にどのような企画が進行しているのでしょうか。

Project(Re:ll)は、サスティナブル社会における衣食住、芸術文化などの楽しむ方法を提案するものです。地方創生の理念をもとに、内閣府が認証する「地方創生 SDGs 官民連携プラットフォーム」に登録し、店舗運営やイベントプロモーションの展開を行っています。

現在、Project(Re:ll)のプロジェクトは、大きく分けて2つあります。1つは阪神梅田本店の3階にある常設展「ReP.(レップ)」。もう1つは、サスティナブルに特化した合同展示会「Sustainable Department(サスティナブルデパートメント)」です。

阪神梅田本店の3階にある常設展「ReP.」

ReP.は「サスティナブル思考を前提として人生を楽しむこと」をコンセプトに、2021年の秋にオープンしました。ラインナップは、オーガニック化粧品やアクセサリー、雑貨などです。ReP.には、アパレルをはじめとして、生活にまつわるさまざまなクリエイター、農業従事者が参加し、サスティナブル思考をクリエイティブに表現したプロダクト、サービスを体験できます。

持続可能な「モノ作り」をしているブランドや職人達が集う合同展示販売会Sustainable Department

Sustainable Departmentは、製品やアイテムの価値評価、デザイン性だけでなく、サスティナブルを意識した原材料、完成までの工程といった背景も楽しんでもらいたい、という想いから企画されたオンラインを主体とした展示会です。ファッション、インテリア、雑貨、美容だけにとどまらず、日本の伝統産業まで、さまざまな企業が出展しています。これまでに、催事イベントとして有楽町マルイ、阪神梅田本店、西武池袋本店への出展や合同展示会Project TOKYOへの出展などでプロモーションを開催してきました。次回は、6/14(火)~6/20(月)、Sustainable Department THE GIFTが西武渋谷店で開催されます。

Sustainable Departmentの様子

――Project(Re:ll)は内閣府の「地方創生 SDGs 官民連携プラットフォーム」に登録されているとのことですが、地方創生とどのような関係があるのでしょうか。

サスティナブルファッションとは何か、という点を突き詰めて考えたところ、伝統工芸に行き着きました。伝統工芸は、使わなくなったら捨てる、というサイクルを前提につくられていません。わかりやすい例は着物です。着物は滅多なことでは捨てることなく、修理しながら使います。着物として使えなくなったとしても、その生地をどうするか使い道を考えて利用する。伝統工芸にはそういう文化があり、サスティナブルに結びつくものです。

そこで、地方で活躍する伝統工芸に関わる企業さんに声をかけさせてもらったところ、この業界にいくつかの問題があることを知りました。それは、後継者不足、大量生産・大量消費が難しい、現代のマーケットに対応できていない、という点です。本当に多くの伝統工芸に関係する企業さんが、この問題に悩んでいました。

この問題に取り組むことで、サスティナブルを広めるだけでなく、地方創生にも貢献できると考えましたが、伝統工芸、伝統技術が素晴らしく、サスティナブルという視点から優れていたとしても、例えば江戸切子のグラスをそのまま出しても売れるかと言えば、簡単なことではありません。

そのため、内閣府の「地方創生 SDGs 官民連携プラットフォーム」に登録し、伝統工芸、伝統技術を今のマーケットに落とし込む方法を、みんなで考えるための分科会を設けました。色々な企業さんとコミュニケーションを取り、そこから生まれた案を形にして、コラボレーションアイテムのイベント販売、デザインの提案など、お手伝いを続けるうちに、ReP.やSustainable Departmentが形になりました。

――伝統工芸や伝統技術を扱う企業さんと協力したプロジェクトは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

株式会社京都紋付は、着物を真っ黒に染める、素晴らしい技術があります。しかし、現代は紋付どころか着物も身に付けることが減ってしまった時代であり、その技術を持て余していたそうです。そこで、京都紋付さんは一般消費者に向けた、服を黒染するサービスを考えました。愛着があった服が、汚れてしまったとしても、京都紋付さんの技術で真っ黒に染めてしまえば、それが目立たなくなります。

このアイディアに我々も営業代行という形で協力させていただき、コラボ商品をつくるなどサービスを広めるお手伝いをさせていただきました。

スタイルエージェントが挑むSDGsと地方創生の未来

――今後、地方創生に対して、どのような取り組みを行っていくのでしょうか。

地方創生という課題に対し、大きな影響をもたらすことは難しいと思います。しかし、地方で頑張っている企業、伝統工芸や伝統技術があれば、何とか世に出していきたいと考えています。それが全国のマーケットに知れ渡れば、地方創生につながるはずです。さらに、伝統工芸の素晴らしさを示せたら、その技術を学びたいという人が出てきて、後継者問題の解決につながるかもしれません。そうすれば、伝統工芸を守ることができる。地方創生については、これが一番の目標に変わりつつあります。現在も、Sustainable Departmentを広島で開催する話もあり、長野県からもそういった依頼がきているため、今後も活動を続けるつもりです。

――SDGsについては、どのようにお考えでしょうか。

これからは、どんな企業もSDGsに沿って活動しなければなりません。商品がモノとして存在している間はいいかもしれませんが、生産工程や捨てられてしまうと、二酸化炭素排出やごみ処理の問題が出てきます。だから、生産工程や使われなくなってからのケアも考えなければなりません。洋服であれば、洋服として存在した、その先をイメージして、色々な企画、商品づくりが必要です。この考えを実現できるよう、多くのブランド、メーカーさんと協力しながら、消費者側にも広く伝えていきたいです。

また、ピラミッド型の社会は終わったと感じています。個人でやっているような小さい会社だとしても、上場している大企業であっても、どちらが大きくて小さいとか、どちらが上で下なのか、ということでなく、同じ想いを持って横につながって問題に取り組むことが大切です。それをスタイルエージェントが実証し、SDGsの達成に少しでも貢献したいと思います。

――直近でも新しいイベントや他社と協力した取り組みがあると聞いています。

6/14(火)~6/20(月)、西武渋谷店でSustainable Departmentを開催します。計8ブランドから、お出かけのアクセントになるアクセサリやバッグ、日常で使える生活雑貨小物などをご紹介します。A館1階の目立つスペースでやらせてもらいますので、ぜひお越しいただき、製品が生まれる背景も楽しみながら、サスティナブルな空間を体感してほしいと思います。

6/14(火)~6/20(月)、西武渋谷店で開催されるSustainable Department

他にも、オンラインを主軸としたセミナー「サステナブル大学」も注目してほしいと思います。これは、毎回さまざまな分野で活躍するゲストをお迎えし、持続可能な社会の創り手を育む“学びの場”を提供する、というテーマで開催しています。サスティナブルについて学べるだけでなく、地球環境を意識した取り組みができる起業家、経営者、人を生み出す、という目的もあり、参加いただければ、そういった仲間も増えるはずです。

あとは、株式会社浜屋と立ち上げた合併会社、uragamiも注目してほしいです。uragamiのサービスは店舗什器のリース、什器や在庫商品の買取です。店舗什器のリースは、アパレル、飲食店、イベント展示など空間作りに必要な、什器や雑貨を提案することも行っています。既にさまざまなアパレルメーカーや商業施設に興味を持っていただき、連携の話もいただいているため、さらに認知度を上げて大きい波を作りたいと考えています。

参考:販売代行業 Style Agent https://www.style-agent.jp
参考:project(Re:ll) https://project-re.info
参考:オンライン展示会 サステナブルデパートメント https://granstra.com
参考:サステナブル大学 https://sustainable-univ.com

奥谷隆幸(おくたに たかゆき)
株式会社スタイルエージェント 代表取締役。大阪芸術大学在学中に阪神淡路大震災の高齢被災者の健康支援を目的にNPO法人を立ち上げ活動。総合人材サービス会社入社、同取締役就任を経て、株式会社スタイルエージェント設立。販売代行、飲食、福祉介護を主事業に4社のグループ会社を擁し全国で事業展開。
2019年 内閣府が設置する地方創生SDGs官民連携プラットフォームとの連動事業「Project(Re:ll)」立ち上げ。全国約40社とパートナーシップを結び、伝統産業の発展、変革に取り組む。2021年 サスティナブルアイテムの合同展示会【sustainable ∞ department】を企画開催、35ブランドが参画。同11月、阪神百貨店梅田本店に旗艦店(ReP.)をオープン。約120平米の【ReP GALLERY】では、アンティーク/ヴィンテージ/ポップカルチャーに刺激を受けられるフロアとして展開。2020年より学校法人文化服装学院 特別講師。同志社大学グローバルコミュニケーション学科のフードロスプロジェクトFOOD LINKsの後援も行う。

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