【プラスチックごみ問題入門.1】海外における廃プラの対策
今、世界中で問題になっているプラスチックのゴミ。様々なメディアで話題になっていますが、具体的にはどのような問題なのでしょうか。エコトピアでは「プラスチックごみ入門」として、この問題の基礎となる部分を全4回に分けてご紹介します。
世界のプラスチックの生産量及び排気量
1950年以降に生産された、世界のプラスチックは、83億トンを超え、そのうち63憶トンはゴミとして廃棄されました。回収されたプラスチックごみは、79%が埋め立てられるか、海に捨てられています。
2015年までに世界中で発生したプラスチックごみの中で、リサイクルされるのは、たったの9%に過ぎず、このままであれば2050年には120憶トン以上のプラスチックごみが埋め立てられるか、自然投棄されると考えられています 。
出典:Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made.Science advances,3(7), e1700782.
出典元:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
なぜ、これほど大量にプラスチックは生産されるのでしょうか。それは軽くて丈夫なことが挙げられるでしょう。容器包装の場合も、プラスチックを使うことで以下のようなメリットが発生します。
- 食品の貯蔵寿命を延長。
- 重量が軽いため輸送燃料が軽減される。
このような利便性から、容器包装におけるプラスチックの使用は拡大傾向にあります。
今後20年で、プラスチックの容器包装の生産量は2倍になると予測され、欧州で循環経済を促進することで知られる、エレン・マッカサー財団の調査によると、2050年には海の魚の量よりもプラスチックごみの量が多くなると言われています 。
出典:ELLENMACARTHUR FOUNDATION. THE NEW PLASTICS ECONOMY RETHINKING THE FUTURE OF PLASTIC
EUのプラスチック資源循環施策
世界中で話題になっているプラスチックごみ問題に対し、多くの国で様々な対策が取られています。
その中から、まずEUの取り組みをご紹介します。
EUはサーキュラー・エコノミー(Circular Economy)の実現を目指しています。
これは直訳すると、循環型経済となりますが、その実現に向けた戦略「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択しています。
その内容の中には、2030年までにすべての種類の埋立量を最大で10%削減することや、プラスチックの容器包装の75%をリサイクル可能にする、といった目標を掲げています。
他にも、海洋ゴミの削減のために、モニタリングやマッピングの向上、マイクロプラスチックの放出を抑制などが検討されています。
また、2018年の10月には、EU議会によって2021年から使い捨てプラスチック製品を禁止する規制案が可決しています。
規制対象となったのは、食器やナイフ・フォーク、ストロー、綿棒などの使い捨てプラスチック製品です。
規制対象以外のプラスチックに関しても、リユースやリサイクル、回収などを強化する方針です。
イギリスのプラスチック規制施策
イギリスについても、プラスチックの規制の施策として、プラスチック製品の販売を禁止する計画を2018年の10月に発表しています。
イギリスでは毎年のように、推定で47億本のプラスチック製ストロー、3億1600万本のマドラー、18億本の綿棒が使用されています。
綿棒は使用済みのものの推定10%が川や海に流出していると考えられています。そのため、これらのプラスチック製品の配布や販売が禁止されました。
イギリスでは過去に、マイクロビーズの使用禁止や、プラスチック製のレジ袋を有料化したことで、プラスチックごみの削減に成功していることから、それに続く措置が取られました。
このプラスチック製品の販売禁止計画は、2019年10月から2020年10月の間に発効される予定です。
各国の使い捨てプラスチック規制施策
他にも様々な国でプラスチックの規制は行われています。
各国のレジ袋規制
日本でも話題になっているように、多くの国がプラスチックのレジ袋に対して、規制を行っています。
出典元:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
各国の使い捨てプラスチック規制
使い捨てプラスチックの製品に関しては以下のような取り組みが各国で行われています。
出典元:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
出典元:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
欧州各国のプラスチックのリサイクル率
欧州各国は2016年の時点で、プラスチックのゴミを以下のような割合で処理しています。
出典元:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況
これをみると、ドイツのリサイクルの割合が約40%、ノルウエー、スウェーデンは40%を超えています。残りはほぼ熱回収され、埋め立て処分はほとんどありません。
出典:Plastics – the Facts 2017, PlasticsEurope
ここで言うリサイクルとは、回収したプラスチックごみから再生プラスチック製品にするマテリアルリサイクルを指します。 リサイクルには種類がある!それぞれの違いは何か ゴミを処分するためには、焼却炉で燃やす、最終処分場に埋め立てるなどの手段があります。
しかし、 ゴミを処分するためには、焼却炉で燃やす、
エネルギー回収は、プラスチックを燃やした際に発生する熱による発電や蒸気の利用です。
日本のプラスチックのリサイクル率は、これらに比べると最低レベルと言えます。
日本のプラスチックのリサイクル率は高いと聞くことがありますが、実際のところはそのほとんどを焼却しています。
回収した熱を火力発電や温水プールに利用していることで、リサイクルをしているというのが日本の主張ですが、海外ではこの方法はあくまでエネルギー回収としています。
マテリアルリサイクルと言われる、モノからモノを生み出すリサイクルを日本でも推進していく必要があるでしょう。
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