エトピリカとは?減少が止まらない原因【絶滅動物シリーズ】

エトピリカとは?減少が止まらない原因【絶滅動物シリーズ】

私たち人間は、さまざまな動植物と共存して生きなければなりません。 しかし、人間の活動は意図せずして、動植物に悪影響を与えてしまいます。

そんな因果関係によって個体数を減少させている動物がエトピリカです。 エトピリカとはどんな動物でしょうか。また、エトピリカが減少してしまった理由や原因をご紹介します。

減少が止まらない?エトピリカとは

エトピリカとは、チドリ目・ウミスズメ科に分類される海鳥です。 エトピリカはアイヌ語で「くちばしが美しい」という意味であり、橙色の大きなくちばしが特徴的です。

日本語では花魁鳥(おいらんちょう)という名前で呼ばれることもあります。 この名前にも由来があります。エトピリカの冬羽は全身が茶色く地味な鳥に見えますが、夏羽はオスもメスも顔面が白く変化し、目頭は黄金色、頭も簪を挿した女性を思わせる彩に変化することから、花魁を連想させるとして、古くからそう呼ばれているのです。

エトピリカは、北日本からアメリカのカリフォルニア州まで、北太平洋沿岸域に広く分布し、繁殖地も各所に存在します。 そのため、世界的に見れば決して少なくない鳥です。 しかし、日本に限ってはその個体数が減少し続け、全滅の危険が大きいと言われています。

エトピリカの減少は手遅れ?保護団体が警鐘

エトピリカ

日本でエトピリカが生息する地は、北方領土を除くと、北海道根室市の無人島であるユルリとモユルリで、数組のつがいが確認されているのみです。

エトピリカが国内で減少し始めたのは、1970年代からと言われています。 2015年に行われた調査では、1980年に比べると87%が減少したと推定されたほど、その変化は著しいものです。 営巣地だった北海道の浜中町でも、2008年を最後に繁殖が確認できなくなっています。

また、1993年には、エトピリカは国内希少野生動植物種に指定され、1996年から環境省による保護増殖事業が行われています。 しかし、その取り組みも大きな効果が出ることはなく、エトピリカは減少し続け、保護団体からは「もはや手遅れ」という声も上がっているのです。

なぜ、エトピリカはここまで個体数を減少させてしまったのでしょうか。

エトピリカが減少した理由・原因とは?

エトピリカが減少は、いくつかの理由や原因が考えられています。 まず挙げられるものは、漁業による混獲です。 エトピリカは海に潜って魚を食べるため、魚網に引っかかってしまうことがあるのです。 これを防ぐために、環境省は漁業者に対し、原因となる刺し網の使用自粛を呼び掛けています。

また、生息地であるユルリとモユルリに、人間の活動に伴って1970年代からドブネズミが侵入したことも、エトピリカ減少の原因ではないかと考えられています。 2013年、環境省などが殺鼠剤を散布し、ドブネズミの駆除を行います。3年間のモリタニングにより、ドブネズミは根絶されましたが、エトピリカの個体数に大きな影響をもたらすことはありませんでした。

他にも、温暖化による海水温上昇で、餌となる魚が減ってしまったことなども、エトピリカ減少の原因として挙げられますが、はっきりとしたことはわかっていません。

エトピリカが絶滅しないためにも

このように、エトピリカは人間の活動によって個体数が減少してしまった種だと言えます。 もちろん、私たち人間はエトピリカに何か悪意を抱いているわけではありません。

しかし、意識せずに人間が活動を続けてしまえば、気付かない間に種を奪ってしまうのです。 エトピリカのような種を増やしてしまうことがないよう、私たちはゴミを捨てるだけでも、環境に負担を与えるようなことをしていないか、少しでも意識する必要があるかもしれません。

参考:環境省 エトピリカ

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