砂漠緑化の成功例か?シロアリとゴミで大地を豊かに
環境問題の中でも、広く知られている問題の一つ、砂漠化。 世界中で広がる砂漠化は人間の生活にとって大きな脅威となるものですが、ある虫がそれを防ぐかもしれないと言われています。
それがシロアリです。 シロアリと言えば、住宅に被害をもたらす害虫、というイメージがありますが、実は環境問題を解決してしまうかもしれないのです。
シロアリによる砂漠の緑化をご紹介します。
砂漠化をシロアリが防ぐ?緑化成功の可能性
シロアリが砂漠化を食い止め、気候変動の影響も緩和していると発表されたのは、アメリカの科学誌サイエンスでした。 そこに掲載された論文では、アフリカや中南米など乾燥地帯のシロアリに関する研究結果が報告されていました。
どのようにシロアリが砂漠化を防ぐかと言えば、彼らが作る巣に関係がありました。 シロアリが作った巣は、たくさんのトンネルがあり、それを通して水分と栄養分を地中に流し込む構造となっています。 そのため、同じ降水量でもシロアリの巣がある場所の方が、他の場所よりも雨が多く降ったかのように植物が育つのです。
砂漠化によって植物が消滅してしまった場合でも、シロアリの巣の周辺は植生が回復しやすいそうです。 この結果により、シロアリは生態系に対して大きな役割を果たしている可能性があり、さらに研究が進められることとなりました。
砂漠をゴミとシロアリで緑化!研究成功は希望に
シロアリの生態を利用し、アフリカの砂漠を緑化しようとする日本人がいます。 京都大大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の大山修一准教授です。
大山准教授はただシロアリによる砂漠の緑化を待つのではなく、その地域にゴミをまくことを行っています。 このゴミがシロアリの緑化能力を支えると言うのです。
どういうことなのかと言うと、ゴミに含まれる有機物がシロアリの餌となり、雨水が地中に浸透する手助けをします。 さらに、砂漠化は強風によって地表の砂が飛ばされることで進行しますが、ゴミをまくことでそれを防ぐ効果もあります。
そして、ゴミに混じった作物や植物の種が発芽することもあります。 この取り組みが多くの人に理解され、広まれば、砂漠化に悩む人類にとって、大きな希望となるかもしれません。
砂漠を緑化してもシロアリは危険な害虫
シロアリと言えば、やはり害虫のイメージが強いのではないでしょうか。 シロアリによる一番の被害と言えば、柱を脆くして、最悪の場合は家を倒壊させてしまうことです。
他にも、シロアリによって建物の強度が低下してしまうと、地震や豪雨の影響を受けやすくなってしまいます。 日本では地震が多く、台風も少なくはありません。 そのため、シロアリの被害が発覚した場合は、大事な家を守るためにも、早めに対処したいところです。
しかし、そんな害虫のイメージが強いシロアリが、砂漠化を防ぐ力があるとは、驚きの一言に尽きます。 生態系は何がどのように影響をしているのかわからないものですね。
科学による砂漠緑化は他にも成功例がある
人間は科学によって文明を発展させてきましたが、その代償に多くの自然を失いました。 科学と自然は相容れない関係のようでもありますが、自然を正しく理解することで、シロアリがそうであるように、環境問題を緩和できるかもしれません。
シロアリだけではなく、多くの自然が地球環境を改善する働きを持っていると考えられます。 そのため、これからも自然を大切にし、より理解を深める必要があるでしょう。 ぜひ、そんなことを意識しながら、自然との関係を考えてみてください。