カンガルーは筋肉ムキムキでも絶滅危惧に?【絶滅動物シリーズ】

カンガルーは筋肉ムキムキでも絶滅危惧に?【絶滅動物シリーズ】

カンガルーと言えば、筋肉質な体と、ボクシングが得意というイメージではないでしょうか。 そして、カンガルーはどこで見れるのか、と言われたら、オーストラリアにたくさん生息している印象があります。

確かにカンガルーはオーストラリアに数多く存在しています。 しかし、カンガルーにもいくつかの種類があり、その中には絶滅が危惧されている種類もあるのです。 今回は絶滅が危惧されるカンガルーをご紹介します。

カンガルーとは?筋肉ムキムキと話題!

まず、私たちが想像する一般的なカンガルーとは、どのような種類なのでしょうか。

カンガルーとは、哺乳綱双前歯目カンガルー科を構成する有袋類の総称です。 オーストラリア大陸、タスマニア島、ニューギニア島に生息し、体長は小さいもので25センチから大きい種では160センチほど。 最大の特徴は発達した後ろ足と太い尾。太い尾でバランスを取りながら跳躍するため、四肢を使うよりもエネルギーを節約して高速移動が可能です。

食性は草の葉を食べ、一部の種は木の根やキノコ、昆虫を食べる場合も。 エカルタデタやツヨハオオネズミカンガルーのように肉食の種も存在していましたが、すでに絶滅しています。

また、カンガルーという名前の由来について、ちょっとした逸話があります。 イギリスの探検家として名高いクック船長が、初めてオーストラリアに訪れたときのことでした。 初めてカンガルーを見たクック船長は、原住民に「あれは何という動物か?」と聞いたそうです。 すると、原住民は「カンガルー」と答えたため、英語でカンガルーを名が付けられましたが、実は原住民が言ったカンガルーとは「わからない」という意味でした。 そんな誤解がそのまま名前になったそうですが、カンガルーの名前の由来については、その他にも逸話があるため、事実であるかどうかはわかりません。

そんなカンガルーですが、実は筋肉がムキムキでると話題になっています。

カンガルーはなぜ筋肉ムキムキ?意外な理由

可愛らしい印象のあるカンガルーですが、なぜ筋肉がムキムキなのでしょうか。 そこには意外な理由がありました。

カンガルーが筋肉ムキムキな理由はモテるため?

カンガルーがムキムキな理由。それはなんと……モテるため! カンガルーは、上腕の筋肉がムキムキであればあるほど雌からモテる、という傾向にあるのです。 そのため、雌に求愛する意味で上腕を曲げて筋肉をアピールすることもあります。

草食なのに筋肉ムキムキなのはなぜ?

人間が筋肉ムキムキになるためには、肉をはじめとする動物性たんぱく質を食べる必要があります。 しかし、カンガルーは草食動物。なぜムキムキの筋肉がつくのでしょうか。

それは、カンガルーの腸内細菌が関係しています。カンガルーの腸内細菌は、草からアミノ酸を合成する能力があり、それを筋肉の材料とするのです。 ゴリラが筋肉ムキムキである理由も腸内細菌が関係しています。

筋肉ムキムキなカンガルーは一流のキックボクサー?

カンガルーは、両手を器用に繰り出して、殴り合いが可能です。 特に発情期は喧嘩が目立ち、殴り合いに発展へ……。 たまにカンガルーをモチーフにしたキャラクターがボクシンググローブをはめていることがありますが、このイメージが由来と言えるでしょう。

カンガルー同士の喧嘩。小さいカンガルーなら喧嘩する様子も可愛いけれど……

しかし、カンガルーはボクサーと言うよりは、キックボクサーに近い性質を持っています。 なぜなら、カンガルーは強烈なキックを必殺技としているからです。 尻尾で体を支えた両足での前蹴りは、人間ならば内臓破裂しかねない程の破壊力を持っています。

筋肉ムキムキなのに!絶滅が懸念されるカンガルーの種

そんなキャラクター性に溢れる愛らしいカンガルーですが、絶滅の危機に晒されている種が複数あります。

アカフサオネズミカンガルー

体長が40cm程度のカンガルー。 アカフサオネズミカンガルーは藪の多い地域に生息し、日中は藪の地面を掘った浅いくぼみで休息しています。 巣を作るときに材料を多く使い、積み上げて下から潜り込むため、外からでは姿が見えません。 オーストラリア本土では1930年代から記録がありません。

サバクネズミカンガルー

半砂漠地帯に生息するカンガルー。 単独でいることが多く、乾燥に強いことから水場から離れたところにも存在しました。

1935年以来、サバクネズミカンガルーは確認されていません。 原因の一つとして、キツネによる捕食が考えられます。 オーストラリアでは、18世紀初頭にイギリスからキツネが移入されました。 これはスポーツとしてキツネ狩りを楽しむために、オーストラリアに持ち込まれたのです。 そして、そのキツネによりサバクネズミカンガルーを含む多くの在来種が絶滅の危機に迫られることになります。

ギルバートネズミカンガルー

低湿地を好む臆病者のギルバートネズミカンガルー。 1840年に採集された後、記録がありません。

1937年、オーストラリア本土に生息するギルバートネズミカンガルーは明らかに絶滅した、と断言されました。 キツネの移入がなかったタスマニアでは現在でも見られるそうです。

ヒロガオネズミカンガルー

ヒロガオネズミカンガルーは、絶滅したため習性など記録が少ない種です。 1863年にはヒロガオネズミカンガルーが確認されていたようですが、1910年頃から絶滅した恐れがあります。 生存が確認された、という報告もなかったわけではありませんが、絶滅してしまったと考えるのが妥当な状況です。

筋肉ムキムキのカンガルーが駆除されることも

絶滅したカンガルーもいますが、オーストラリアでは増えすぎたカンガルーにも悩まされているようです。 オーストラリアでは、人口よりもカンガルーの数が倍近くあるようです。 カンガルーと自動車による接触事故が多く、オーストラリアの人々には悩みの種になっています。

また、カンガルーによる環境や農業への被害もあり、2007年にオーストラリアの国防省は駆除を発表しました。 これには動物保護団体や動物愛護運動家からの猛反対が起こっています。 他にもカンガルー増加の対策として、商業的に狩猟し、カンガルーの肉を国内で消費、海外への輸出を行っています。

人間によって滅ぼされてしまった動物もいれば、人間の生活を脅かす動物もいます。 これからも私たち人間が生きていく上で、バランスが難しい問題だと言えるでしょう。

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