カンガルーは筋肉ムキムキでも絶滅危惧に?【絶滅動物シリーズ】

カンガルーと言えば、筋肉質な体と、ボクシングが得意というイメージではないでしょうか。 そして、カンガルーはどこで見れるのか、と言われたら、オーストラリアにたくさん生息している印象があります。
確かにカンガルーはオーストラリアに数多く存在しています。 しかし、カンガルーにもいくつかの種類があり、その中には絶滅が危惧されている種類もあるのです。 今回は絶滅が危惧されるカンガルーをご紹介します。
カンガルーとは?筋肉ムキムキと話題!
まず、私たちが想像する一般的なカンガルーとは、どのような種類なのでしょうか。
カンガルーの中でも代表的な種類は、アカカンガルーとオオカンガルーです。 体長が2m近くある大型の動物で、お腹に子供が入る袋がある有袋類です。 尻尾も太くて長く、オス同士の喧嘩のときは、尻尾のみで全身を支え、両足で相手を蹴り付けることがあります。
なぜか、カンガルーはボクシングをするイメージがありますが、キックが得意のようです。 飛び跳ねるように移動することが大きな特徴で、肉食動物に追いかけられると、時速72キロで走るとも言われています。
カンガルー、という名前の由来について、ちょっとした逸話があります。 イギリスの探検家として名高いクック船長が、初めてオーストラリアに訪れたときのことでした。 初めてカンガルーを見たクック船長は、原住民に「あれは何という動物か?」と聞いたそうです。 すると、原住民は「カンガルー」と答えたため、英語でカンガルーを名が付けられましたが、実は原住民が言ったカンガルーとは「わからない」という意味でした。 そんな誤解がそのまま名前になったそうですが、カンガルーの名前の由来については、その他にも逸話があるため、事実であるかどうかはわかりません。
筋肉ムキムキなのに!絶滅が懸念されるカンガルーの種
そんなキャラクター性に溢れる愛らしいカンガルーですが、絶滅の危機に晒されている種が複数あります。
アカフサオネズミカンガルー
体長が40cm程度のカンガルー。 アカフサオネズミカンガルーは藪の多い地域に生息し、日中は藪の地面を掘った浅いくぼみで休息しています。 巣を作るときに材料を多く使い、積み上げて下から潜り込むため、外からでは姿が見えません。 オーストラリア本土では1930年代から記録がありません。
サバクネズミカンガルー
半砂漠地帯に生息するカンガルー。 単独でいることが多く、乾燥に強いことから水場から離れたところにも存在しました。
1935年以来、サバクネズミカンガルーは確認されていません。 原因の一つとして、キツネによる捕食が考えられます。 オーストラリアでは、18世紀初頭にイギリスからキツネが移入されました。 これはスポーツとしてキツネ狩りを楽しむために、オーストラリアに持ち込まれたのです。 そして、そのキツネによりサバクネズミカンガルーを含む多くの在来種が絶滅の危機に迫られることになります。
ギルバートネズミカンガルー
低湿地を好む臆病者のギルバートネズミカンガルー。 1840年に採集された後、記録がありません。
1937年、オーストラリア本土に生息するギルバートネズミカンガルーは明らかに絶滅した、と断言されました。 キツネの移入がなかったタスマニアでは現在でも見られるそうです。
ヒロガオネズミカンガルー
ヒロガオネズミカンガルーは、絶滅したため習性など記録が少ない種です。 1863年にはヒロガオネズミカンガルーが確認されていたようですが、1910年頃から絶滅した恐れがあります。 生存が確認された、という報告もなかったわけではありませんが、絶滅してしまったと考えるのが妥当な状況です。
筋肉ムキムキのカンガルーが駆除されることも
絶滅したカンガルーもいますが、オーストラリアでは増えすぎたカンガルーにも悩まされているようです。 オーストラリアでは、人口よりもカンガルーの数が倍近くあるようです。 カンガルーと自動車による接触事故が多く、オーストラリアの人々には悩みの種になっています。
また、カンガルーによる環境や農業への被害もあり、2007年にオーストラリアの国防省は駆除を発表しました。 これには動物保護団体や動物愛護運動家からの猛反対が起こっています。 他にもカンガルー増加の対策として、商業的に狩猟し、カンガルーの肉を国内で消費、海外への輸出を行っています。
人間によって滅ぼされてしまった動物もいれば、人間の生活を脅かす動物もいます。 これからも私たち人間が生きていく上で、バランスが難しい問題だと言えるでしょう。