ペルム紀の大量絶滅とは?原因は火山活動によるものか
環境問題が深刻化する昨今では、自然が失われるどころか、人類の存続も危ぶまれています。 このような環境の変化による地球生物の危機は、実は今まで何度もありました。
その中でも「史上最大の生物大量絶滅」があったと言われる時代をペルム紀と言います。 ペルム紀とはどのような時代で、なぜ史上最大とまで言われる大量絶滅が起こったのでしょうか。
史上最大の生物大量絶滅!ペルム紀とは
ペルム紀とは、今から約2億9900万年前から約2億5100万年前までを指す地質時代です。 この頃の大陸の配置は現在と異なり、パンゲア大陸と呼ばれる大陸が存在していました。 これは、今で言うところのユーラシア大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、インド大陸、オーストラリア大陸、南極大陸が一つになった超大陸です。
もちろん、人類が誕生する前の時代であり、さまざまな巨大な両生類、爬虫類が生息していました。 他にも、恐竜や鳥類の祖先となる双弓類、哺乳類の祖先となる単弓類が繁栄しています。 植物はシダ植物の他に、イチョウ類やソテツ類のような裸子植物が存在していました。 気候については、ペルム紀の初期は寒冷だったものの、末期の平均気温は23℃と、6億年前から現在まででもっとも高い気温だったと考えられています。
ペルム紀はこのような環境でしたが、史上最大の生物大量絶滅が起こることになります。
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ペルム紀の大量絶滅が起こった原因は?
ペルム紀の末期に起こった大量絶滅は、またの名をP-T境界と言い、地球史上最大規模でした。 絶滅した種の割合は、海洋生物のうちの96%、全ての生物種の90~95%に達すると言われるほどです。
この絶滅の原因は諸説ありますが、最も有力だと言われるのが、史上最大の火山活動によって環境変化が起こったというものです。 シベリア東部のバイカル湖、その北には直径約2,000kmの火山岩地域が広がっています。 これがペルム紀の末期に大噴火し、発生したエアロゾルが太陽光を遮断して寒冷化。 陸上の植物は枯れ、食物連鎖が崩壊し、土壌が海洋に流出したことで、海の環境も激変した結果、多くの生物が絶滅してしまったのです。
しかし、この説はすべての研究者を納得させるものではなく、実際にいくつもの疑問点が指摘されていました。 それでは、ペルム紀の大量絶滅の原因は、火山活動ではなかったのでしょうか。
東北大がペルム紀の絶滅原因の証拠を発見
ペルム紀の絶滅原因の論争に決着が付くかもしれない証拠が、2020年に入って発見されます。 それは、東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授らの研究グループによって発表されました。
海保教授の研究チームは、中国とイタリアで約2億5000万年前に浅海で堆積した岩石を採取し、水銀と堆積有機分子を分析していました。 その結果、大量絶滅を記録した地層とその上下の地層で、6環の芳香族炭化水素のコロネンという有機分子の濃集を発見します。
コロネンは有機物の燃焼により生成されますが、通常の堆積岩に含まれる割合は多くありません。 なぜなら、その生成に高温が必要であり、平均的な森林火災の温度では十分ではないからです。 その高熱を生み出す源は、高温マグマか小惑星や彗星の衝突による衝撃と考えられますが、ペルム紀の末期は高温マグマによるものだ、と考えられます。
この発見により、ペルム紀末の大量絶滅の原因は、シベリア火山大規模噴火であることがより確実になったと言えるのです。 また、コロネンの指標は大昔に大規模火山噴火あった証拠を捉えるために使えると、今後の展望として評価されることになりました。
人間はペルム紀の絶滅を再現することに?
ペルム紀のような大量絶滅は、他の時期にもあり、それらを5大絶滅事件と言います。 そして、現在は6度目の絶滅が進行している、と言われるほど、多くの種が急激に失われています。
それは人間が起こした環境問題の影響が大きく、このままでは私たちが大量絶滅の引き金になってしまうのです。 もしかしたら、数百年後、数千年後にはペルム紀のような絶滅事件を語り継ぐ人物すら、存在していないかもしれませんね。