ライチョウが絶滅危機に?温暖化で減少も50年ぶりに確認

ライチョウが絶滅危機に?温暖化で減少も50年ぶりに確認

ライチョウという、まるで伝説の生き物のよう名前の鳥をご存じでしょうか。 もちろん、伝説の生き物ではありませんが、日本では絶滅が懸念されている動物ではあります。

ライチョウの絶滅には様々な出来事が関係していますが、その一つは温暖化だと言われています。 ライチョウの絶滅と温暖化は、どのような関連性があるのでしょうか。

なぜライチョウが絶滅危機に?原因は温暖化か

ライチョウは、日本では北アルプス(新潟県、富山県、岐阜県、長野県に跨る飛騨山脈の通称)に生息しています。

しかし、長野県環境保全研究所や森林総合研究所などによる研究チームによって、今世紀末には北アルプスのライチョウが絶滅する恐れがある、と発表されました。 原因は、ライチョウが住まう高山植物が激減の恐れがあるためです。

この研究チームは、ライチョウの住処や餌となる高山植物が、気温や降雪量の変化にどのような影響があるのか調査しました。 もし、このままのペースで温暖化が進行した場合、気温の上昇や降雪量の減少が予測され、現在の高山植物の分布と比較することで、ライチョウの未来の生息地を割り出しました。

すると、今世紀末がやってくる頃、ライチョウの生息できる地域は、現在のたった0.4%という衝撃的な結果が導き出されてしまったのです。 高山植物が失われてしまえば、ライチョウの絶滅は逃れられないことから、何らかの保全対策が必要になると考えられています。

絶滅が迫るライチョウとはどんな鳥?減少の経緯も

温暖化で絶滅が懸念されるライチョウ

そもそも、ライチョウとはどのような鳥なのでしょうか。簡単にライチョウについてご説明します。

ライチョウ(雷鳥)は、キジ目キジ科ライチョウ属に分類される鳥類です。 富山県、長野県、岐阜県の県鳥に指定されていて、その特徴的な名前の由来は、雷が鳴りそうな空模様でも活発に動くことから、雷鳥と呼ばれる、と言われていますが、実際のところははっきりしないそうです。 江戸時代までは「神の使者」として信仰の対象であり、保護されていましたが、明治時代には乱獲の対象となってしまいます。

その後、法律が整備され、再び保護の対象となり、1955年には特別天然記念物に指定、国内希少野生動植物種にも指定されていますが、その姿は次第に日本から消えていきます。 原因としては、温暖化だけではなく、アカギツネやテンなど捕食者の増加や、イノシシやニホンザルによる植生の破壊などが挙げられます。 環境省によると、1980年代には約3000羽が存在すると考えられていましたが、2000年代に入ってからは2000羽弱まで減少してしまったと発表されています。

参考:環境省 ライチョウ

温暖化で絶滅が懸念されるライチョウを50年ぶりに確認

絶滅が懸念されるライチョウが確認された中央アルプス

このように、ライチョウは減少の傾向にありましたが、2018年の7月、既に絶滅したと思われていた中央アルプス(長野県の南北に連なる木曽山脈の通称)で雌の姿が発見されました。 羽毛の遺伝子解析により、北アルプスより飛来したと判明しましたが、環境省はこの雌をきっかけとして、中央アルプスのライチョウの復活を試みます。

2019年の6月には、北アルプスで生まれた有精卵を中央アルプスのライチョウが生んだ無精卵と交換することを行いました。 これにより、中央アルプスの雌が卵を温め、ひながふ化し、成長することを期待したのです。

結果、7月1日に5羽のひなが確認され、中央アルプスに生息するライチョウの復活が、第一歩を踏み出したように思われました。 しかし、7月11日の調査では、親鳥の周辺にひなは確認されず、5羽すべてが全滅してしまったと考えられています。

温暖化が悪化する中、中央アルプスでたくさんのライチョウが羽ばたく未来は実現できるのでしょうか。

参考:環境省 信越自然環境事務所 平成31年度のライチョウ保護増殖事業(生息域内保全事業)の実施について

温暖化で絶滅するのはライチョウだけじゃない

ライチョウは日本から姿を消しつつありますが、温暖化によってさらにその数を減らしてしまうことが懸念されています。 様々な努力により、減少を食い止めることを試みていますが、一度乱れてしまった自然のバランスを戻すことは大変難しいことです。

また、温暖化によって減少してしまう動物はライチョウだけではありません。 私たちは自分の生活ためにも、絶滅が危惧される動物たちのためにも、できる限り温暖化の抑制を心がける必要があるでしょう。 簡単なことからでも、エネルギーの無駄がないよう、意識してみましょう。

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