土壌汚染とは?引き起こす原因と防ぐための対策
私たちは自然に支えられて生活していますが、人間自身の手でそれを汚してしまうことがあります。 その代表例が土壌汚染です。
土壌汚染とは、何が原因で引き起こされてしまうのでしょうか。 また、土壌汚染を防ぐために、どのような対策が行われているのでしょうか。
土壌汚染とは?何が問題なのか
土壌汚染とは、有害物質が地下に浸透して土に吸着し、地下水に溶けて拡散するなどして、土壌や地下水が汚染されてしまうことです。 土壌が汚染されてしまうと、さまざまな方面に問題を発生させてしまいます。 それは主に、人体に対する影響、生活に対する影響、社会に対する影響などが挙げられるでしょう。
人体に対する影響は、汚染された土壌から出た有害物質を吸い込んでしまった魚介類や農作物を食べる、汚染された土壌から染み出した地下水を飲んでしまう、ということがあります。 生活に対する影響は、悪臭や汚染拡大による精神的な苦痛などです。 土壌汚染は長期的な問題になる傾向があり、生活にも多くの影響があります。
社会に対する影響としては、多くのコストが発生することです。 環境省や都道府県は、土壌汚染の対策や説明会、情報の提供など、さまざまな対応が求められます。 時間や資金、人員といったコストも発生し、社会全体で対策する必要があるため、多くの影響をもたらすことになるのです。
土壌汚染を引き起こす原因とは?
このように多くの問題を発生させる土壌汚染は、何が原因で起こってしまうのでしょうか。 土壌汚染の発生は、大きく分けると3つの原因が考えられます。
まずは、使用された有害物質が何らかの理由で漏れ出してしまうことです。 これは、工場で取り扱われる物質が、排水方法を誤るなどの経緯で自然界に流れ出てしまい、土壌を汚染してしまう、というケースが考えられます。
次に、不適切な廃棄方法で有害物質が埋められることも、土壌汚染の原因として挙げられます。 不法投棄の問題もこれに関係し、有害物質が雨によって溶けだすと、土壌が汚染されてしまうのです。
そして、大気中の物質が土壌に落ちて汚染が広がるケースもあります。 排気ガスや飛灰といった大気中の汚染が土壌の表面に落ちてきて、大気汚染につながります。 つまり、土壌汚染は土だけでなく、いくつもの環境問題が絡んでいる問題だと言えるのです。
土壌汚染を防ぐ対策とは?
多くの影響をもたらす土壌汚染に対し、どのような対策が取られているのでしょうか。 土壌汚染を防止するため、2003年に「土壌汚染対策法」が登場しています。 土壌汚染対策法は、土壌汚染が起こった現場の把握を行い、健康被害を防止する措置を進める法令です。
これは、有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき、一定規模以上の土地の形質の変更の届出があったときなど、必要に応じて土壌汚染の調査が実施されるものです。 調査によって、土壌汚染の状態が基準を超えている場合は「要措置区域」もしくは「形質変更時要届出区域」に指定し、汚染の除去が行われます。
他にも、土壌汚染対策は汚染物質の種類によっても、その特性に合わせた対策が行われます。 汚染物質の種類としては、VOC(揮発性有機化合物)、重金属、硝酸・亜硝酸性窒素が挙げられるでしょう。 これらは、対策方法が決められ、一律の対策を行うのではなく、ケースによって適切な方法が行われるのです。
土壌汚染に対して私たちは何ができる?
土壌汚染に対し、私たちができることは、決して多くはありません。 まずは土壌汚染の原因や現状について把握することです。 都道府県、市町村は土壌汚染対策法に基づいて決定した要措置区域の指定状況を公開しています。 これを確認すれば、自身が暮らす地域で、どのような土壌汚染がどれだけ発生しているのか、実情を把握できます。
関心を持つことは、意識の変化につながり、多くの人の行動を変えるきっかけとなるでしょう。 その上で、土壌汚染の原因を知り、対策を考えれば状況を変えられるかもしれません。 ぜひ、土壌汚染について触れるきっかけがあれば、調べてみてください。