母の日のカーネーションが大量廃棄?花ロスの原因とは
毎年、5月の第2日曜日と言えば母の日です。 母の日に感謝を伝えるため、毎年何を贈ろうか、悩んでしまう人も少なくないでしょう。
そんな母の日の贈り物として、定番と言ったらカーネーションかもしれませんが、実はそれが大変な廃棄問題と関係しています。 母の日のカーネーションと関係する廃棄問題をご紹介します。
母の日のカーネーションが実は廃棄問題に
母の日は、日ごろの母の苦労をねぎらい、感謝する日であり、毎年5月の第2日曜日に祝い、贈り物を準備することが多く見られます。
もともと、日本で母の日は3月6日としてしました。 これは、1931年に大日本連動婦人会が結成された際、当時の皇后の誕生日である3月6日を母の日としたものの普及することなく、1949年ごろからアメリカに倣って5月の第2日曜日に行われるようになります。
その起源は1907年のことで、南北戦争中に敵味方問わず負傷兵の衛生状態を改善するため、地域の女性を結束させていたアン・ジャービスの娘アンナの行動だと言われています。 彼女は、亡き母親を偲んで、5月12日に母が教師をしていた教会で記念会を行い、白いカーネーションを贈りました。
さらに、1908年の5月10日にはアンナの想いに感動した、生徒と母親達が470人集まり、最初の「母の日」を祝うことに。 アンナがこのとき、母が好きだったカーネーションを参加者たちに配ったことから、カーネーションが母の日のシンボルとなります。 そして、1914年に「母の日」がアメリカの記念日となり、5月の第2日曜日と定められました。
しかし、この母の日に贈られるカーネーションが、現在では悲しい廃棄問題につながってしまうのです。
母の日が終わって大量廃棄されているカーネーション
日本では、母が健在であれば赤いカーネーションを贈り、母親が鬼籍に入っていれば白いカーネーションを贈る、という習慣が一般的となっています。 そのため、5月の第2日曜日が近付くと、花屋の店頭にはカーネーションが並びますが、そのすべてが売り切れるわけではなく、割引を行ったとしても、余ってしまうことがほとんど。
母の日が過ぎた翌日以降は、カーネーションが大量に廃棄されてしまう、という事態は珍しいことではありません。 農林水産省の調査「花きの現状」によると、家庭における花きの消費額は5月の母の日シーズンが年間で最も高く、年間生産本数のおよそ4分の1が、この日に合わせて生産され、出荷されています。
参考:農林水産省 花き振興コーナー
つまり、恵方巻やクリスマスケーキといったフードロスのような現象が起こっているのです。 このようなイベント時期に、商品を大量に売り出すことは、盛り上がりを見せ、話題になることです。 しかし、消費のタイミングがある時期に集中してしまうと、生産者や処分の工程、環境に負担をかけてしまうことでしょう。
母の日のカーネーションに限らない廃棄問題
このように、消費者に届く前に花が廃棄されてしまうことは、母の日だけでなく、日常的に起こっています。 これをフラワーロスと言い、社会問題の1つとして数えられています。
フラワーロスは、売れ残りだけでなく、出荷の際に品質が落ちてしまった、サイズが規格外のため売り先が見つからなかったなど、さまざまな原因によって発生していることです。 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により、花を多く必要としていたイベントが中止や縮小になったことで、業界は厳しい状況に。
以前からあったフラワーロスによる経済損失は、さらに大きくなり、解決のため、さまざまな取り組みが行われています。 その例としては、農林水産省による「花いっぱいプロジェクト」や、株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションによる「2020スマイルフラワープロジェクト」などがあります。 また、2020年6月7日~7月12日に有楽町マルイではロスフラワーを活用した体感スペースが設置されるといった、アートとして活用されたケースもありました。
参考: 農林水産省 花いっぱいプロジェクト
参考: 2020スマイルフラワープロジェクト https://jfc.thebase.in
フラワーロスに対してできることは、個人では決して多くありません。 自宅に花を飾ってみる、たまにプレゼントとして誰かに花を贈ってみる、フラワーアレンジメントに挑戦するなど、母の日以外の日でも、花を楽しむ機会を作ってみてください。
母の日のカーネーションに見る廃棄問題
この ような廃棄問題は、もちろんカーネーションを始めとするフラワーロスだけではありません。 大量生産・大量消費の時代には、多くのものが活用されることなく、大量に廃棄されています。
私たちは、そのような無駄を抑えるためにできることは少ないかもしれませんが、リユースやリサイクルを心がけることは大切なことです。 不用品が出たら捨てるのではなくリユースを行う、ごみはしっかりと分別してリサイクルを促進するなど、ぜひできることから始めてみてください。