意外に知られていない?絶滅危惧種の多くは植物だった

意外に知られていない?絶滅危惧種の多くは植物だった

絶滅危惧種と聞くと、多くの人は動物を連想するのではないでしょうか。 しかし、実は植物も多くの種が絶滅の危機に晒されています。

どのような植物が絶滅の危機にあり、どんな原因があって減少してしまったのか、ぜひ知りたいところですよね。 絶滅が危惧される植物5選をご紹介します。

意外と知らない?多くの植物が絶滅危惧種

日本は国土の67%が森林である、と言われるほど、緑が多い国です。 実際に、出歩いてみると木々だけでなく、花や植物などを所々で目にすることでしょう。

しかし、意外なことに多くの植物が絶滅の危機に晒されています。 環境省が発表するレッドリスト(2020年版)には、3716種の生物が絶滅の危機にあると記載されていますが、そのうちの2030種が植物であると発表しています。 植物は、動物に比べると保全のための資金や活動家が少ない状況もあり、私たちが認識していないところで、次々と絶滅しているのです。

絶滅を迎えようとする植物のために、私たちができることはあるのでしょうか。 そんなことを考えるきっかけとして、実際にどのような植物が絶滅危惧種とされているのか、確認してみましょう。

絶滅が危惧される植物5選

それでは、具体的にはどのような植物が絶滅危機とされているのでしょうか。 絶滅危惧種に指定されている植物5選をご紹介します。

キキョウ

絶滅が危惧される植物「キキョウ」

キキョウは、キキョウ科の多年生草本植物で、山野の日当たりのいい場所に育つ特徴があります。 根は太く、丈は50~100センチ程度。

秋の花のイメージがあるキキョウですが、実際の開花時期は6月中旬から初秋の9月頃までとなり、つぼみが徐々に緑から青紫へ変わると、星形の花を咲かせます。 キキョウの根には、サポニンと言われる成分が含まれることから生薬として使われる、という特徴も。 日本全土に分布していたキキョウですが、土地開発の影響で、自生株は近年減少傾向にあり、絶滅が危惧されています。

イヌノフグリ

絶滅が危惧される植物「イヌノフグリ」

イヌノフグリはオオバコ科クワガタソウ属の越年草です。 イヌノフグリという名前の由来は、果実の形状が雄犬のフグリ…つまりは、陰嚢に似ていることから、そう呼ばれるようになりました。

3~5月にかけて、淡いピンク色の花をつけるイヌノフグリは、東アジアに広く分布し、日本では本州以南に見られる在来種(大昔に渡来した帰化植物である可能性も)です。 そのため、かつては路傍や畑の畦道など多くの場所で見られましたが、近年は近縁種の帰化植物であるオオイヌノフグリに生息地を奪われ、人間の開発行為も関係し、減少しています。

イワオモダカ

イワオモダカは、ウラボシ科に分類される着生シダ植物で、日本各地や朝鮮半島南部の山林に分布しています。 約4ミリの短い根茎で岩などに着生し、ほこ型に3裂する葉が特徴的です。 イワオモダカは観葉植物として栽培され、育成初期の若い葉は、ワラジムシやナメクジによって食害されることも。 ただ、減少の原因は園芸目的に採取されてしまうことで、分布情報の公開は配慮が必要とされています。

ネコノシタ

絶滅が危惧される植物「ネコノシタ」

ネコノシタは、キク科ハマグルマ属に分類される、多年草の1種です。 ネコノシタという名前の由来は、葉が猫の舌のようにザラザラしていることが由来と言われています。

ベトナムや中国、台湾などに分布するネコノシタですが、日本では本州、四国、九州、琉球諸島など広い地域で分布し、海岸の砂地に生息することが特徴です。 絶滅が危惧されるようになった理由は、砂浜の開発や護岸工事、人による踏み付けなどが挙げられます。

オニバス

絶滅が危惧される植物「オニバス」

オニバスは、スイレン科に属する一年生の水草です。 水底の地下茎から葉柄を伸ばし、夏には巨大な葉を水面に広げることが、オニバスの大きな特徴です。

東アジアから南アジアにかけて分布し、日本も本州、四国、九州と広く生息していましたが、環境の悪化によって減少しています。 環境の悪化だけでなく、埋め立てや河川改修などにより、自生地の消滅が相次ぎ、現象が加速しています。

富山県氷見市には「十二町潟オニバス発生地」として、1923年に天然記念物に指定されていますが、1979年以降にオニバスが消失。 再発生と再生保護活動が行われていますが、現在も復活は見られていません。

植物の生物多様性はなぜ必要なのか

こちらで紹介した絶滅が危惧される植物は、あくまで一部であり、私たちの想像以上にさまざまな種が失われようとしています。 たくさんの種類がある植物の一部が絶滅したところで問題あるのだろうか、と疑問に思う人もいるかもしれません。

しかし、植物だけでなく、生物の多様性が失われることは、私たち人間にも大きなデメリットをもたらします。 生物多様性は、豊かな生態系を保つものであり、人類の生活基盤を支えているのです。 私たちは、植物を含むあらゆる生物を減少させないためにも、生活を見直す必要があるかもしれません。 ちょっとしたことからでも、ぜひエコやリサイクルを心がけてみてください。

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