スズメ・ツバメが減少傾向に?絶滅危惧種に指定される恐れも
動物は自然の中に生息し、人間と関わることは稀なことですが、私たちの日常の中に定着していることもあります。犬や猫がその代表とも言えますが、スズメやツバメといった鳥も、私たちにとって馴染み深い動物ではないでしょうか。
しかし、そんなスズメやツバメが絶滅するかもしれない、と話題になっています。スズメやツバメはなぜ絶滅が懸念されるまで、減少してしまったのか、原因を探ってみましょう。
減少するスズメとツバメ!日本人との関係は?
私たちにとって馴染み深い鳥、スズメとツバメですが、どれだけ日本の生活や文化に浸透しているのでしょうか。 まずはスズメ・ツバメと日本人の関係をご紹介します。
スズメと日本人の関係
スズメ(雀)はスズメ目スズメ科スズメ属に分類される鳥類で、人家の近くに生息することが特徴です。 日本では、いくつかの離島を除けば北海道から沖縄まで分布し、都市や農村でも見られます。
夏から秋にかけては食害を起こしますが、害虫も食べることから農家には総合的に益鳥と認識されていることから、民謡に登場するなど人々に愛されています。 そういった文化的な側面では「舌切り雀」を始めとする民話に登場し、俳句で謳われる、「雀の涙」や「雀百まで踊り忘れず」といった慣用句で使われることで有名です。
このように、日本人の生活の中に、スズメが古くから浸透していることを窺わせるものは、数多く見られます。
ツバメと日本人の関係
ツバメ(燕)は、スズメ目ツバメ科ツバメ属に分類される鳥類で、古くはツバクラメやツバクロと呼ばれていました。 ツバメは北半球に広く分布し、日本は沖縄にも存在しています。 スズメと同じく稲栽培で益鳥と認識されていますが、ツバメは害虫を食べても穀物は食べることはありません。 そのため、ツバメの巣や雛に悪戯することは禁じられ、古くから人々に大切にされていました。
さらに、文化的な側面でも「竹取物語」「幸福な王子」のような物語に登場し、ことわざでも「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」「燕が低く飛ぶと雨が降る」が有名です。
やはり、ツバメについても日本人の生活や文化に浸透している、と言えるでしょう。
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スズメとツバメが減少している!絶滅の危険性
そんな私たちに馴染み深いツバメとスズメですが、このままでは絶滅してしまうのではないか、と言われています。 2021年10月25日、環境省が20年ぶりに行った鳥類の分布調査結果を公表しました。
それにより、スズメやツバメの個体数が大きく減少していることがわかり、将来的には絶滅危惧種に指定する恐れもある、という話も出ています。 調査は1974~78年、1997~2002年に続き3回目で、今回は2016~2021年にかけて、日本野鳥の会や山階鳥類研究所などと共同で行われました。
その結果、スズメの個体数は前回調査の3万1,159羽から2万627羽に減少。 ツバメは1万4978羽から8,987羽に減少したことがわかっています。 スズメやツバメは何が原因で個体数を減少させてしまったのでしょうか。
参考:環境省 自然環境保全基礎調査全国鳥類繁殖分布調査(2016-2021年)について
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スズメとツバメの減少原因は?分布広げる外来種
スズメやツバメが減少してしまった原因は、彼らを育んでいた穀物を作る農地が、野菜を栽培する畑地に変わったことではないか、と考えられています。 環境省はこの今回の調査結果を今後の生物多様性を守る施策に生かす方針です。
また、この調査で分かったもう1つのことは、スズメやツバメが個体数を減少させる一方で、ガビチョウのような外来種が分布を拡大させていることでした。 ガビチョウはスズメ目チメドリ科に分類される鳥類で、日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。 ガビチョウはもともと香港や東南アジアで愛玩鳥として飼育されていましたが、1970年代に日本で飼い鳥ブームが起こると、大量に輸入されました。
しかし、高度経済成長期になって洋鳥が台頭し、これに比べると地味だったガビチョウの人気は低下。 1980年代に入るとペットショップの店頭から姿を消し、放鳥されたことから食害の原因となってしまいます。 さらに、ガビチョウは鳴き声が非常に大きいことから、騒音の原因と捉えられ、害鳥に指定されることに。
現在は、外来生物法により、届出を出していない限り、愛玩・観賞目的での飼育は禁止されています。 ガビチョウがスズメやツバメに与える影響は、現在は確認されていませんが、本来の生態系が乱れていることは確かだと言えるでしょう。
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スズメとツバメが減少しないためには
自然や動物は繊細であり、私たちの活動の影響で、衰退してしまうというケースは少なくありません。 スズメやツバメの減少も、私たちの生活が何らかの形で関わってくることも考えられます。
このような事態を防ぐために、日常で注意できることは、可能な限り廃棄物を抑えることです。 不用なものが出たら、リユースやリメイクによって捨てることを避けてみてください。 それだけでも、これからの地球環境に良い影響を与えるはずです。 このようなちょっとしたことでも、ぜひ心がけてみてください。
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