ガビチョウの鳴き声がうるさい!日本にやってきた経緯と影響
美しい鳥のさえずりも、あまりに大きければ騒音と認識されてもおかしくありません。 実際、大きい鳴き声が「うるさい」という理由で害鳥に指定された鳥が存在します。
それが特定外来生物のガビチョウです。 今回はガビチョウが日本にやってきた理由や、うるさいと言われがちな鳴き声についてご紹介します。
鳴き声がうるさい?カビチョウとは
ガビチョウは、スズメ目チメドリ科に分類される鳥で、漢字では「画眉鳥」と表記されます。 体長は22~25センチ程で、体色は全体的に茶褐色か黄褐色、長いくちばしと尾、それから目の周りある眉上に伸びた白い紋様が特徴です。
日本では里山など、低山の雑木林に住み、民家の庭の木にとまってさえずることもあります。 地上採食性で、地上を走り回り、高く飛ぶこともありません。
分布は、中国の南部から東南アジア北部にかけて広く生息していますが、特定外来生物として日本にも定着。 日本では南東北、関東、中部、九州北部で見られます。 都内では多摩丘陵の多摩市、町田市、八王子市の市境付近で見られ、高尾山もガビチョウが見られるスポットとして有名です。
また、カビチョウは鳴き声が特徴的ですが、日本では「うるさい」と嫌われがちな側面もあります。
ガビチョウはなぜ日本にやってきたのか
鳴き声の大きさが嫌われがちなガビチョウですが、なぜ日本にやってきたのでしょうか。
ガビチョウは中国で非常にポピュラーな飼い鳥で、一般的に広く飼われ、価格も非常に安価でした。 そのため、日本は1970年代の飼い鳥ブームのときにガビチョウを大量輸入。 中国と同様、ガビチョウのさえずりが愛でられていました。
しかし、1980年代に入るとガビチョウの人気が急降下。 それは、洋鳥に比べて体色が地味であること、配合に手間がかかる「すり餌」を与えるのが面倒、といった理由だと考えられ、結果的に放鳥される個体も少なくありませんでした。
こうした経緯からガビチョウはソウシチョウと並んで「かご抜け鳥」と表現されることもあります。 そして、野生化したガビチョウは農作物の食害を起こすだけでなく、鳴き声が「うるさい」と害鳥扱いに。
また、その適応力の高さから生息範囲を広め、2005年には外来生物法で特定外来生物に指定。 日本の侵略的外来種ワースト100にも指定されています。
ちなみに、ガビチョウの鳴き声は日本野鳥の会のYoutubeチャンネルでも聴けます。
動画で聞く分には美しいさえずりのようですが、これが朝早い時間に家の傍で聞こえてきたら、確かに騒音と感じられるかもしれませんね。
ガビチョウの影響でスズメやツバメが減少か
ガビチョウが生息域を拡大させることは、日本の生態系にどのような影響をもたらすのでしょうか。
現在、はっきりした影響は分かっていませんが、同じようにガビチョウが定着してしまったハワイでは在来種の減少が報告されています。 また、ガビチョウが生息する日本の里山では、ツグミやシロハラといった、地上採食性の鳥類も存在するため、これらの個体数に影響するという指摘も。
さらには、ガビチョウの行動範囲はウグイスとその近縁種と重なることから、ウグイスの減少とその結果としてカッコウ科の托卵が妨げられ、カッコウ、ホトトギス、ジュウイチ、ツツドリの減少も考えられています。 他にも、環境省による「自然環境保全基礎調査全国鳥類繁殖分布調査(2016-2021年)」では、ガビチョウやソウシチョウといった外来種の増加が確認される一方で、ツバメとスズメの減少が報告されました。
参考:環境省 自然環境保全基礎調査全国鳥類繁殖分布調査(2016-2021年)
これらは明確な因果関係が科学的に証明されたわけではありません。 しかし、生態系は絶妙なバランスによって保たれています。 ガビチョウの生息範囲が広がることで、連鎖的な生態系崩壊も否定できないのです。
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ガビチョウなど外来種の危険性
このように生態系を崩壊させるかもしれない外来種は、ガビチョウだけではありません。 特定外来種の例としては、アライグマやヌートリアといった身近な動物も挙げられます。
そして、これらの外来種の多くは私たち人間の行動によって、持ち込まれることがほとんどです。 生態系から恩恵を受けている人間が、自らの手でそれを破壊してしまうことがないよう、私たちは注意しなければなりません。 動物たちとの関りだけでなく、日頃から身近なリサイクルや環境問題のためにできることを意識してみましょう。
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