日本はビニール傘の廃棄量が世界一?環境問題に発展する恐れ
梅雨から夏にかけて、悩まされるのは、突然の雨ではないでしょうか。 そんなときに心強いのが、コンビニやスーパーで手軽に買えるビニール傘です。
しかし、そのビニール傘が日本では大変な環境問題になっていることをご存じでしょうか。 ビニール傘による環境問題をご紹介します。
日本はビニール傘を世界で一番消費している
日本はとにかく傘を消費する国で、その数は世界一だとも言われています。 日本洋傘振興協議会によると、国内の年間傘消費量は1億2~3千万本程度で、そのうちビニール傘も数多く含まれていると考えられます。
参考:日本洋傘振興協議会 よくある質問
そもそも、外国では傘はあまり利用されないようです。 例えば、イギリスは雨が降ったとしても、霧雨が多く、傘を使う必要性は感じられないという人が多いと言われています。 アフリカは降水量が少なく、アメリカは車社会であるため外を歩く時間が短いことから、傘を利用しないことが多いのだとか。
そのため、海外の人たちからすると、傘を持ち歩く日本人は少し変わっているように見えるそうです。 そんな日本人の習慣が、傘による環境問題を生み出しているのです。
日本はビニール傘が大量に廃棄されている
傘の消費量が多い日本では、もちろん傘の廃棄量が多いのも当然です。 これは、ただ日本に傘を使う習慣があるから、というわけではなく、人々の傘に対する意識が大きく関わっていました。
ビニール傘は、安価であるため、コンビニでも気軽に購入できます。 そのためか、少し使っただけでも、簡単に廃棄されてしまう傾向にもあります。 中には強い風で折れてしまった傘をその場で捨ててしまう人も少なくありません。
警視庁の遺失物取扱状況を見ても、傘の忘れ物の数は多く、年間で30万本以上が遺失物センターに届くそうです。 他の忘れ物に比べ、傘は遺失者返還の割合も0.9%と低いことも、人々から大事に使われていないことがわかります。
参考:警視庁 遺失物取扱状況(平成30年中)
また、傘は鉄とプラスチック部分の分別が難しいことから、リサイクルに向いていない、とも言われています。 そして、中国によるプラスチックの輸入規制が開始されたことで、ビニール傘の処理は困難なものとなってしまいました。
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これは、日本人が手軽で便利なビニール傘を「使い捨て」である、と意識しているために、起こってしまった問題だと言えます。 すべての日本人が、傘に対する意識を変えない限り、この環境問題を日本は抱え続けることになるかもしれません。
日本のビニール傘問題を解決する?シェアサービスが話題
このような傘の問題が懸念される中、傘をシェアすることで、環境問題に取り組む会社も登場し始めました。
その一つが、清涼飲料メーカーであるダイドードリンコ株式会社です。 ダイドーは資源の有効活用や環境負荷を低減のため、駅や電車で忘れられた傘のリサイクルを始めました。 これは「レンタルアンブレラ」として、飲み物を販売する自動販売機の横に設置されています。 忘れられた傘にステッカーを貼り付けて加工を施し、リサイクル傘として活用しているのです。
参考:ダイドードリンコ 自販機での貸し傘「レンタルアンブレラ」をリサイクル傘100%で展開へ
他にもアプリを使って傘をシェアするサービスなども登場し、傘の問題に対し解決する試みが増えています。 このような取り組みにより、傘による無駄が出なくなることが期待できるのではないでしょうか。
日本でビニール傘が廃棄されないよう注意
この問題は、ビニール傘が安くどこでも手に入るため、便利なものであったからこそ起こってしまったのかもしれません。 そのような問題は、便利なものを大量生産できる今の世の中では、数多く存在しています。
私たちはこのような問題を広げないためにも、3Rを意識することや、リペア(Repair)、レンタル(Rental)など様々なRを実践すると良いかもしれません。 ぜひ身近なところからでも、意識してみてくださいね。