バナナが病気で絶滅する?猛威を振るう新パナマ病とは

バナナが病気で絶滅する?猛威を振るう新パナマ病とは

私たちにとっても、なじみ深いバナナが、絶滅してしまうと噂になっています。 バナナは栄養の高さから、ダイエットや筋トレにも効果的と言われる、素晴らしい食材です。

そのバナナがなぜ絶滅の危機に迫られているのでしょうか。 バナナを絶滅させるかもしれない、新パナマ病をご紹介いたします。

バナナが病気で食べられなくなる?

2019年、8月8日のこと、コロンビア農業研究所(ICA)が、コロンビア北部の複数の農園で、トロピカル・レース4(TR4)と呼ばれる菌が検出されたと発表しました。 コロンビア政府はこの事態に緊急事態宣言を発令し、菌の拡大を防止するため、対象となるバナナを廃棄、農園の検疫を行いました。

1950年代以降、バナナはキャベンディッシュ(Cavendish)と言われる品種が、最も多く流通しています。 そのキャベンディッシュの栽培方法は、おしべとめしべを用いた有性生殖ではなく、苗木から育てる栄養生殖によるものです。 その場合、すべての成長する個体が同一のクローンとなり、たった1つの病原菌によってすべての個体が滅んでしまう恐れがあるのですが、そのキャベンディッシュを滅ぼしてしまう恐れがある菌、TR4が1990年代に台湾で発見され、インドネシアやフィリピンなどのバナナ農園で猛威を振るっていました。

そして、世界有数のバナナ輸出国であるコロンビアに上陸したことが話題になり、バナナの絶滅が噂される事態となったのです。 この菌が蔓延しないためにも、多くの生産国が殺菌を徹底しているようですが、完全に封じ込めることは難しいようです。 それでは、バナナを絶滅させてしまう恐れがある、TR4とはどのような菌なのでしょうか。

バナナを病気にする「新パナマ病」とは?

傷んだバナナ

バナナの絶滅ですが、実は1950年代にも似たような事態がありました。 1900年代の初めから、1950年代まで、バナナと言えばグロス・ミシェル(Gros Michel)と言われる品種が主流でした。

しかし、1950年代にバナナが枯れてしまったり、黒くなってしまったりする「パナマ病」が広まってしまいます。 この病気の原因となるフザリウム菌は、土壌から根に侵入し、駆除も難しく、発生してしまうと生産地ごと破壊してしまうほどの脅威でした。

このフザリウム菌に耐性があるとして注目されたのが、キャベンディッシュだったのですが、パナマ病によく似たカビの変異体「新パナマ病」の発見が報告されてしまったのです。 その病の原因が、1950年代にグロス・ミシェルを絶滅に追いやった、フザリウム菌の真菌であるTR4だったのです。 TR4への効果的な対策は、現在でも確立されていないため、キャベンディッシュの絶滅が懸念されています。

バナナの病気「新パナマ病」で食べられなくなる?

それでは、本当にバナナが食べられなくなるのか、と言えば、そういうわけではないようです。 TR4による、キャベンディッシュの減少を回避するため、既に遺伝子操作による新しいバナナの研究が進められているそうです。

しかし、それも簡単なことではないらしく、TR4に耐性があるものを作れたとしても、味に甘みがない、ということもあるのだとか。 ただ、遺伝子操作による技術も発達し、TR4の感染が拡大しないよう、各地で対策も行われています。

また、TR4が確認されていないキャベンディッシュの生産地もないわけではありません。 当分はキャベンディッシュを食べられる、と考えられるでしょう。

そうとは言え、環境問題や災害の悪化が懸念される昨今では、油断は禁物です。 バナナは栄養価が高く、ダイエットや筋トレにも効果があると言われていますが、そんな素晴らしい食材を失ってしまうことがないよう、私たちも環境に対してできることがあれば、ぜひトライしてみましょう。

食べられなくなるのはバナナだけじゃない

日本に住んでいると、あまり実感することはないかもしれませんが、食糧危機は世界中で問題となっています。 また、環境問題や災害によって、食べられなくなる恐れがあるものは、バナナだけではありません。

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