キャンプで洗剤を使う注意点!おすすめは環境負担を抑える
宿泊施設とは違って、自然との一体感を楽しめるのがキャンプの魅力。キャンプではBBQなどの料理も楽しみの一つですが、使ったあとのお皿や鉄板は、なにで洗っていますか?
もし家庭と同じ合成洗剤を使っていたら、要注意!自然を楽しみに来ているはずが、知らぬ間に環境を汚染しているかもしれません。ここでは、以下の3つについて解説していきます。
- なぜキャンプ場では合成洗剤を使わない方がよいのか
- キャンプ場で使う洗剤の選び方
- なるべく洗剤を使わずに汚れを落とす方法
キャンプが好きな方は、キャンプ場の自然を守る方法も知っておきましょう!
目次
キャンプで洗剤を使うときは注意が必要!
最近のキャンプ場は設備が整っており、汚水を処理する施設があるところも多いです。しかし 山の奥にあるキャンプ場の中には、汚水を処理する施設がない場合もあり、汚水を川に直接流したり、地中に浸み込ませたりしています。それにより、環境を汚染している場合があるのです。
とくに川の上流にあるキャンプ場では、下流に比べて川の水の量が少ない分、洗剤が薄まりにくく、川の生き物への影響が大きいと考えられています。さらに洗剤で汚染された川魚をキャンプ場で捕って人が食べることで、人体にも悪い影響をあたえる恐れがあるのです。
そのためキャンプ場の中には、合成洗剤の使用を禁止しているところや、キャンプ場で用意された洗剤のみ使用が認められているところもあります。
キャンプで洗剤を使うなら選び方を考えよう
キャンプ場周辺の環境を汚染しないためにも、できるだけ合成洗剤は使用せず、環境への負荷が少ない洗剤を使用するのがおすすめです。それでは、どのような洗剤を選べば、環境への負荷を減らせるのでしょうか。
選ぶときのポイントは、「自然に分解されやすい成分かどうか」です。
自然の微生物によって分解されやすい天然成分を使用した洗剤
環境に優しい洗剤としては、SARAYAの「ヤシノミ洗剤」やドイツのエコ洗剤「フロッシュ」がよく知られています。どちらの洗剤も、川に流れたあとは自然の微生物によって分解されやすい成分で作られています。
「ヤシノミ洗剤」は、界面活性剤にアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルカノールアミドを使用しており、「フロッシュ」もアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを使用しています。どちらも植物由来の成分であり、自然の微生物によって水と二酸化炭素に分解される特徴があります。
川に流しても分解されるため、環境への負荷が少ない洗剤であるといえるのです。
石鹸成分を使用した洗剤
石鹸は「植物性油脂や動物性油脂」と「アルカリ成分」からできています。石鹸成分は排水されたあと、ミネラルと結びついて石鹸カスになり、魚の餌になったり、微生物によって分解されたりします。
しかし石鹸であれば、すべて環境に優しい成分のみで作られているわけではありません。固形の洗剤の場合は「脂肪酸ナトリウム」「石ケン素地」、液体洗剤の場合は「脂肪酸カリウム」「カリ石ケン素地」とだけ表示されているものが、純粋な石鹸成分100%と言え、環境に負荷の少ない洗剤として使用できます。
よくオーガニック洗剤や、エコ石鹸と表示されているものもありますが、成分表示をよく見ると、さまざまな合成界面活性剤が添加されていることがあるので、成分表示の確認は大切です。
合成洗剤の合成界面活性剤には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ウラレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどが代表的。購入時には成分表示を確認してみましょう。
石鹸と合成洗剤の成分表示の違い。
石鹸の成分表示 | 合成洗剤の成分表示 |
脂肪酸ナトリウム | 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム |
石ケン素地 | ポリオキシエチレンアルキルエーテル |
脂肪酸カリウム | ウラレス硫酸ナトリウム |
カリ石ケン素地 | ラウリル硫酸ナトリウム |
石鹸と合成洗剤の安全性について知りたい場合は、以下の記事もご参考にしてください。
【合成洗剤VS石鹸】どちらの方が環境にも人にもやさしいのか考える
昔から、合成洗剤と石鹸のどちらを使用した方がよいのかという議論は多くされてきました。一般消費者である
昔から、合成洗剤と石鹸のどちらを使用した
キャンプでは洗剤の使用量を抑えよう
自然界で分解されやすい成分の洗剤は、川の環境にあたえる負荷が少ないのですが、川の環境を変えてしまうリスクが全くないわけではありません。
微生物が洗剤を分解するときには、川の中の酸素を利用します。もし多くの洗剤が川に流れ出た場合、それをエサとして微生物がたくさん集まり、川の中の酸素を使いすぎてしまうことがあるのです。
川の中の酸素が少なくなれば、川の生き物が呼吸できなくなるリスクがあります。分解されやすい洗剤を使用する場合でも、なるべく使用する量は減らしたいものですね。
そこでここからは、キャンプ場で使う洗剤の量をなるべく減らせる、簡単な方法をお伝えします。
食器や鉄板の油は、洗い流す前に紙で拭き取る
食器や鉄板についた油を洗剤で落とすために、何度も洗剤を継ぎ足して洗っている方は多いのではないでしょうか。油はトイレットペーパーや新聞紙などで拭き取ってから洗えば、少量の洗剤でも簡単に洗い流せます。
「エコキッチンクリーナー」と呼ばれるスプレーを食器に吹きかけてから紙で拭き取ると、さらにスッキリ落とせると、キャンパーの間でも話題になっているそうです。洗剤を使う量が少なくなるだけでなく、節水にも効果的です。
桶に水をためて洗う
食器を洗うたびに洗剤を足すのではなく、洗剤と水を入れた桶に食器を浸け置きして油を浮かせ、桶の中で食器を洗う方法がおすすめです。桶に先に洗剤を入れてから、勢いよく水を入れることで泡立ちがよくなります。泡立った桶の水でお皿を洗えば、洗浄効果が長続きし、洗剤を継ぎ足す量を減らせるのです。
お皿をラップで覆いフライパンをアルミホイルで覆う
そもそも食器を洗わなくてもよいように、お皿はラップで覆い、フライパンや鉄板はアルミホイルで覆ってみましょう。使った後は剥がしてしまえばよいので、洗う必要がなく、洗剤を使う必要がありません。
手作りろ過装置で排水をろ過してから流す
食器洗いで出た排水をそのまま排水口や川に流す前に、ろ過をして少しでも汚れを取り除いてから流すと、より環境に優しいキャンプができます。簡易的なろ過装置であれば、手作りすることも可能です。
底をカットした2Lのペットボトルを逆さにし、図のような順番で杉の樹皮やシュロ、炭、砂や砂利、カット綿を詰めるだけと簡単です。2Lのペットボトル1本では、一度にたくさんの水をろ過することは難しいので、複数のペットボトルを縦につなげたり、園芸用のコンテナにろ過材を敷き詰めると、より多くの水をろ過できます。
ペットボトルでできる手作りろ過装置河川・流域の環境教育の展開 川に負荷を与えないキャンプの工夫
キャンプは洗剤の使用に気を付けて環境配慮
キャンプをすると、自然に溶け込みながら、普段とは違った生活を味わえます。しかし、生物たちの棲家にお邪魔させてもらっていることを忘れてしまい、環境を汚染していることに気づかない人も多いのです。
環境に優しい洗剤を選んだり、使用量を減らすだけでも、キャンプ場周辺の自然を守ることにつながります。環境への配慮も忘れずに、キャンプを楽しんでみてはいかがでしょうか。