スウェーデンは他国からごみを買う?驚きの環境意識とリサイクル技術

スウェーデンは他国からごみを買う?驚きの環境意識とリサイクル技術

環境先進国と呼ばれる国がありますが、スウェーデンはその代表と言えます。 スウェーデンによるエコやリサイクルに関する取り組みはさまざまですが、中でも驚きなのが「他国からごみを買っている」ということ。 使い道のないはずのごみを買って、スウェーデンはどのように役立てているのでしょうか。 スウェーデンのリサイクル技術や環境意識をご紹介します。

ごみを買うスウェーデン!目的はエネルギー?

スウェーデンでは、ノルウェー、イギリス、アイルランド、イタリアといった周辺諸国から「ごみを輸入する」という驚きの取り組みがあります。 しかも、年間70万~80万トン程度とかなりの量を輸入していますが、これはエネルギーを確保するためのものです。

欧州連合の統計局によると、2023年におけるスウェーデンの再生可能エネルギー(水力、風力、バイオマス、太陽光)の割合は66.4%とEU加盟国の中でトップ。 日本の再生可能エネルギーの割合(経済産業省 資源エネルギー庁によるデータ)22.9%と比べても、大きな差と言えるでしょう。

そのため、スウェーデンは排出されたごみの半分をリサイクルし、残りの半分を焼却。その熱エネルギーをバイオマス発電として、国全体の電気需要を賄っていましたが、国内から排出されるごみだけでは足りなくなり、海外から輸入することになったのです。

ただ、ごみを燃焼することで、化石燃料による発電に比べて1.5~2.5倍の二酸化炭素が排出されています。 それでも、ごみを埋め立てる行為に比べれば、圧倒的に汚染物質の発生は抑えられるとのこと。 つまり、汚染物質の排出を抑えて、電力供給としても役立っていることになります。

参考:Eurostat Renewable energy statistics – Statistics Explained
参考:資源エネルギー庁 集計結果又は推計結果(総合エネルギー統計)

スウェーデンのリサイクルに関する身近な取り組み

スウェーデンでは「ごみを買う」といった国の大きな取り組みだけでなく、生活の中でリサイクルが身近なものとなっています。 次はスウェーデンの人々が日常的に取り組むリサイクルを見てみましょう。

徹底した分別回収とリサイクル

スウェーデンは各家庭で分別が徹底的に行われますが、その流れはアパートと一軒家で異なります。 アパートの場合は、敷地内にごみを回収するスペースが設置され、好きな時間に捨てることが可能です。

その代わり、可燃ごみ、生ごみ、紙、ダンボール類、空き缶、ガラス瓶は透明と色付きを別々に分けるなど、細かく分別。 週に1度の回収があり、ごみ処理料金は家賃に含まれます。

一軒家の場合は、可燃ごみと生ごみのみが月に2度だけ回収してもらえますが、その他は地域のリサイクルステーションに持ち込み分別しなければなりません。 ただ、このリサイクルステーションはどこの地域でもアクセスしやすい場所に設置されているとか。

また、アパートも一軒家も排出された生ごみはコンポストにする、もしくはバイオガスとして再利用されるなど、しっかりとリサイクルされています。

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自動収集システム

ストックホルムなど一部の地域では、廃棄物の自動収集システムが存在しています。 可燃ごみ、生ごみ、新聞の3種は街に設置されているごみシューターに入れると、地下のパイプを通じて集積所に自動的に送られる、という仕組み。 もちろん回収されたあとに、可燃ごみは熱エネルギー回収、生ごみはバイオガス回収、新聞は再生紙としてリサイクルされます。

ちょっとお得なデポジット制度

スウェーデンは缶やペットボトルのリサイクル率が高いこともでも有名です。 その理由が缶やペットボトルをリサイクルすると、お金が戻ってくるデポジット制度が関係しています。

これは「パント・システム」とも呼ばれ、パントマークがある商品を購入すると、預り金を余分に支払うことになりますが、後に缶やガラス瓶を店舗に返すことで、それが戻ってくるという仕組みです。 もし、缶やペットボトルが道に落ちしていたとしても、お金がもらえるのなら捨ててくれる人もいるかもしれませんね。

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スウェーデンの環境意識が高い理由は?

そもそもスウェーデンは、なぜこれほどまでに環境意識が高いのでしょうか。 それは今ほど環境問題が注目されていない1960~1970年代の初頭までさかのぼります。

当時、スウェーデンは酸性雨が問題視されていました。 森林・水質資源が豊富なスウェーデンにとって、河川の酸性化で魚が被害を受け、土壌が汚染されてしまうことは大きなダメージで、人々にとっても身近な問題として受け止められていたのです。

さらに、1967年に世界で初めて環境保護法を制定、1972年にストックホルムで世界初の国連人間環境会議が開催されるといった経緯もあり、スウェーデンは環境保護に関して一歩先を行く姿勢を貫きました。 結果、環境保護は国のアイデンティティの1つとなり、環境政策が常に推進され、幼少期からの環境教育も力を入れることに。 そして、現在もそれは変わることなく、環境先進国として認識されています。

スウェーデンの環境意識を見習ってみよう

このような歴史的な背景があり、スウェーデンはリサイクルや環境に関する意識が非常に高い国となっています。 私たちが日本で暮らす中で、スウェーデンと同じ行動を取ることは難しいかもしれませんが、考え方を参考にするくらいならできるはずです。 日ごろからリサイクルを意識して分別を徹底する。いらないものをごみにせず、リユースする。ちょっとした節電を常に心掛けるなど。

また、日本は環境意識が決して低いわけではなく、ごみの分別についてはかなり高い意識を持っていると言われています。 これ以上、ごみや気候変動の問題が深刻化しないためにも、日常の中でさらに心掛けられるものがないか、ぜひ意識してみてください。

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