スレバルナ自然保護区とは?なぜ世界遺産の自然は危機に晒されたのか

スレバルナ自然保護区とは?なぜ世界遺産の自然は危機に晒されたのか

自然が失われつつあると言われる地球ですが、人によって守られる広大な自然も存在します。 その一つがブルガリアにあるスレバルナ自然保護区です。

スレバルナ自然保護区は自然遺産として、世界遺産に登録されるほど豊かな自然が多い場所でしたが、一時はそれが失われる恐れがありました。 世界遺産のスレバルナ自然保護区を襲った危険とは何だったのでしょうか。

スレバルナ自然保護区とは?

スレバルナ自然保護区はブルガリアの北部にある自然保護区です。 スレバルナ自然保護区は様々な音楽の題材にもなっていることで有名な、ドナウ川の沿岸の近くに存在します。 ちなみに、ドナウ川の沿岸には、いくつもの世界遺産が存在していますが、スレバルナ自然保護区もその一つです。

スレバルナという名の由来には、いくつかの説があります。 近隣にいた部族の長の名前、湖畔にあった銀(ブルガリア語で銀はsrebro)を満載した小舟が関係した、満月の夜に湖面が銀色に光ったから、などです。

スレバルナ湖を中心としたスレバルナ自然保護区は、昔から研究が進められていました。 それだけ、自然が豊かで多くの動物が生息している場所だったのです。 1948年には自然保護区となり、1975年には水鳥の生息地として価値ある湿地を保存する条約のラムサール条約登録地にもなります。 そして、1983年に世界遺産に登録されました。

スレバルナ湖は、具体的にどのようなポイントが評価され、世界遺産に登録されたのでしょうか。

スレバルナ自然保護区の特徴

スレバルナ自然保護区の特徴と言えるポイントは、生息する鳥類の多さが挙げられます。 ペリカンの中でも最大の種類と言われるニシハイイロペリカン、大型の水鳥であるコブハクチョウ、灰褐色の羽毛が特徴的なハイイロガン、など179種におよぶ鳥類が存在していると言われています。 他にも、哺乳類は39種、爬虫類と両生類が21種、魚類が10種ほど確認されています。

動物だけではなく、植物の豊かさも評価されています。 湖畔に生息するヨシを始めとして、スレバルナ自然保護区の全体でみると、絶滅危惧種を含んだ67種の植物が存在しているのです。 このような生物多様性に優れた環境が評価され、スレバルナ自然保護区は自然遺産として世界遺産に登録されました。

危機遺産に登録されていたスレバルナ自然保護区

自然性が高く評価されていたスレバルナ自然保護区ですが、一時的にその価値が損なわれつつあると評価され、1992年に危機遺産へ登録されてしまいました。 何が起こったのかというと、一つは周辺の農業による影響でした。 スレバルナ湖とドナウ川の間に堤防が作られたことで、水深は半分以上に減り、さらに農薬の使用が原因で土壌汚染を招くことになってしまったのです。

当時の政府は環境保全に熱心ではなかったこともあり、さらに悪いことが続いてしまいます。 1998年、スレバルナ自然保護区のヨシの原野とペリカンの営巣地が嫌がらせによって放火されてしまったのです。 当時、スレバルナ管理事務所の局長は保護活動を熱心に行っていましたが、酷く気を落としてしまったのか自殺するまでに至ってしまいました。

しかし、後に保護活動は改善に向かい、農業よりもスレバルナ自然保護区の回復が優先されることになりました。 その努力もあり、2003年にスレバルナ自然保護区は危機遺産の登録を解除されることになります。

スレバルナ自然保護区のように保護すべき自然がある

人が生きる上で、農業を発展させることは、重要であると言えます。 しかし、それによって自然が破壊されてしまえば、農作物が育たない環境に陥ってしまうことがあります。

つまり、自然を配慮しなければ、人間が後々痛手を負う恐れもあるのです。 私たちは生きるために、自然を削る開発を行わなければなりませんが、闇雲にそれを勧めるのは間違った行為でしょう。

自分の行動が自然にどのような影響を及ぼすか、しっかりとした調査が必要です。 もし、自然の中で何かを作り出す機会があれば、小さなことだったとしても、ぜひ自然への影響を考えてみてくださいね。

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