ヒグマが狂暴化!原因は人の餌やり?世界遺産の知床でも問題に
日本にも自然や動植物に囲まれ、人々からも愛される場所が多く存在します。 北海道にある、世界遺産の知床もその一つです。
しかし、知床ではヒグマが、頻繁に人間の生活に入り込んでしまうことが問題になっています。 知床のヒグマはなぜ人間の生活圏に近づくようになってしまったのでしょうか。
ヒグマが狂暴化!知床でも問題に!
豊かな自然が評価され、世界遺産に登録された知床ですが、ヒグマの出没が多くなったと話題になっています。 知床半島には、500頭ほどのヒグマがいると考えられています。 これは非常に狭い範囲でヒグマが密集している地域であり、知床はヒグマと遭遇する確率が高い場所だと言えます。
しかし、そんな知床のヒグマたちが、人間の生活圏にまで入り込むことが多くなってきたそうです。 車で走行中にヒグマが前を横切る、子供たちの通学路にヒグマが出現した、民家のベランダに侵入した、といったヒグマの目撃情報が増えているのです。
ヒグマを目の前にしてしまったら、ほとんどの人が恐怖し、何もできず、最悪の場合は襲われてしまうかもしれません。 そのため、町に入ってくるヒグマは駆除すべきだ、という声もあります。 もちろん、反対の意見もあり、知床ではヒグマの対策が考えられています。
ヒグマ狂暴化の原因は餌付け?
知床でヒグマが人間の生活圏に出没しやすくなったのは、原因があると考えられています。
それは人間によるクマへの餌付けです。 知床は世界遺産でもあるため、多くの観光客が訪れます。 その観光客の中には、ヒグマを撮影するために、餌を与えてしまうことがあります。
また、観光客が捨てたゴミに含まれた食べ物をヒグマが口にすることもあるようです。 それにより、人間の食べ物の味を覚えたヒグマが餌を求めて、人間の生活圏までやってきてしまうのです。
そうなると、ヒグマは人間を襲う確率が高くなり、人間も場合によってはヒグマを駆除することになります。 ちょっとした好奇心でヒグマに餌をやってしまったことで、奪わなくて良かったはずの命が、奪われてしまうかもしれないのです。
ヒグマに遭遇したら?狂暴化させないよう注意
もし、ヒグマに遭遇してしまったら、どのように対処すべきなのでしょうか。 状況やヒグマとの距離によって、適切な行動を心がけましょう。
距離がある場合
100メートル以上の距離があり、ヒグマがこちらに気付いていない場合は、クマに気付かれないようにその場から離れましょう。 ゆっくり近づいてくる場合は、ヒグマはこちらが人間だということに気付いていないかもしれません。 石や倒木に上がり、大きく腕を振るなどをしながら、穏やかに声をかけることで人間であることを知らせましょう。
子クマを発見した場合も、可愛いからと言って油断し、近づいてはいけません。 必ず親が近くにいて、子供も守るために襲い掛かってくる恐れがあります。
近くで遭遇した場合
20~50メートルの距離で遭遇してしまった場合は、両手を上げて振りながら穏やかに話しかけ、ヒグマとの間に立木ができるよう、静かに移動しましょう。
急な動きはクマを興奮させてしまうため、ゆっくり離れる必要があります。 逆にいつまでも動かない場合は、敵対行動だとクマに受け取られてしまうため、注意が必要です。
クマ撃退スプレーを使う
稀に興味本位や捕食目的でクマが近づいてきてしまう場合があります。 車内や屋内に逃げられるのであれば、避難をする必要がありますが、難しい場合はクマ撃退スプレーを使用しましょう。
スプレーの有効距離は3~4メートルです。 また、ヒグマに遭遇した際の詳しい対処法は知床財団のホームページにも掲載されているため、ぜひ参考にしてください。
参考:公益財団法人 知床財団 出会った時は
ヒグマと共存するためにも
人間がちょっとした好奇心でヒグマに餌を与えてしまうと、大きな悲劇につながるかもしれません。 人と動物が悲劇的な関係にならないためにも、人は動物のことを知り、適切な付き合い方をする必要があります。
知床の場合は、専門のガイドが案内してくれるエコツアーなどが存在します。 知床を安全に満喫するのであれば、ぜひご利用を検討してみてください。