持続可能な社会の実現に向けて!エコプロ2019参加レポート
2019年の12/5(木)から12/7(土)にかけて、エコプロ2019が東京ビックサイトで開催されました。 エコプロでは、エコやリサイクルに関する最新技術や取り組みが展示され、セミナーの受講や体験型のイベントなどにも参加できます。
今年も数々の企業が出展し、環境に配慮されたさまざまな技術を見ることができました。 そんなエコプロ2019の様子をレポートいたします。
エコプロ2019とは
エコプロは、毎年開催される展示会で、さまざまな企業による、エコ技術、環境に配慮された製品から取り組みまで紹介します。 主催は産業環境管理協会と日本経済新聞社で、出展者は数多く、誰もが聞いたことがある大企業や、環境省などの行政機関も参加しています。 そのため、エコプロは多くの来場者が訪れる国内最大級の展示会です。
1999年から毎年12月に開催されるエコプロは、2019年で21回を迎え、テーマは「持続可能な社会の実現に向けて」でした。 来場者数は、3日間の合計で147,653人。 今年もかなりの賑わいが見られました。
それでは、エコプロ2019では、どのような最先端のエコを見ることができたのでしょうか。
エコプロ2019の展示をレポート
それでは、エコプロ2019の展示の中で、エコトピア編集部が気になったものをいくつかご紹介します。
大手企業も参加!詰め替え容器の再利用「Loop」
まず目に止まったのは、アメリカの企業、テラリサイクル(TerraCycle)によるサービス「ループ(Loop)」です。
ループはサステナブルな仕組みで、大手企業も参加する循環型宅配サービスです。 利用者はシャンプーや洗剤をネットで注文し、使い終わったら家庭ごとに容器を回収。その後、容器は洗浄して再利用されるため、プラスチック汚染の問題を緩和するかもしれないサービスなのです。
容器はガラスやステンレス製のため、丈夫で何度も再利用ができます。 既にP&G、ユニリーバ、コカ・コーラなどの大手企業が参加を表明しているため、これからさらに注目度が高まるサービスだと言えるでしょう。
木で造られたスーパーカー!?
環境省のブースに展示されていたのは、とってもクールなスーパーカー。
「スーパーカーなんてエコに関係あるの?」と思うかもしれませんが…実はこれ、木で造られた車なのです。 その名もナノセルロースヴィークル(NCV)。
どのように木で造られたのかと言えば、セルロースナノファイバー(CNF)と言われる、次世代素材を活用しているそうです。 セルロースナノファイバーは植物を原料としたナノレベルの強化繊維で、自動車では、内外装部材の高剛性化・軽量化を実現しているほか、 住宅や家電の断熱材などにも使えることが明らかになっています。 これまで利用が進んでいなかった日本の森林の間伐材や農林水産業の残渣なども、セルロースナノファイバーの原料になるため、この取り組みが国内の未利用資源の循環利用推進に繋がるのではと期待されています。
さらにもう一台は、ALL GaN ビークル(AGV)という、超省エネ電気自動車です。
ノーベル賞を受賞した技術でもある、次世代半導体材料 GaN(窒化ガリウム)を電動技術に適用し、超省エネ化により二酸化炭素の排出量削減を実現する未来の車として紹介されていました。
これからの環境問題を左右する?バイオプラスチック
環境問題のなかでも、特に話題となるプラスチック汚染。 それを解決する可能性を秘めている、バイオプラスチックは、日本バイオプラスチック協会のブースで紹介されていました。
バイオプラスチックや生分解性プラスチックの説明が丁寧に説明され、環境に優しい素材が紹介されていました。
他にもプラスチックが生分解される様子も展示され、プラスチックの未来を感じさせるものでした。
健康もエネルギーも確保!体力発電
エコだけでなく、人の健康にも配慮して、エネルギーを確保する技術が、インター・ドメイン株式会社による「体力発電」です。
インター・ドメイン株式会社は小型風力発電機を販売していますが、2016年にこの体力発電を開発しました。
体力発電は、ただのフィットネスマシンにように見えますが…もちろんただ運動するためのものではありません!
このマシンは発電機が組み込まれていて、利用者の体力エネルギーを電力に換えます。 その電力は、施設や家庭の配電線に接続することで節電や省エネに貢献します。 将来的には売電やポイント還元が可能な、新しい再生可能エネルギー(または再エネ)にしたいと考えているそうです。
さらに、体力発電のデータはクラウドに上げて、パソコンやスマホで活用が可能。 仲間と情報交換や、遠隔地にいるトレーナーや専門家から指導を受けることも可能です。
価格は398,000円ですが、一家に一台あれば頼もしいマシンだと言えるのではないでしょうか。
食品ロスやプラスチックを削減する山崎製パン
みんな大好き山崎製パンもエコプロ2019に出展。 主に、食品ロスやプラスチックの削減を紹介していました。
使われない食パンの耳はお菓子になったりパン粉になったり、と無駄になることはありません。
リサイクルループの構築も進め、さらに食品ロスが削減される取り組みを強化しているようです。
消費期限・賞味期限の延長による食品ロスの削減や、地産地消製品の開発を積極的に行うことで産地での食品ロス削減にも貢献しています。
プラスチック削減の取り組みは、容器包装を削減だけではなく、工場近隣市街地の清掃活動を実施することで、従業員の意識も高めているのだとか。
他にも、工場で使用したプラスチック資源の再利用など、リサイクルループを徹底。 一部の工場では、植物(サトウキビ)由来の原料を10%使用した、プラスチックゴミ袋を使用し、二酸化炭素の排出削減にも取り組んでいます。
技術の力で環境問題を解決する未来に期待
このように、エコプロ2019では多くのエコに関する技術や取り組みを見ることができました。 人々が環境問題を知り、エコを意識した開発をすることで、多くの環境問題を解決できるかもしれない、と期待する気持ちが膨らみますね。
企業や国の取り組みも大事ではありますが、私たち個人個人の意識や取り組みも大事なことです。 今年のエコプロに参加できなかった人は、ぜひ来年は参加して、個人で可能なエコを模索するきっかけを作ってみてはいかがでしょうか。