石油はなぜ砂漠の多い中東に埋蔵されているのか?石油の起源とは
私たちの生活にとって、大切なエネルギー源となる石油。 この石油はどこからきているのでしょうか。 「アラブの石油王」なんて言葉を聞くように、なぜか砂漠が多い中東で採掘されているイメージはないでしょうか。
実際に世界の石油の約3分の1が中東に埋蔵されています。 では、どうして石油は中東ばかりに集まっているのでしょうか。
石油の起源とは
そもそも、石油とはどのようにして地球上に作られているのでしょうか。 実は石油の起源については、いくつかの説があるのです。
有機成因論
石油の起源は一般的に有機成因論が唱えられています。 百万年以上も前の生物や植物の遺骸が土に埋もれ、高温と高圧によって、ケロジェン(kerogen)と言われる物質に変わります。
このケロジェンが地下の熱や土の重みを受けることで、石油と変化します。 そして、石油が岩盤内の隙間に入り込み、地中の隙間が多い箇所に流れ込んで溜まることから油田が出来上がるのです。
無機成因論
無機成因論は、2003年にオーストリア生まれの学者であるトーマス・ゴールド(Thomas Gold)が主張したことで注目されるようになった説です。 無機成因論は、生物の分布から考えられない地層から石油が採れることや、石油にダイヤモンドが含まれていることなど、有機成因論では説明できない部分を指摘し、惑星が最初から貯蔵している炭化水素が、惑星内部の高圧と高熱によって石油が誕生する、という説です。
他にも石油分解菌説などの説がありますが、一般的には有機成因論が主流だとされています。
大陸移動が油田地帯を作った
石油ができる経緯は有機成因論だとすれば、なぜそれが中東に集まったのでしょうか。 何億年も昔のこと、地球にはパンゲアという巨大な大陸がありました。 そこにはテチス海と言われる巨大な入り江があり、赤道付近の暖かい気候で、多くの生物が生息していたと考えられています。
また、この気候では植物プランクトンも多く繁殖していました。 石油が含まれることが多い石灰岩の起源となる珊瑚礁も多く生息していたと言われています。 しかし、テチス海はパンゲアの分裂による陸地化や、地殻変動による土砂の蓄積によって消滅してしまいます。
そんなテチス海の一部であり、大陸移動や地殻変動の影響を多く受けた場所が、現在で言うアラブやサウジアラビアがある、ペルシャ湾だったと言われています。
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石油鉱床にぴったりな地質
また中東の地質は石油を貯め込みやすい背斜構造であったことも原因と言われています。 生成された石油は周囲の物質より比重が軽いため、岩石の隙間を浅い方へと移動します。
中東の地質は、移動してきた石油を逃がさない構造となっていました。 それが、石油を通しやすい多孔質層と、石油を通さない緻密質層が重なり合う背斜構造でした。
背斜構造であれば、地中から多孔質層の中で上昇した石油が、緻密質層で行く手を遮られ、そこで貯留するのです。 このような条件が揃っていたことから中東では、石油が多く採掘されると考えられています。
石油を大切に
このように、石油は太古の生物が残した遺産とも言える、地球の資源です。 数えきれないほどの時間を経て作られる石油を過剰に組み上げてしまえば、枯渇してしまう恐れがあります。
また、石油を燃やすことで二酸化炭素の発生にもつながります。 二酸化炭素の過剰な発生は、地球温暖化の原因になります。 地球の資源を必要以上に使うことは、長い目で見れば人類にとってメリットはないと、私たちは意識する必要があるかもしれません。
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