支援物資を被災地に送るのは注意!善意が第二の災害に?
地震、台風や集中豪雨。近年、災害が多く発生し、多くの人が不安を抱いていることでしょう。 そんな災害が起こってしまった被災地に対し、何らかの支援物資を送りたい…と思うかもしれませんが、本当に役立つのでしょうか。
実は支援物資が被災地で混乱を起こしてしまうケースがあるのです。 支援物資によって起こる「第二の災害」について考えてみましょう。
被災地に物資を送るのは迷惑?第二の災害とは
地震や台風など災害が起こってしまったら、普段の生活を捨てて、避難しなければなりません。 また、流通もストップしてしまうことから、食事はもちろん、さまざまな不便が想像できます。 そのため、災害を報道で知ったとなれば、少しでも役立つものを現地に送りたい…と考える人もいるでしょう。
しかし、そんな支援物資が被災地で混乱を招いてしまうケースがあり、それを「第二の災害」と言います。 例えば、被災地域は、他の地域と分断されてしまうことがあるため、輸送手段に問題が発生してしまいます。 そうなると、物資が現地に届かず倉庫に山積みになり、食料の場合は、そのまま消費期限や賞味期限を迎え、現地で混乱になってしまうことに。
また、被災地が必要とする物資を把握するために電話連絡などで問い合わせすることも、救援の妨げになるケースもあります。 このような状況により、持て余した支援物資で溢れ返って、保管費用や処分費用が被災地自治体の予算を圧迫し、第二の災害が発生してしまうのです。
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過去にあった第二の災害
支援物資による第二の災害は、具体的にどのような例があるのでしょうか。 第二の災害と言われる、この問題が認識されるようになったのは、1993年の北海道南西沖地震でした。 このとき、多くの支援物資がありましたが、衣類だけで約1,200トンが不要となり、焼却処分することになりました。自治体は、処分費用は約1億2,000万円という大きな負担を抱えました。
1995年の阪神・淡路大震災では、約100万個の小包が届けられ、ボランティア関係者が、この処理に忙殺されることになります。 2004年10月の新潟県中越地震でも、一般からの小包が殺到。衣服、紙おむつ、文房具、食品などさまざまな物資が、一つの段ボールに詰め合わせとなっていたことから、役所の職員やボランティアはこの仕分け作業にパンク状態となりました。中には調理済の食品もあり、仕分け中に腐ってしまうものもありました。 このとき、新潟県長岡市では約4万7,000件、4,500トンの物資が届き、市職員が不眠不休で仕分け作業を行いましたが、捌き切ることは難しく、翌2005年7月になっても、倉庫に大量の物資が残されることになりました。
2019年の台風19号が襲来したとき、2016年の熊本地震を経験した大西一史市長が、SNSで「物資は有難い半面、マンパワー不足で物資の処理で大混乱だった」という旨の発言を投稿した、ということもあったのです。 このように、被災地では第二の災害が問題になっていたことがうかがえます。
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第二の災害を招く?被災地に不要な支援物資の例
それでは、実際に被災地に送る支援物資の中でも、迷惑になってしまう恐れがあるものを確認してみましょう。
- 冷凍食品
- 保存食以外の食料
- 成分表が確認できない海外食品
- 古着や洗われていない毛布や布団
- 自分の食料を確保できないボランティア
- 千羽鶴や応援メッセージの寄せ書き
冷凍食品については、冷凍庫が使えないため、食べられず、処分対象となる恐れがあります。 成分表が確認できない海外食品は、アレルギーの成分が確認できず、扱いが難しくなってしまいます。 古着については、思っている以上に需要がないので、それよりはバザーで売ってお金にし、義援金として募金した方が、役立つでしょう。 千羽鶴や応援メッセージが不要になってしまうのは、意外かもしれません。 しかし、被災地では飾る場所もないことから、焼却処分になってしまうことが、ほとんどのようです。
善意のつもりでも、被災地が何を必要としているのか、しっかりと把握していなければ、迷惑になってしますので、十分に注意する必要があるのです。
第二の災害を防ぐには?被災地への正しい支援
このような第二の災害を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。 まず、支援物資よりも義援金による援助が求められる、ということです。 物資を送るのであれば、食品は保存の利くものにして、仕分けの手間を少しでも減らせるように、一つの段ボールの中には一種類のものを梱包します。
また、段ボールの中身がわかるように、六面に何が入っているのか、書き込んでおきましょう。 逆に、被災地の人々が求める物資は、飲料水、ウェットティッシュ、トレットペーパー、おしりふき、生理用品などが間違いないようです。 いきなり被災地に届けるよりは、被災地支援をしているNGOやNPOが物資を募集していることもあるので、まずは確認してみましょう。