SDGs・環境問題に関する企業の取り組み【2023年8月】廃棄野菜を使った災害備蓄品や資源循環型システムを目指す紙コップをご紹介
ここ数年でSDGsや環境問題の悪化が、今まで以上に注目されるようになりました。 そのため、多くの企業がSDGsや環境問題の解決に貢献するため、さまざまな取り組みを積極的に行っています。 エコトピアではそんな企業の取り組みをピックアップ。 今回は2023年の8月までに発表された、企業の取り組みをご紹介します。
企業によるSDGsや環境配慮に関する取り組み[2023年8月版]
今回は、フードロスの削減やスマート農園といった取り組みをピックアップしました。気になる取り組みは、ぜひSNSでシェアしてみてください。
廃棄野菜を使った災害備蓄品
横須賀市産業振興財団が2023年度「スタートアップオーディション in YOKOSUKA」を実施しました。 このオーディションは、横須賀をフィールドにし、新たな事業を始める方を対象に2023年の4/3(日)~5/24(水)までビジネスプランを募集。 26件の応募がありましたが、特別賞であるNTT東日本賞を受賞したプロジェクトは、株式会社StockBase(ストックベース)の「横須賀市における食品ロス削減を加速させる事業」でした。
株式会社StockBaseは、災害備蓄品が栄養面と健康面に偏りが生じがちであることに着目。 横須賀の廃棄野菜を仕入れ、野菜フリーズドライの災害備蓄品「Vegetable Stock」を製造しました。 栄養のある災害備蓄品を企業に販売するだけでなく、備蓄後に一定期間が過ぎた場合は、企業向けの物品活用プラットフォーム「StockBase」を通じて寄付のマッチングを行います。
さらに、テレワーク活用企業の社員に対して新たに構築する社内専用ECサイトで低価格販売も行う予定です。
参考:StockBase 【受賞】スタートアップオーディションin YOKOSUKA
「食・農・健康」の課題解決に向けたスマート農園
NTT東日本、プランティオ株式会社、株式会社タニタの3社は、都市部における「食・農・健康」の課題解決に向けたスマート農園の実証実験を2023年8月から開始しました。
国内の食糧自給率は40%を下回り、食の安定供給に対するリスクは深刻な課題です。 国全体での食料生産基盤の強化が求められ、特に都市部の農業は耕作地の狭小・分散化、個人農家の収益性の改善、生産緑地の維持、都市部の食料自給率の改善など、多くの課題があります。
そんな中、世界で急速に広がるアーバンファーミング(都市型農)を国内で醸成する動きが注目されています。 3社は、プランターを使うことでビルの屋上や舗装地などさまざまな形態の遊休地に開設が可能で、IoTの活用により誰もが気軽に「たのしく育てて、たのしく食べる」ことができる、都市型スマート農園の構築と検証を開始しました。
さらに、この農園を活用することで、新規就農に繋がる機会の創出、食農への関心人口増加や地域経済の活性化につながる、新たな体験や仕組みを創造する新たなアーバンファーミング事業を目指しています。
参考:NTT東日本 NTT東日本、プランティオ、タニタが新たなアーバンファーミング事業に向け協業
紙コップを起点とする資源循環型システム
三菱ケミカルグループは沖縄市と連携し、植物由来の生分解性樹脂「BioPBS™ 」を使用した紙コップを起点とする資源循環型システムの実証実験を開始します。
沖縄市は2023年の8/25(金)から始まる「FIBA バスケットボールワールドカップ2023」の開催地ですが、大会PRを目的に市が4万個のオリジナルデザインが施されたBioPBS™の紙コップを製作。 こちらの紙コップは、Bリーグのプロバスケットボールチームである琉球ゴールデンキングスのホーム戦をはじめ、沖縄市内などのイベントでドリンク提供用として使用されます。
使用済の紙コップは、琉球管理産業株式会社が回収・運搬し、共和化工株式会社と琉球大学が、同大学内の堆肥化施設で牛糞と一緒に堆肥化。 つくられた堆肥は、沖縄市内の緑化活動などに用いる計画で、紙コップを起点とする循環型の仕組み構築を目指しています。
参考 三菱ケミカルグループ 沖縄市との資源循環型システムの実証実験について ~生分解性樹脂BioPBSを使用したバスケW杯PR紙コップ~
フードロスと廃棄物を削減する紙製トレー容器
6/6(火)~6/9(金)に東京ビッグサイトで開催された「FOOMA JAPAN 2023」で、株式会社寺岡精工は王子ホールディングスと共同開発したMAP包装対応の紙製トレー容器「KIRIGAMI™ 」を初展示しました。
昨今、世界的にプラスチック削減の動向が広がり、紙トレーの使用が進んでいます。 そんな中、環境配慮の観点からフードインダストリーにおける包装ソリューションに知見を持つ株式会社寺岡精工は、紙加工技術を持つ王子ホールディングスと共同で、紙製トレー容器を開発。
完成したKIRIGAMI™は、トレーの縁に継ぎ目がないため高い密封性を有し、MAP包装(ガス置換包装。パッケージ内の空気を食品の保存に適したガスに置換して包装する技術で、賞味期限の延長が可能)も使用可能なため、食品の賞味期限延長によるフードロス削減に貢献します。
また、紙部分とトレー内面フィルムは分離が容易であることから、使用後は分別廃棄が可能。 容器に印刷も可能であり、内容物の表示のために二次包装の必要もありません。 そのため、フードロスと廃棄物の両方を削減できることが期待できます。
参考:寺岡精工 MAP包装対応の紙製トレー容器「KIRIGAMI」 王子ホールディングスと共同開発 6/6~6/9 FOOMA JAPANにて初展示
企業のSDGsや環境問題に関する取り組みに注目
このように、企業はSDGsや環境問題に関する、さまざまな取り組みに力を入れています。 それは、このような取り組みが企業の価値を上げ、最終的には大きな評価につながる可能性があるからです。
そして、私たち消費者がこういった企業の取り組みに注目することも大切です。 消費者が企業の取り組みを注目、評価することで社会全体がSDGsや環境問題に対し、さらに力を入れる可能性があるからです。 持続可能な社会を築くためにも、企業の取り組みで気になったものがあれば、ぜひSNSでシェアしてみてください。