カミツキガメはなぜ日本で増えた？その原因と危険性を解説

ecotopia編集部
2024年8月27日

自然の生態系は私たちにさまざまな恩恵をもたらしますが、実は絶妙なバランスで成り立っています。そんな生態系が崩れる原因の1つが、別の環境からやってきた外来種ですが、その中でもカミツキガメは非常に有名です。

特定外来生物に指定される、カミツキガメとはどういった生物なのでしょうか。今回はカミツキガメの生態や特定外来種に指定された経緯などをご紹介します。

侵略的外来種！カミツキガメの生態とは

カミツキガメは、爬虫綱カメ目カミツキガメ科カミツキガメ属に分類されるカメ。最大甲長49.4センチメートルと大きく、前後の足に鋭い爪を持ち、カギ状の鋭い顎が特徴的です。

底が泥や砂で水生植物が茂る淡水域の水場に生息し、産卵以外で陸に上がることは非常に稀。 10～4月は水底の砂や泥、岩の下などで冬眠しますが、水温5℃の環境で活動、水面に氷が張った状況で交尾を行う例も見られています。

食性は幅広く、昆虫や節足動物、甲殻類、貝類、魚類、両生類、花、果実、藻類など。鳥類や哺乳類も食します。

本来の分布はアメリカやカナダの南部、エクアドル、コスタリカ、コロンビアとなりますが、日本では千葉県や静岡県に定着。他にも、福島県や新潟県など幅広い地域で繁殖が確認されています。

恐ろしい！日本の生態系を脅かしている危険な外来生物10選

生態系のバランスが崩れてしまう原因の一つとして、外来種による脅威が挙げられます。外来種の中に

生態系のバランスが崩れてしまう原因の一つ

カミツキガメはなぜ外来種に？

カミツキガメはなぜ日本にやってきたのでしょうか。

それは1960年代にアメリカからペットとして「ホクベイカミツキガメ」と「フロリダカミツキガメ」の子ガメが大量に輸入されたからです。当時は「コモン・スナッパー」という名前で輸入され、子ガメの姿は可愛らしかったために、1990年代の中頃まで安価に流通し、飼育数が増えました。

しかし、成長すると甲長は約50センチ、体重も30キロに達するだけでなく、気性も荒かったために多くの飼育者が遺棄してしまう事態に。その後、各地でカミツキガメは繁殖し、大型で食性も幅広いことから、在来種に与える影響が懸念され、2005年には特定外来種に指定。日本生態学会による「日本の侵略的外来種ワースト100」にも指定されています。

千葉県の印旛沼はカミツキガメの定着が有名で、2007年より漁協に依頼して、定期的に駆除。毎年1,500匹前後が捕獲され、2015年度をピークに減少傾向にあることが分かりました。

参考:千葉県カミツキガメの捕獲事業について

ただ、その他の地域でも繁殖拡大が確認され、静岡県の狩野川水系や、東京上野の不忍の池でも目撃されています。