畜産と環境問題の関係とは?牛のゲップや排泄物の影響を解説

畜産と環境問題の関係とは?牛のゲップや排泄物の影響を解説

牛やニワトリといった家畜を飼い、乳製品、肉、卵、皮革などを生産する畜産業は、私たちの生活を支える産業の1つです。 しかし、畜産業に頼り過ぎてしまうと、環境問題に発展しかねないことをご存じでしょうか。

今回は畜産業と環境問題の関係をご紹介します。

畜産業による環境問題が深刻

それでは、さっそく畜産業による環境問題について見ていきましょう。 畜産業に関わる環境問題は、以下の通りです。

メタンなど温室効果ガスの発生

世界的な環境問題として知られる、地球温暖化現象ですが、その大きな要因は温室効果ガスだと指摘されています。 温室効果ガスはさまざまな気体が含まれていますが、その70%は二酸化炭素です。

しかし、その中には二酸化炭素の25倍の温室効果がある、メタンガスが15%ほど含まれています。 そして、そんなメタンガスが牛の消化管内発酵で作られているのです。

そのため、彼らがゲップやオナラをするたびに、メタンガスが発生することに。 牛を育てるために、たくさんの餌を与える必要がありますが、畜産業に頼るところが大きくなってしまうと、地球温暖化のリスクが高まると考えられているのです。

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飼育による資源の過剰使用

家畜を飼育するために、多くの穀物と水が利用されています。 世界規模で見ると、十分な食料と水を確保できていない地域は少なくありません。

しかし、そんな貴重な資源が家畜によって消費されているのです。 また、家畜の飼育に必要な穀物を輸送するため、多くの化石燃料が使われるなど、間接的に資源が消費されている部分もあります。

排泄物による水質汚染

家畜による排泄物は、リンや窒素といった有害物質が含まれているため、適切に処理しなければなりません。 排泄物は適切に管理・処理することで、野菜を育てるために使う良質な堆肥となって循環させるものです。

しかし、正しい管理・処理を行わず、ただ積み上げたり、地面に埋めてしまったり、ルールを投げ出してしまう農家さんも少なからず存在しています。 放置された排泄物から有害物質が河川へ流出すると水質汚染を起こし、水中生物の生態系を破壊しかねません。

さらには、地下水が汚染されてしまうと、それを飲料水や生活用水として利用する人間に健康被害を及ぼす恐れもあるのです。

過放牧による土壌劣化

過放牧とは、放牧によって家畜がその土地の草や木を食べつくしてしまうことです。 自然の回復力では追い付かなくなるほど、家畜が草木を食べてしまうと、植物の多様性が失われるだけでなく、二酸化炭素の吸収量まで減少してしまいます。

そして、草が失われると柔らかい土は風に飛ばされ、砂漠化の原因に。 砂漠化した土地では緑地回復も難しく、生物が命を育む環境が失われてしまうのです。

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農地拡大による森林伐採

世界人口が増加する中、さらに畜産に頼ることになれば、放牧地の拡大や飼料となる穀物の生産が今まで以上に必要となりますが、そのためには農地拡大が必要です。 しかし、農地拡大には、森林伐採によって土地を確保しなければなりません。

農地拡大による森林減少は生態系の崩壊、温暖化の加速といった問題につながるため、これらからも畜産業に頼りすぎることの危険性がうかがえると言えるでしょう。

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環境問題だけじゃない!畜産業の懸念点

畜産業に頼ることの懸念点は環境問題だけではありません。畜産業に関するその他の問題点もご紹介します。

過剰摂取による健康問題

先進国を中心に、過剰な肉類の摂取による肥満や糖尿病といった疾患が広がっています。 肉や乳製品は栄養素が高く、私たちの欲求を満たしてくれる部分も少なくありません。

しかし、健康な生活を続けるために、その摂取量を見直す必要があると指摘されています。

アニマルウェルフェア

アニマルウェルフェアとは、一般的に「人間が動物に対して与える痛みやストレスを最小限に抑える配慮をすべき」という考えで、動物福祉という言葉に置き換えられます。 例えば、清潔な水や高品質な餌を提供する、快適な温度と衛生環境の確保、健康管理の徹底などがアニマルウェルフェアに関する取り組みです。 これらが家畜のストレスや疾患を予防し、安全な畜産物の生産性向上につながります。

しかし、畜産業が過剰に増えてしまったら、アニマルウェルフェアの徹底が難しくなると考えられます。 結果、動物たちは不衛生な環境で飼育され、不健康な畜産物を人間が食することになってしまうのです。

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感染症の恐れ

畜産業は「動物由来感染症」につながる恐れがあります。 動物由来感染症とは動物から人間へうつる感染症をあらわす言葉です。 多くは不衛生な環境による飼育が原因となるため、動物由来感染症を防ぐためにもアニマルウェルフェアの概念が重要であると考えられるでしょう。

また、病気の治療ではなく予防が目的で、抗生物質を家畜に投与することも問題となっています。 なぜなら、抗生物質の過剰投与によって耐性のあるバクテリアが生まれてしまい、これが人の健康に害を及ぼす危険性があるからです。

薬剤耐性菌による感染症が発生した場合、医療や獣医療で使われる薬が効かず、治療が難航する恐れがあります。 治療の方法を失い長期間にわたって感染症に脅かされ、死に至るケースも考えられるでしょう。

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畜産業に頼り過ぎず食生活の見直しを

このように畜産業はさまざまな環境問題に結びつき、健康的なリスクも考えられます。 今後も人口が増え続けるとしたら、これまでのスタイルを考え直し、新しい畜産業の在り方を目指さなければなりません。

私たちも個人として何かできることがあるのか。 例えば食生活の中で意識できることがあるのか、という点からでも一度考えてみてください。

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