カカポとは?おじさんみたいな可愛いオウム【絶滅動物シリーズ】
動物は、その愛らしさで私たちに癒しを与えてくれます。 そんな可愛らしい動物の一種が、フクロウオウム…またの名をカカポです。
カカポは愛らしく、人懐っこいという特徴がありますが、絶滅が危惧されています。 カカポとは、どういう動物で、なぜ減少してしまったのでしょうか。
カカポとは?可愛い飛べないインコ
カカポはまたの名をフクロウオウムと言い、ニュージーランド固有の夜行性のオウムです。 見た目はちょっとおじさんのような体格で小太り。最も体重が重たいオウムだと言われています。
そんな見た目のせいか、飛べない鳥でもあるのですが、これはオウムの中では世界で唯一の特徴です。 雄の生態で体長は60センチに達し、体重は3~4キログラムという、オウムにしては大きな体格であるにも関わらず、小さな翼しかもっていないため、飛行するための筋力は低下してしまったと考えられています。
また、カカポは「レック」と呼ばれる世界唯一の非常に珍しい繁殖方法を取ることでも有名です。 レックとは、繁殖期になると雄たちが特定の場所に集まり、雌の獲得を競って求愛アピールを始めるというものです。 唸り声を上げて雌を引き付け、選ばれれば交尾を行い、つがいが誕生します。
このように、珍しい特徴をたくさん持ったオウムであるカカポですが、人懐こいところもあり、とても可愛らしい印象の鳥なのです。
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絶滅寸前!カカポが減少した原因は?
可愛らしく珍しい特徴を持つカカポですが、絶滅危惧種に指定されています。
カカポが減少したきっかけは、古くは9世紀から10世紀の頃まで遡ります。 ニュージーランドの先住民であるマオリ人は、カカポを食料として、または装飾品や衣服として羽毛獲得のために、探し出しました。 カカポは大人しい性格で、危険を察知しても、その場にうずくまるだけなので、マオリ人が持ち込んだ犬の餌食にもなってしまいます。
他にも、マオリ人はポリネシアネズミも持ち込んだため、カカポの雛や卵も減少してしまいました。 ニュージーランドをヨーロッパ人が発見したのは、1624年のことですが、このときにはすでにカカポはかなり個体数を減少させています。しかし、さらなる悲劇が彼らを襲ってしまうのです。
1840年代に入ると、ヨーロッパから移民があり、耕作のための開拓がありました。 これにより、カカポの生息地は限られ、さらにヨーロッパ人も猫やイタチなどの多くの捕食者を持ち込んでしまいます。 1800年代の後半になると、カカポは科学的な興味の対象となり、捕獲や捕殺されてしまい、絶滅寸前まで追い詰められてしまうのです。
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積極的なカカポ保護対策
それから、カカポを保護するための戦いが始まります。
まず1891年、ニュージーランド政府は、南に位置するリゾリューション島を自然保護区に指定し、自然主義者であるリチャード・ヘンリーを管理人にしました。 リゾリューション島には捕食者がいないことに着目したヘンリーは、6年間で200羽以上のカカポをこの島に移します。
しかし、イタチの仲間であるシロテンが海を泳いでリゾリューション島に到達。カカポを食べ尽くしてしまいます。 1903年と1912年に、3匹のカカポがリゾリューション島から別の島へ移しますが、野生化した猫がいたため、どちらの計画も失敗に終わります。 そして、第一次世界大戦や大恐慌が起こり、保護運動の関心は下がってしまい、1940年にはカカポに関する報告はなくなってしまいます。
しかし、1950年代にカカポが生息する兆候が発見され、1968年にはカカポを捉えることに成功します。 その後も何回か捕獲に成功し、保護のために隔離しますが、カカポたちはその環境に順応できず、立て続けに命を落としてしまいました。
1970年代、ヘリコプターが登場すると、それまで近づけなかった地域への調査が可能になります。 調査隊はそれまで、カカポの雄ばかり発見してしましたが、1977年に今まで未調査だったスチュワート島で、ついに雌の個体を発見しました。
そして、1989年にカカポ保護計画が実行され、繁殖に成功します。 カカポの個体数が増え始めた、コッドフィッシュ島とハリチュチュ島は、カカポの天敵である、猫やイタチは存在しませんでしたが、ポリネシアネズミが存在していました。 ポリネシアネズミはカカポの卵と雛を食べるだけではなく、同じものを食べる生き物でもありました。 そのため、人間はカカポ保護のために、彼らの生息地からポリネシアネズミを根絶やしにします。
1995年には、確認できている個体数が50羽程度となったカカポですが、2019年には成鳥が147羽まで増加しました。 さらに、2019年の4月の時点で77羽の雛が成長中であり、今後も個体数の増加が期待されています。
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人間に滅ぼされ救われたカカポ
カカポは人間によって、その個体数を減らしてしまいましたが、保護を受けたことで回復しました。 ネズミを根絶やしにしてしまったことを含め、人間の自然への影響力が恐ろしいものだとうかがえます。
だからこそ、私たちは自然へ負担をかけることは、極力避けなければなりません。 人間の科学力や好奇心が、自然回復のために向けられるよう、一人ずつが意識するべきかもしれませんね。
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