ペンギンのうんちに温室効果ガスが?オウサマペンギンと環境問題

ペンギンのうんちに温室効果ガスが?オウサマペンギンと環境問題

ペンギンは動物たちの中でも知名度があり、見た目の愛らしさから、人気が高いことでしょう。 しかし、そんなペンギンの「うんち」がとんでもない環境問題を起こしているかもしれません。

あの可愛らしいペンギンのうんちから、笑気ガスという温室効果ガスが発生し、それが温暖化を悪化させる恐れがあるのです。 うんちに笑気ガスが含まれている、オウサマペンギンと環境問題をご紹介します。

ペンギンのうんちから笑気ガス?研究者にも異変が!

イギリスのサウスジョージア島には、オウサマペンギンと呼ばれるペンギンが生息しています。 デンマークと中国の研究チームは、温暖化によるこの土地の変化とオウサマペンギンへの影響を調査していました。

研究チームはこの地の土壌サンプルを何種類か採取し、分析を行ったところ、ペンギンのコロニーに近い場所から、高濃度の亜酸化窒素が検出することを発見しました。 この亜酸化窒素は笑気ガスとも言われていて、医療用として使われる麻酔用ガスでもあります。 そのため、この地で調査を続けていた研究者たちは、ペンギンのうんちに囲まれた影響で、ちょっと「バカ」になってしまった人が続出したのだとか…。

ちなみに、亜酸化窒素はペンギンのうんちに含まれているわけではないようです。 ペンギンのうんちには窒素が含まれているのですが、地面に放出された後、土壌細菌によって亜酸化窒素に変換されているようです。 しかし、このうんちの問題…これだけでは終わらないのです。

オウサマペンギンとは?

うんち問題の前に、このオウサマペンギンが、どういう動物なのかご紹介します。

オウサマペンギンは、サウスジョージア島の他にも、インド洋に浮かぶハード島や、クローゼー諸島にも生息していますが、意外にも南極大陸では繁殖していません。 現生のペンギン目の中では、コウテイペンギンの次に大きいことが特徴で、体長は85~95センチあります。

これは、名前の由来とも関係していて、19世紀までは最大のペンギンとして知られていたため、王様の名を冠されました。 それが、19世紀に入ると、南極大陸も調査されることになり、オウサマペンギンよりも大きい、コウテイペンギンが登場した、という経緯があるのです。

食性は、ハダカイワシ類などの魚類を好み、イカや甲殻類を食べますが、オキアミなど窒素が含まれた生物を食べることもあり、これがうんちに窒素が含まれる原因と思われます。

コウテイペンギンとは違い、オウサマペンギンは温かい気候にも耐性があり、世界各地の動物園で見ることができます。 日本でも北海道の旭山動物園や、東京の葛西臨海水族園を始め、多くの動物園でオウサマペンギンと会えるのです。

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絶滅危機にあったオウサマペンギンが温暖化の原因に?

実は、オウサマペンギンは絶滅の危機にある、とも言われていました。

2018年2月に発表された研究結果では、オウサマペンギンが食べる、魚やイカは気候変動によって生息海域が移動してしまい、そのためオウサマペンギンも長距離の移動が強いられ、陸上で待つ幼鳥が餓死する恐れが出てくる、と指摘されていたのです。 しかし、温暖化によるサウスジョージア島の氷河後退は、オウサマペンギンを急増させる結果になりました。

さらに、オウサマペンギンのうんちに含まれる、亜酸化窒素は麻酔としての効果だけでなく、温室効果ガスの一種でもあります。 亜酸化窒素は二酸化炭素の300倍、環境への悪影響をもたらすものと言われ、温暖化が原因で急増したオウサマペンギンが、さらに温暖化を加速させている、とも考えられます。

ただ、牛や羊のゲップに含まれるメタンほど、環境に与える負担は大きくないようで、地球全体のエネルギー収支に影響を与えるほどではない、とのこと。 それにしても、温暖化で絶滅するかもしれないと言われていた、オウサマペンギンが温暖化で急増するとは、何とも感慨深い話ですね。

オウサマペンギンだけでなく動物は環境に左右される

オウサマペンギンは温暖化で絶滅の恐れがあると言われていたにも関わらず、今度は温暖化で急増しています。 それだけ、動物は些細な環境の変化で、個体数に大きな影響が与えられてしまいます。

そして、その環境を大きくさせてしまうのは、私たち人間です。 動物のためにも、自分たち自身のためにも、環境に負担をかけない生活を心がけなければなりませんね!

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