絶滅が危惧される希少な犬種10選!減少の原因や生態を解説
犬は世界中で人々に愛されるだけでなく、仕事や生活のサポートも担うなど、もはや人類の相棒と言える動物でしょう。 しかし、そんな犬の中にも絶滅が危惧される希少な種が存在しています。
なぜ可愛らしい犬たちが絶滅を危惧されるまで個体数を減らしてしまったのでしょうか。 今回は絶滅が危惧される希少な犬種10選をご紹介します。
目次
絶滅が危惧される希少な犬種10選
絶滅が危惧される希少な犬種は数多く存在しますが、ここでは代表的な10種を以下の通りに紹介します。
- ニューギニアン・シンギング・ドッグ
- オッターハウンド
- ノルウェイジアン・パフィン・ドッグ
- スルーギ
- ダンディ・ディンモント・テリア
- サセックス・スパニエル
- チベタン・テリア
- 日本テリア
- 地域固有の柴犬
- 天然記念物に指定されている日本犬
それでは、それぞれの生態や減少の原因を見てみましょう。
ニューギニアン・シンギング・ドッグ
ニューギニアン・シンギング・ドッグは、パプアニューギニア原産の野生化した犬種で、その名は“歌う犬”を意味しています。 サイズとしては、日本の柴犬程度。一番の特徴は名前の通り歌うこと。 もちろん、本格的に歌えるわけではありませんが、遠吠え声がかなり特徴的で複数集まると、合唱が行われえているように聞こえます。
減少理由は、人間の開発によって生息地が脅かされ、他の犬種と交雑が進んで純血種が失われたこと。 1990年代に野生個体の捕獲が試みられましたが、すべて失敗に終わるほど、その減少が懸念されていました。 しかし、2020年8月31日にニューギニア島の高地でニューギニアン・シンギング・ドッグが発見され、50年ぶりに生息が確認されています。
オッターハウンド
オッターハウンドはイングランド原産のセントハウンド犬種で、その名は「カワウソの猟犬」という意味を持ちます。 体高が61~69センチで、脚は太めで長い。寒さに強く泳ぎが得意であるため、狩猟犬として活躍していました。
しかし、イングランドで川の汚染や乱獲によるカワウソの減少が進むと、1970年代に狩猟も行われなくなります。 結果、ハンターの多くは犬を処分。オッターハウンドの繁殖も廃れて、個体数が激減してしまいました。
ノルウェイジアン・パフィン・ドッグ
ノルウェイジアン・パフィン・ドッグは、ノルウェーの北極海諸島原産の猟犬種で、別名をノルウェイジアン・ルンデフンド。 世界中には約5,000種もの犬の品種が存在する中でも、珍しい特徴があると有名で、それは以下の通りです。
- 指が6本ある
- 耳を折りたたんで水の侵入を防げる
- 前脚を左右90度に開ける
- 首の骨が二重関節で首を背中につけられる
かつては、パフィンと呼ばれる鳥を取るために活躍していましたが、猟の機械化によって需要は激減。 さらに、19世紀になるとパフィンが保護動物になり、1943年に原産地でジステンパーという感染症が大流行してしまいます。
これにより、ノルウェイジアン・パフィン・ドッグは絶滅の危機に瀕しました。 しかし、この惨状を知った一人の愛好家が自分の飼育しているノルウェイジアン・パフィン・ドッグを数頭寄贈し、繁殖されて個体数も回復しています。
スルーギ
スルーギは、モロッコ原産のサイトハウンド犬種。別名としてアラビアン・グレイハウンドと呼ばれます。 体高61~72センチで、耳は垂れ耳で尾はサーベル形の垂れ尾。毛色は砂色に近い個体がほとんどです。
古くから存在していた犬種ですが、はっきりした生い立ちは分からず、もとは北アフリカに住むベルベル人によって飼育され、ウサギやガゼル、ダチョウの狩りに使われていました。 しかし、2度の世界大戦によって頭数が激減してしまい、絶滅寸前となってしまいます。
それでも、生き残ったスルーギを集めて犬種を存続に成功。 以後も年々頭数 を回復させつつありますが、今でも頭数は少なく、原産地以外ではあまり知られていない犬種となります。
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ダンディ・ディンモント・テリア
ダンディ・ディンモント・テリアは、イギリスのスコットランド原産のテリア犬種。 体高20~28センチの小型犬で、活発かつ人懐こい性格、小さめの垂れ耳が特徴です。
この犬種の歴史は、1800年ごろにスコットランドとイングランドの国境地帯で農業を営むジェームズ・デビッドという人物が2頭のスコッチ・テリアを農場で飼育したことが始まりだと言われています。
ネズミやアナグマなどを狩るために活躍していたダンディ・ディンモント・テリアですが、こちらも世界大戦の影響を受けて個体数が減少。 さらには、もともとの知名度の低さから飼育される機会も少なく、現在は絶滅も危惧される状況となっています。
サセックス・スパニエル
サセックス・スパニエルは、イングランドのイースト・サセックス州原産の犬種です。 体高38~44センチほどで、ダークレッドやブラックの毛色が特徴と言えます。
この犬種の誕生は18世紀末のころ。 A・E・フラーという人物が従順で体重のあるゆったりとした動きのフラッシング・ドッグを作るために生み出したと言われています。
世界大戦が起こった際は、フラーの保護によって生き残りましたが、彼が1847年に死去するとブリーディングが放置されてしまい、個体数が激減。 一時は純血の犬が8頭しかいなくなってしまうほどの状況でした。 幸いフラーの友人たちがブリーディングを再開し、絶滅は免れましたが、今も珍しい犬種として知られています。
チベタン・テリア
チベタン・テリアはチベット原産の牧羊犬種で、テリアの名を持ちながらテリア犬種ではない、という不思議な名前を持ちます。 特徴としては、全身の直毛に垂れ耳。体毛はブラックやホワイト、ゴールドなどの単色や混色で、体高36~41センチほどとなります。
牧畜犬として使われていたチベタン・テリアですが、チベットの寺院では神の使いとして大事にされていました。 しかし、1950年代のチベット動乱の際に、社会的な混乱が起こり、その個体数が減少してしまったと考えられています。
そんな状況でも寺院や遊牧民が本種を隠して飼う他、国外に数頭輸出されていたため生き残り、現在はチベットの以外の地域でも飼育されています。
日本テリア
日本テリアは、日本原産犬種としては唯一のテリア犬種です。 体高は30~33センチで、スマートな外貌と鮮明で引き締まった輪郭、テリア類の中では比較的おっとりした穏やかな性格をしています。 1700年にオランダから長崎に渡来したスムース・フォックス・テリアが祖であると考えられ、主に神戸で人気が広がりました。 特に1930~32年は日本テリア・ブームで、繁殖や売買譲渡が投機化するに至っています。
しかし、太平洋戦争の影響でブームは終焉。個体数も激減してしまいました。 戦後は愛好家の努力によって甦りましたが、かつてほどの人気は得られず、現在も個体数は比較的に少ないままで、絶滅を危ぶむ声もあります。
地域固有の柴犬
日本の地域固有の柴犬も、個体数を減少させている犬種が存在します。 その代表的な種が山陰柴犬。彼らは山陰地方の地域固有の地犬で、体高は40センチほどとなります。
明治以降に入ってきた洋犬や日本犬同士の交配によって、山陰柴犬の純血種が失われつつありましたが、鳥取の名士・尾崎益三が保存活動を始めました。 1940年代井伝染病のジステンパーが流行し、存続が危ぶまれましたが愛好家による地道な保存活動によって、2020年には約450匹にまで回復しています。
岐阜県原産の日本犬である美濃柴犬も戦争や伝染病の影響で個体数を減らしてしまいましたが、地元の愛好家による熱意によって、ある程度頭数が回復。知名度も上がりつつありますが、絶滅の危険性がいまだに高い地域固有の柴犬です。
天然記念物に指定されている日本犬
国の天然記念物に指定されている日本犬も、絶滅が危ぶまれる希少な犬種が存在します。 三重県から和歌山県原産の紀州犬、山梨県原産の甲斐犬、四国地方原産の四国犬、北海道原産の北海道犬です。 彼らは軒並み数が減少しており、絶滅の危機が懸念されています。
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動物の絶滅という悲しい事態を避けるためにも、私たちは自らの行動を見直さなければなりません。 例えば、身近なリサイクルを心掛ける、環境に悪い習慣は避けるなど、簡単な行動も効果的です。
また、環境問題に関する情報を発信するだけでも、誰かの意識を変えるきっかけとなるかもしません。 ぜひこの記事をはじめ、環境問題に関する情報をSNSなどで発信してみてください。










