象牙は何に使われる?アフリカゾウ減少の原因【絶滅動物シリーズ】
大きな動物と言えば、ゾウを真っ先に思い浮かべるでしょう。
中でも、インパクトのある大きな姿であるアフリカゾウは、人気の動物ではないでしょうか。
そんなアフリカゾウが絶滅の危機に晒されています。
しかも、絶滅の原因は日本人が大きく関わっているのです。
アフリカゾウの絶滅について考えてみましょう。
絶滅が迫っている?アフリカゾウとは
アフリカゾウとは、長鼻目(ちょうびもく)ゾウ科アフリカゾウ属のゾウです。
現在、ゾウはアフリカゾウとアジアゾウ、マルミミゾウの2属3種類のみが存在しています。
アフリカゾウはこれらのゾウの中でも大型で、現生する陸棲動物の中でも最大種です。
アジアゾウよりも耳が大きいことも特徴で、これは放熱や体温調節に役立つと考えられています。
もう一つの特徴は、雄雌共に大きな牙があることです。
雄であれば、この牙は350センチにも達しますが、これは争いや土を掘るために利用されます。
この大きくて立派な牙は、長い鼻と並んで、アフリカゾウの象徴とも言えるでしょう。
アフリカゾウ絶滅の原因
大きくて、立派な牙を持つアフリカゾウですが、年々その個体数を減らし、絶滅が危惧されています。
しかも、ここ100年で以前の個体数の3%まで数を減らしてしまったほど、急速に数を減らしているのです。
なぜ、これほどまでにアフリカゾウは個体数を減らしてしまったのでしょうか。
干ばつや民族紛争に巻き込まれ死んでしまうケースもありますが、アフリカゾウが減少する大きな理由は密猟だと言えます。
アフリカゾウの密猟は、悪質なものも多く、規制されてもアフリカゾウは狙われ続けています。
なぜ、アフリカゾウが狙われるかというと、それは彼らが持つ立派な牙…つまり象牙が目的なのです。
象牙は、1989年にワシントン条約によって国際取引が禁止となっています。
しかし、象牙は消費され続けています。
そのため、密漁は過激化し、次々とアフリカゾウが犠牲になっています。
さらに、その象牙を大量に消費しているのは、日本なのです。
それでは、日本は象牙を何に利用しているのでしょうか。
絶滅の原因?象牙は何に使われる?
日本は象牙の消費大国です。
日本は象牙を何に使っているのでしょうか。
それは印鑑です。
日本では契約や書類に印鑑が欠かせません。
朱肉が馴染みやすく、高級感のある象牙は日本人にとって、最高と言える印鑑の素材でした。
そのため、日本は80年代に世界の象牙の67%を消費し、ワシントン条約締結までは、一番の輸入大国でした。
ワシントン条約の締結後、多くの国で象牙の国内取引が禁止されます。
中国は最も象牙使用の歴史が長い国ですが、2017年に国内取引を禁止しました。
しかし、日本は未だに国内取引が禁止されていません。
そのため、日本から海外へ違法に持ち出されるケースも増えると考えられています。
中には自主的に象牙の販売を自粛する日本企業も少なくありませんが、まだまだ日本の象牙問題は解決に至っていないようです。
人間の過剰な欲求がアフリカゾウを絶滅させる
日本では象牙を印鑑に使うことが広まってしまいました。
それは使いやすさなどの理由もあったと思われますが、中には高級品を使っていることに喜びを感じていた人もいるかもしれません。
良いものを使いたい。高級品が良い。人に自慢したい。そんな気持ちがあったかもしれません。
このような過剰な欲求は、アフリカゾウのような動物を絶滅に追いやってしまいます。
私たちの持ち物や消費物が、無駄な犠牲を生んでいないのか、考え直すべきかもしれません。
もし、印鑑を始め何かを購入するときは、アフリカゾウのことを思い出し、無駄な犠牲を生んでいないか、思い直してみてください。