シフゾウとは?伝説の神獣の歴史【絶滅動物シリーズ】

シフゾウとは?伝説の神獣の歴史【絶滅動物シリーズ】

シフゾウという動物をご存知でしょうか。
漢字では「四不像」と書き、中国語の発音では「スープーシャン」と呼ばれます。
このシフゾウは中国の明代に書かれた小説、封神演義では神獣として描かれた動物です。
しかし、そんなシフゾウも数奇な運命をたどりながら絶滅の危機に晒されました。
そんなシフゾウとはどのような動物なのでしょうか。
また、どのようにして、その種が絶滅の危機に晒されたのでしょうか。
※写真はイメージとなり、実際の動物と異なる場合があります。

シフゾウとは

まず、シフゾウの名前の由来とは何なのでしょうか。
シフゾウを表す言葉として以下のようなものがありました。
角はシカに似てシカにあらず。蹄は牛に似て牛にあらず。頭は馬に似て馬にあらず。尾はロバに似てロバにあらず。
四つの動物に似ていながら、そのどれでもなかったため、フシゾウ(四不像)と呼ばれるようになったのです。
不思議な動物のようではありますが、フシゾウは偶蹄目(ぐうていもく:ウシ目とも言う)シカ科シフゾウに分類されるシカです。
体長は約2mほどで体毛は柔らかく灰色がかかった黄褐色。
角はオスだけにあり、長いものでは87cmに達しました。
中国の北部から中部にかけて、水草が茂る水たまり付近に生息していたと考えられています。
どのような生活を送っていたのかは、科学的な記録が取られる前に絶滅してしまったため不明です。

シフゾウの発見

野生のシフゾウは記録が残る前に絶滅しています。
シフゾウが記録として残ることになったのは、1865年のことでした。
当時、フランスの宣教師であるアルマン・ダビィド(Armand David)は、中国の南苑(なんえん)にいました。
そのときの南苑は、清朝皇帝の広大な猟場でした。
周囲は高い塀で囲われていましたが、動物への強い興味を持つダビィド神父は塀の中を覗くことに成功します。
そこにいたのがシフゾウでした。
見たこともない動物を見たダビィド神父はシフゾウに関する情報を集めますが、既に野生のシフゾウは全滅し、南苑のみに生息していることを知ります。
皇帝の猟場のみに存在する動物であったため、シフゾウの情報を集めることは困難でしたが、ダビィド神父の必死な働きにより、その存在はヨーロッパに知られることになりました。
そして、新種のシカがいることを知ったヨーロッパ各国は、生きたシフゾウを手に入れるために争うことになるのです。
その中には、シフゾウの運命を決定づけたとも言える、イギリスの貴族、ベッドフォード公爵もいました。

シフゾウの絶滅の歴史

1869年、ロンドン動物園にシフゾウが送られると、ドイツやフランスもシフゾウを手に入れます。
1888年、日本でも上野動物園でシフゾウを飼育することになりましたが、繁殖を続けられず絶えることになります。
しかし、シフゾウを手に入れた国々はどこも、種の繁殖に成功しているとは言えませんでした。
そんな中、1895年に中国で大洪水が起こります。
南苑のシフゾウたちは、塀から逃れることはできましたが、植えた人たちによって食料とされてしまいました。
そのため、フシゾウの頭数は激減してしまいます。

その頃、イギリスの貴族、ベッドフォード公爵はシフゾウを集め、自分の庭園に放していました。
その庭園は、沼や湿原のある、シフゾウにとって最適な場所でした。

1900年、中国で義和団の乱が発生し、フシゾウが残っていた南苑に義和団が立てこもり、そこは戦いの場となりました。
結果、シフゾウは1頭のメスを残し、絶滅してしまうのです。
その後、第一次世界大戦が起こり、ヨーロッパの動物園にいたシフゾウも絶滅、中国に残ったメスのシフゾウも、1920年に老衰で死んでしまいました。
これにより、誰もがシフゾウは絶滅したと考えました。

生き残っていたシフゾウ

1920年、シフゾウは絶滅したと思われていました。 しかし、人知れずシフゾウは生き残っていました。
ベッドフォード公爵が飼っていたシフゾウの存在は誰も知らなかったのです。
ベッドフォード公爵のシフゾウは最大で200頭まで増えていたそうです。
1946年、ベッドフォード公爵はシフゾウの群れを分割して、いくつかの動物園に提供することを決めます。

そして、1985年のことです。
ヨーロッパで飼育されていたシフゾウが中国で放たれることになりました。
場所はシフゾウの故郷とも言える南苑です。
南苑でシフゾウは繁殖し、50頭以上に増えることになりました。
こうして、いま世界では1500頭のシフゾウが存在していると言われていますが、これらはすべてベッドフォード公爵の庭園で育てられたシフゾウの子孫にあたります。

人間の欲望や争いに巻き込まれ、絶滅寸前に追いやられたシフゾウ。
人間の活動は多くの動物を巻き込む力があることを思い知らされます。
私たちは動物たちの種に危険をもたらせないよう、注意して生活をする必要があるのでしょう。

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