河川争奪とは?巨大な川も4日で消滅する驚異の自然現象

河川争奪とは?巨大な川も4日で消滅する驚異の自然現象

大きな山や川は、どんなに時間が経っても変化しないものだと感じられます。 実際は長い時間をかけて少しずつ変化していますが、私たちはそれを認識できず、変わらない風景に安心を覚えることもあるでしょう。

しかし、河川争奪のような現象は、大きな川を数日で消滅させてしまいます。 河川争奪とその事例である、カナダのスリムズ川が消滅したお話をご紹介します。

河川争奪とは?川が消える驚きの自然現象

昔から存在していた川が、数日の間に消滅してしまう。地球ではそんな不思議な自然現象があります。 それは河川の流れを別の河川が奪ってしまうことが原因だということが多く、その現象を「河川争奪」と言います。 河川争奪の原因で、川が消滅してしまう現象は、いくつかのパターンが存在します。

まずは隣接する河川の傾きや流量に差がある場合です。二つの河川の間で川底の傾きや流量に差があり、どちらかの浸食力が強い場合、河川争奪が起こりやすくなるのです。

火山が原因となって河川争奪が起こる場合もあります。火山からの噴出物が河川を堰き止めてしまい、湖を形成した後、従来とは違う川へと水が流れ込んでしまう、というケースです。

中には水路の改修などにより、人為的に河川争奪が起こってしまうこともあります。川を目にしていると、永遠に続く自然の流れを感じるようですが、実は些細なことで失われてしまう恐れがあるのです。

河川争奪の事例!カナダのスリムズ川が消滅

河川争奪の例として、カナダのスリムズ川があります。

2016年の春、カナダのスリムズ川が干上がっていることが発見されました。 スリムズ川は、カナダのスリムズバレーを流れる川で、幅150メートルもありました。 そんな巨大な川が、たったの4日間で消滅してしまったのです。

これを調査したのは、アメリカのイリノイ大学の地質学者、ジェームズ・ベスト博士でした。 現地調査の際は、あったはずの巨大な川が乾燥し、砂嵐が吹き上がるほどだったそうです。 そして、ヘリコプターやドローンを利用することで、この現象の調査を行い、なぜ河川争奪が起こったのか原因を突き詰めました。 巨大な川は、どのようにして消滅したのでしょうか。

スリムズ川の河川争奪は温暖化が関係か

消滅してしまったスリムズ川の南に、同じ規模のアルセック川がありました。 スリムズ川が消滅した後、そのアルセック川は60倍から70倍以上の大きさに変化していたことが発見されます。 この状況から、スリムズ川の流れは急激に減少し、北上していた流れが、南に向かうアルセック川へ流れ込んでしまったことが、スリムズ川を消滅させた河川争奪の原因だと判明しました。 それでは、なぜスリムズ川の流れが変化してしまったのでしょうか。

それは地球温暖化が関係していました。 スリムズ川は、カスカウルス氷河から溶け出た水が数百年間も流れ込むことで河として流れていました。 しかし、その氷河が急激に溶けてしまったことで、水が氷河を変化させ、スリムズ川へ流れるはずの水がアルセック川へと向かってしまったのです。

この事例を見ると、温暖化が悪化してしまうことで、各地で河川争奪が起こってたくさんの川が消滅してしまうことも想像できますね。

自然は河川争奪のような大きな変化を見せる

河川争奪

このように、自然はときに大きな変化を見せます。 そのような変化は人々の暮らしや、動植物の生態系に大きな影響を与えることもあるでしょう。

人間が引き起こす環境問題も、大きく自然を変化させる力があります。 私たちの手によって、大きく自然を歪め、多くの生き物を死に追いやってしまうことはあってはならないことです。

また、それはいつか人類にとって大きな損害にもなり得ます。 人の影響によって、河川が消滅してしまうことがないよう、生活する上でも環境への配慮を忘れないようにしてみてください。

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